ドル/円、市場心理改善でも上値重い=外為どっとコム総研 神田卓也
ドル/円、市場心理改善でも上値重い
昨日のドル/円は終値ベースで約0.5%上昇。東京市場で106円台を回復すると、その後もじり高歩調を辿り、NY市場では106.43円前後まで上昇した。香港が「逃亡犯条例」の改正案を撤回した事で抗議活動沈静化の期待が高まった他、英議会が欧州連合(EU)離脱延期法案を可決した事で「合意なき離脱」への懸念が和らいだ。
もっとも、市場が最も懸念している米中貿易戦争については、前向きなニュースが全く出てこない。なお、トランプ米大統領は昨日、「(中国が)取引したくないならそれで結構」などとして、月内の閣僚級協議の開催にも言及しなかった。こうした中ではドル/円の上値は限られる公算が大きく、106.70~107.00円の上値抵抗を突破するのは容易ではないだろう。明日には米8月雇用統計の発表を控えており、本日は106円台でのもみ合いが続きそうだ。
執筆者 : 神田卓也|株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役調査部長
株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 証券株式会社を経て、1991年㈱メイタン・トラディション入社。インターバンク市場にて、為替・資金・デリバティブ等の取引業務を担当し、国際金融市場に対する造詣を深める。2009年同社入社。