ダウ平均、ナスダックとも小動き この先の経済への影響を見極めたいムード=米国株序盤
NY株式16日(NY時間11:46)(日本時間00:46)
ダウ平均 42364.03(+41.28 +0.10%)
ナスダック 19139.96(+27.64 +0.14%)
CME日経平均先物 37930(大証終比:+160 +0.42%)
きょうの米株式市場でダウ平均、ナスダックとも小動きに終始しており、前日終値水準での振幅が続いている。今週は前日までの累計で、S&P500は4.5%上昇し、ダウ平均は2.6%上昇、ナスダックは6%超急上昇した。ダウ平均は4週連続の週足陽線となりそうだ。
米中貿易協議が予想外の合意に達し、関税措置の90日間停戦で合意した。貿易摩擦の激化や経済リスクの高まりに対する懸念が一気に和らぎ、米株式市場は強い回復を見せた。4月2日の「解放の日」後の下げを完全に取り戻している。
ただ、具体的な決着は何もなく、EUや日本などの国とも合意も形成されていない。145%という驚きの数字が最初に打ち出されたことから感覚が麻痺しているようだが、中国にしても30%という高関税は残っている。週後半になると、市場も落ちついたのか、この先の実体経済への影響を見極めたいといったムードが流れている。
ストラテジストからは、「関税が経済に与える影響に関する大きな疑問はまだ残っており、投資家は現在、経済の重心を模索し、経済的な損害を評価している。しかし、現時点では経済指標からの明確なシグナルが欠如しているため、市場はニュースのヘッドラインに左右されているようだ」との指摘が出ている。
米中間の暫定合意が今週の市場心理を改善させたものの、一部の主要米企業はコスト上昇と不透明なマクロ経済に警告を発している。今週はウォルマート<WMT>が決算を発表していたが、関税の影響で5月下旬に一部の商品を値上げせざるを得ない可能性があると表明した。
「その懸念は米中合意によるIT・ハイテク主導の安堵感に覆われて影を潜めてしまったが、不安の兆候は存在する」との声も聞かれ、上値での売りを推奨するアナリストやストラテジストも少なくない。
半導体製造装置のアプライド・マテリアルズ<AMAT>が決算を受け時間外で下落。売上高は予想範囲内だったものの、1株利益は予想を上回った。ただ、第3四半期の見通しは、1株利益は予想を上回ったものの売上高は予想範囲内と、中国との貿易摩擦の潜在的な影響に苦慮し、無難な見通しを示している。
ケーブルTVのチャーター・コミュニケーションズ<CHTR>が上昇。取引開始前に非上場の同業コックス・コミュニケーションズ社と経営統合で合意と伝わった。
有人宇宙飛行サービスのヴァージン・ギャラクティック<SPCE>が大幅高。前日引け後に1-3月期決算(第1四半期)を発表していたが、その際に2026年第1四半期に宇宙旅行の販売再開と、その際の料金値上げの計画を発表した。
イノザイム・ファーマ<INZY>が急騰。バイオマリン<BMRN>が同社を買収すると伝わった。1株4ドルでの買収で前日終値よりも181%高い水準。
住宅金融のロケット・カンパニーズ<RKT>が上昇。アクティビスト(物言う株主)として知られるバリューアクトが9.9%保有した。
ITサービスを手掛ける欧州のグローバント<GLOB>が決算を受け大幅安。1株利益、売上高とも予想を下回った。ガイダンスも公表し、通期の見通しを下方修正している。
アプライド<AMAT> 164.14(-10.62 -6.07%)
チャーター<CHTR> 421.75(+2.18 +0.52%)
ヴァージン<SPCE> 5.20(+1.85 +55.22%)
イノザイム<INZY> 3.95(+2.53 +177.82%)
ロケット・カンパニーズ<RKT> 13.77(+1.00 +7.79%)
グローバント<GLOB> 97.35(-35.50 -26.72%)
アップル<AAPL> 210.44(-1.01 -0.48%)
マイクロソフト<MSFT> 449.65(-3.48 -0.77%)
アマゾン<AMZN> 205.02(-0.16 -0.08%)
アルファベットC<GOOG> 168.02(+2.62 +1.58%)
アルファベットA<GOOGL> 166.84(+2.88 +1.75%)
テスラ<TSLA> 348.99(+6.17 +1.80%)
エヌビディア<NVDA> 135.28(+0.45 +0.33%)
メタ<META> 634.43(-9.45 -1.47%)
AMD<AMD> 117.55(+2.56 +2.23%)
イーライリリー<LLY> 750.74(+18.95 +2.59%)
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。