リスク選好からの円売り優勢に
リスク選好からの円売り優勢に
トランプ大統領が的を絞った支援策協議要請で市場の期待感誘う
【東京市場】大きな動きにはならず
ドル円は105円70銭台まで上昇。前日の米株安を受けて下げて始まったアジア株式市場が総じて回復傾向を見せたこともあり、リスク警戒の動きが後退。ドル売り円売りの動きにつながる格好でドル円は105円77銭まで上値を伸ばした。トランプ大統領が中小企業向け支援策の議会承認を要請したことなどが、米株先物の買い戻しにつながり、アジア株を押し上げ、リスク選好の動きにつながった面も。
もっともドル円は先月末から上値を抑えている105円80銭前後を超えていくような動きにはならず、もみ合いが続いている。
【ロンドン市場】106円台に乗せる
ドル円は106円台まで上昇。9月14日以来の高値圏となっている。
トランプ大統領が米議会に対して航空会社向け雇用支援と中小ぎ業のための1350億ドルの支援をすぐに承認するように要請と発言
この発言を好感して米株先物が上昇し、リスク選好のからの円売りに。
クロス円も軒並みの堅調な地合い。
【NY市場】堅調地合い維持
トランプ大統領が的を絞った支援策の協議を要請し、市場の好感を誘った。
民主党の追加経済対策を拒否し、協議も一時停止と発表したすぐ後だけに、
ややサプライズ感も見られた。
また、大統領は自身が再選した場合は大規模対策を打ち出すとしており、
市場の危機感が後退している。
ドル円は高値圏もみ合い、106円台での買いには慎重も、押し目は限定的。
【本日の見通し】副大統領候補者討論会に注目
日本時間午前10時から行われる米副大統領候補者討論会に注目が集まっている。3回行われる大統領候補者討論会と違い、副大統領候補者討論会は今回のみ。米国の副大統領は上院議長も兼ねる重職とはいえ、実際に活躍する場がそれほど多いわけではなく、これまでの副大統領候補者討論会に対する注目度はそれほど高いものではなかった。しかし今回の選挙では大統領候補がともにかなりの高齢で4年の任期を全うできない可能性も十分にあるとの思惑や、黒人系女性初の副大統領候補者である民主党ハリス上院議員がどれだけマイノリティー層の票をまとめるが大統領選の大きなポイントの一つみられていることなどから、かなり注目度が高いものとなっている。
現在選挙戦をリードするバイデン・ハリス陣営がリードを維持するような結果になると株安からの円買い、トランプ・ペンス陣営が巻き返すような結果が見られると株高からの円売りが期待されるところ。
ドル円は昨日のロンドン市場で106円台まで上昇。その後は高値圏もみ合いとなっている。この後どちらに行ってもおかしくない状況だけに、討論会の状況を待っての動きを見たいところ。
【本日の戦略】押し目買いか
基調は押し目買いか。
リスク選好の流れを期待したいところ。
ただ、副大統領候補者討論会の結果次第では動きが変るだけに要注意。
動向を見極めてからの行動を意識
※山岡和雅個人の見解です
為替や、その他いかなる商品について売買を推奨するものではございません
-+—+–+—+—+—+—+—+—+–+–
《10/7 水曜日》
ドル円 ユーロドル ユーロ円
始値 105.64 1.1734 123.95
高値 106.11 1.1782 124.88
安値 105.61 1.1725 123.87
終値 105.98 1.1763 124.66
—+—+—+—+—+—+—+–+–
《10/7 水曜日の主要株式指数》
前日終値 前日比
日経 23422.82 -10.91
DOW 28303.46 +530.70
S&P 3419.44 +58.49
Nasdaq 11364.60 +210.00
FTSE 5946.25 -3.69
DAX 12928.57 +22.55
—+—+—+—+—+—+—+–+–
《10/7 水曜日の商品市場》
NY原油先物11月限(WTI)(終値)
1バレル=39.95(-0.72 -1.77%)
ブレント先物12月限(ICE)(終値)
1バレル=41.99(-0.66 -1.55%)
NY金先物12 月限(COMEX)(終値)
1オンス=1890.80(-18.00 -0.94%)
-+—+—+—+—+—+—+—+—+-
《10/7 水曜日に発表された主な経済指標》
【日本】
景気動向指数(速報値)(8月)14:00
結果 88.8
予想 89.0 前回 86.7(景気先行指数)
結果 79.4
予想 79.4 前回 78.3(景気一致指数)
【ユーロ圏】
ドイツ鉱工業生産指数(8月)15:00
結果 -0.2%
予想 1.5% 前回 1.4%(1.2%から修正)(前月比)
結果 -9.6%
予想 -8.7% 前回 -10.0%(前年比)
【南アフリカ】
SACCI景況感指数(9月)18:30
結果 85.7
予想 N/A 前回 85.8
【米国】
MBA住宅ローン申請指数(09/26 – 10/02)20:00
結果 4.6%
予想 N/A 前回 -4.8%(前週比)
米週間石油在庫統計(バレル・前週比)23:30
原油 +50.1万(4億9293万)
ガソリン -143.5万(2億2675万)
留出油 -96.2万(1億7180万)
(クッシング地区)
原油 +47万(5654万)
*()は在庫総量
【カナダ】
Ivey購買担当者景況感指数(9月)23:00
結果 54.3
予想 N/A 前回 67.8
+—+–+—+—+—+—+—+—+–+–
《10/7 水曜日に発表された主なイベント・ニュースなど》
【日本】
*黒田日銀総裁
新型コロナによる世界経済の回復までの道のりはまだ長く、各国の協調が欠かせない。
域内・国際連携の重要性は今後も一段と高まっていく。
アジア経済の落ち込みは他地域と比べれば小幅だ。
【米国】
*トランプ米大統領
議会は航空会社の給与サポートのための250億ドルと、中小企業のための1350億ドルの支援策をすぐに承認すべき。
*米大統領側近
トランプ大統領は健康状態が良ければ来週の討論会に参加する。
*米10年債入札結果
最高落札利回り 0.765%(WI:0.765%)
応札倍率 2.47倍(前回2.30倍)
*FOMC議事録
国債購入は将来の見直しが適切と一部当局者が判断。
ガイダンスは無条件のコミットメントではない。
スタッフ予測は年内の追加財政支援が前提。
感染拡大は景気回復にとってリスク。
現在までの財政支援では不十分。
*ウィリアムズNY連銀総裁
経済の道筋はウイルス抑制やワクチン開発に依存。
経済は回復を開始し、失業率は低下。
経済は上向きも、望ましい水準には程遠い。
【英国】
*ジョンソン英首相
我が国はEUを離脱する、1月1日には完全なコントロールを取り戻す。
*英政府
10月15日までに合意の見込みなければ、貿易協議をやめること計画。
(ブルームバーグ)
【ユーロ圏】
*ラガルドECB総裁
目標達成には、十分な刺激策を維持することが必要。
刺激策の早まった解除は厳に慎むべき。
コロナ危機後のユーロ圏のリスクはより偏在化するだろう。
野心的かつ協調的な財政政策のスタンスが引き続き重要。
*バイトマン独連銀総裁
経済の回復は予想よりも速い。
いますぐに追加の財政刺激策は必要ない。
ユーロの上昇を過大に解釈することしない。
追加利下げは可能、まだリバーサルレートに達していない。
PEPP拡大を予防的に決定することに警告。
-+—+–+—+—+—+—+—+—+–+–
《本日予定されている主な経済指標》
【英国】
RICS住宅価格指数(9月)8:01
予想 40% 前回 44%
【日本】
国際収支(8月)8:50
予想 20315億円 前回 14683億円(経常収支)
予想 15446億円 前回 9642億円(経常収支・季調済)
予想 4040億円 前回 1373億円(貿易収支)
【スイス】
失業率(9月)14:45
予想 3.3% 前回 3.3%(季調前)
予想 3.4% 前回 3.4%(季調済)
【ユーロ圏】
ドイツ経常収支(8月)15:00
予想 162億ユーロ 前回 200億ユーロ
ドイツ貿易収支(8月)15:00
予想 160億ユーロ 前回 192億ユーロ
【ブラジル】
小売売上高(8月)21:00
予想 5.6% 前回 5.5%(前年比)
【カナダ】
住宅着工件数(9月)21:15
予想 24.25万件 前回 26.24万件
【米国】
新規失業保険申請件数(3日までの週)21:30
予想 82.0万件 前回 83.7万件(前週比)
+—+–+—+—+—+—+—+—+–+–
-☆-★-☆-★-☆-★-☆-
執筆者 : 山岡和雅|MINKABU PRESS 外国為替情報担当 編集長
1992年米チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)東京支店入行、ディーリングルームに配属され、外国為替ディーラーに。英ナショナルウェストミンスター銀行、RBS銀行などで10年以上外国為替ディーラーとして市場の最前線に。その後大手FX会社などで外国為替市場のアナリストとして個人向けの外国為替情報の配信業務に携わり、2016年3月から、みんかぶグループに参画。 (社)日本証券アナリスト協会検定会員