ドル売り強まる、地政学リスク、新型コロナ第二波警戒など重石
ドル売り強まる、地政学リスク、新型コロナ第二波警戒など重石
インドと中国との国境での衝突、北朝鮮と韓国の緊張などが東京市場の重石
米国で第二波懸念広がり、NY市場で株安円高に
【東京市場】地政学リスクにらむ
ドル円は107円台前半推移が続いた。朝方は前日のNY市場でのドル高傾向もあり、ドル円は107円40銭台を付けるなど比較的しっかり。しかし、中国とインドの国境付近での軍事衝突でインド軍に死者が出たことや、北朝鮮が非武装地帯(DMZ)内の監視哨所を復旧すると発表し、軍事合意の事実上破棄を示すなど、韓国との緊張が高まっていることなどが重石となり、東京市場が本格参加する時間に入って円高が強まる展開に。ドル円は107円40銭台から107円10銭台に、121円台に乗せていたユーロ円は120円60銭台まで売りが出る流れとなった。
下げた後すぐに値を戻すなど、円高の動きも続かず、振幅を経て少し頭の重い推移に。ドル円は107円20銭台中心の動きが広がった。
【ロンドン市場】欧州通貨でややドル買いも限定的
対欧州通貨を中心にドル買いがやや優勢。
もっともその後動きは収まり、もみ合いの展開に。
ドル円は107円台前半推移が続いた。
英国や欧州のCPIが発表された、予想通り弱めの結果となったが
すでに織り込み済みという認識で反応は限定的に。
【NY市場】第二波警戒
ここにきて米国の一部で第二波警戒の動きが広がっている。
ダウ平均が終盤に下げ幅を広げたこともあり、ドル円も106円台を付ける動きとなった。
フロリダ、テキサス、カリフォルニアなどで感染者が拡大傾向で警戒感が広がっている。
パウエル議長下院での議会証言は前日との目立った相違なく、反応半減定期。
【本日の見通し】リスク警戒の動き広がる
地政学的リスクに加え、第二波警戒の動きが広がっている。
北京市が警戒対応レベルを引き上げ、すべての学校の休業などが示されるなど
第二波の動きが広がる展開に。
米国でもテキサス、フロリダ、カリフォルニアなどで感染被害が強まる傾向が見られ
第二波警戒が強まっている。
こうした中で、ドル円は戻りが鈍い展開に。
NY夕方に106円台を付けた後、大台を回復しているが、
この後も下値警戒が続きそう。
英中銀は量的緩和の拡大見込み。
現状の債券購入枠は7月初めでいっぱいになるため、予定通りの動き。
拡大幅がかなり大きくなるか、会見などで今後のマイナス金利への言及があるなどの
サプライズがない限り、反応は限定的か。
【本日の戦略】戻り売り
突っ込んだ売りは避けたいが
リスク警戒が広がる中で戻りは鈍いとみられる。
戻りは丁寧に売りたいところ。
※山岡和雅個人の見解です
為替や、その他いかなる商品について売買を推奨するものではございません
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《6/17 水曜日》
ドル円 ユーロドル ユーロ円
始値 107.32 1.1264 120.88
高値 107.44 1.1294 121.23
安値 106.95 1.1207 120.16
終値 107.01 1.1244 120.32
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《6/17 水曜日の主要株式指数》
前日終値 前日比
日経 22455.76 -126.45
DOW 26119.61 -170.37
S&P 3113.49 -11.25
Nasdaq 9910.53 +14.66
FTSE 6253.25 +10.46
DAX 12382.14 +66.48
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《6/17 水曜日の商品市場》
NY原油先物7月限(WTI)(終値)
1バレル=37.96(-0.42 -1.09%)
NY金先物8 月限(COMEX)(終値)
1オンス=1735.60(-0.90 -0.05%)
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《6/17 水曜日に発表された主な経済指標》
【NZ】
経常収支(2020年第1四半期)07:45
結果 15.57億NZドル
予想 16.00億NZドル 前回 -26.57億NZドル(経常収支)
【日本】
通関ベース貿易収支(5月)08:50
結果 -8,334億円
予想 -10,300億円 前回 -9,319億円(-9,304億円から修正)
結果 -6,010億円
予想 -6,575億円 前回 -9,963億円(季調済)
【英国】
消費者物価指数(5月)15:00
結果 0.0%
予想 0.0% 前回 -0.2%(前月比)
結果 0.5%
予想 0.5% 前回 0.8%(前年比)
結果 1.2%
予想 1.3% 前回 1.4%(コア・前年比)
生産者物価指数(5月)15:00
結果 0.3%
予想 4.2% 前回 -5.5%(-5.1%から修正)(仕入・前月比)
結果 -10.0%
予想 -6.4% 前回 -10.2%(-9.8%から修正)(仕入・前年比)
結果 -0.3%
予想 -0.1% 前回 -0.8%(-0.7%から修正)(出荷・前月比)
結果 -1.4%
予想 -1.0% 前回 -0.7%(出荷・前年比)
結果 0.0%
予想 0.0% 前回 0.0%(-0.1%から修正)(出荷・コア・前月比)
結果 0.6%
予想 0.5% 前回 0.7%(0.6%から修正)(出荷・コア・前年比)
小売物価指数(5月)15:00
結果 -0.1%
予想 0.1% 前回 0.0%(前月比)
結果 1.0%
予想 1.2% 前回 1.5%(前年比)
結果 1.3%
予想 1.3% 前回 1.6%(前年比・除くモーゲージ利払い)
【ユーロ圏】
ユーロ圏消費者物価指数・確報値(5月)18:00
結果 0.1%
予想 0.1% 前回 0.1%(前年比)
結果 0.9%
予想 0.9% 前回 0.9%(コア・前年比)
【米国】
MBA住宅ローン申請指数(06/06 – 06/12)20:00
結果 8.0%
予想 N/A 前回 9.3%(前週比)
住宅着工件数(5月)21:30
結果 97.4万件
予想 110.0万件 前回 93.4万件(89.1万件から修正)(住宅着工件数)
結果 122.0万件
予想 124.5万件 前回 106.6万件(107.4万件から修正)(住宅建築許可件数)
【カナダ】
消費者物価指数(5月)21:30
結果 0.3%
予想 0.7% 前回 -0.7%(前月比)
結果 -0.4%
予想 0.0% 前回 -0.2%(前年比)
【ブラジル】
ブラジル中銀政策金利 18日06:00
予想 2.25% 現行 3.00%
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《6/17 水曜日に発表された主なイベント・ニュースなど》
【米国】
*デブラシオNY市長
不平等に関して変化を求める社会的運動であることから、デモを規制する考えはない。
*カプラン・ダラス連銀総裁
景気回復のリスクはダウンサイドもアップサイドもある
金融・財政政策との関係が小さくなり、公衆衛生との関係が大きい。
いかに医療をうまく使うかで成長の早さが決まる。
ただ、確実にアップサイドのケースはある。
今年4.5-5.0%の縮小を見ているが、5月には底を打った。
雇用は今後数カ月は強めも、年末時点での失業率は8%程度とみられる。
*パウエルFRB議長
上院で議会証言。
財政支援は経済にポジティブ。
議会が時期尚早に財政刺激策を縮小すれば懸念に。
米国でのマイナス金利は適切とは見ていない。
YCCの採用は決定していないと再言及。
ドット・プロットはゼロ金利を約束したものではない。
利上げは考えていない。
経済の回復にはしばらく時間がかかる。
長期的には米国債だけのバランスシートが好ましい。
*米20年債入札結果
最高落札利回り 1.314%(WI:1.329%)
応札倍率 2.63倍(前回:2.53倍)
*ライトハイザーUSTR代表
日本と第2段階の交渉を数ヵ月内に開始する。
*ペンス副大統領
新型ウイルス感染の入院者数や死亡者数は縮小。
感染カーブはフラット化。
50州すべてが責任をもって経済を再開している。
国家石油戦略備蓄を埋め戻している。
【英国】
*バルニエEU首席交渉官
英国との交渉期間は4ヵ月ある。
ジョンソン首相の切迫感を自身も共有。
EUとの合意を望むかどうかは英国次第。
英国は経済問題だけを協議したがっている。
【NZ】
*オアNZ中銀総裁
量的緩和(QE)のインパクトに非常に満足している
QEが金利を下げ、イールドカーブをフラットにした。
我々はQEを拡大できる。QEの手段を増やすことができる。
マイナス金利、一部の銀行は運営の準備ができていないと言っているが
、我々の側の準備は出来ている。
ただ、選択肢の一つであって、シグナルになるものではない。
銀行への長期貸付などほかのツールもある。
【韓国】
*韓国大統領府
北朝鮮は軍事行動取るなら、代償払うことになる
北朝鮮が韓国に対してより礼儀正しくあるよう求める
金与正氏の韓国大統領への発言は無礼だ
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《本日予定されている主な経済指標》
【NZ】
GDP(第1四半期)7:45
予想 -1.0% 前回 0.5%(前期比)
予想 0.3% 前回 1.8%(前年比)
【豪州】
失業率(5月)10:30
予想 6.9% 前回 6.2%
雇用者数(5月)10:30
予想 -7.88万人 前回 -59.43万人
【スイス】
スイス中銀政策金利 16:30
予想 -0.75% 現行 -0.75%
【英国】
英中銀政策金利 20:00
予想 0.10% 現行 0.10%
【米国】
新規失業保険申請件数(13日までの週)21:30
予想 129.0万件 前回 154.2万件
フィラデルフィア連銀景況指数(6月)21:30
予想 -22.9 前回 -43.1
景気先行指数(5月)23:00
予想 2.4% 前回 -4.4%(前月比)
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執筆者 : 山岡和雅|MINKABU PRESS 外国為替情報担当 編集長
1992年米チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)東京支店入行、ディーリングルームに配属され、外国為替ディーラーに。英ナショナルウェストミンスター銀行、RBS銀行などで10年以上外国為替ディーラーとして市場の最前線に。その後大手FX会社などで外国為替市場のアナリストとして個人向けの外国為替情報の配信業務に携わり、2016年3月から、みんかぶグループに参画。 (社)日本証券アナリスト協会検定会員