ドル円一時108円台、日銀臨時会合開催決定など好感
ドル円一時108円台、日銀臨時会合開催決定など好感
米中の対立が重石、大台を維持できず
【東京市場】堅調も上値追いには慎重
ドル円は107円40銭前後での推移が続いた。前日の米株高、NY原油高などの動きを受けて、ドル高円安基調が継続も、前日NY市場での高値107円台半ばからの買いには慎重で上値進行も抑えられた。
ユーロドルはドル高の動きに1.0920台から1.0902近辺まで下落する場面が見られたが、1.09の大台を維持したこともあり、その後は少し戻してのもみ合いに。
目立ったのは豪ドル円の動き。前日NY市場で70円台を付けた豪ドル円は、朝方NY原油が一段高となったこともあり、上値をトライ。4月末、5月7日と二度上値を抑えた70.17近辺を超えて70円36銭前後を付ける動きとなった。その後、NY原油に調整が入ったこともあり、豪ドル円も上値から売りが出る流れ。69円80銭台まで売りが入る場面が見られた。その後はもみ合いに転じ、70円ちょうど前後での推移に。
【ロンドン市場】ドル円107円台半ば超え
前日のNY市場、その後の東京市場と頭を抑えた107円台半ばを超えてドル円が上昇。
クロス円もしっかりの展開となっている。
英雇用統計で3月のILO基準失業率が予想外に改善したことを好感した格好でポンド円が上昇。
5月の独ZEW景況感指数も改善を見せ、4月時点から企業の見通しが好感していることがユーロ買いを誘った。
ドル円はドル買い円売りも、ユーロやポンドは対ドルで上昇。
ドルはドル円以外では売りが出る流れとなっている。
【NY市場】ドル円は朝方一時108円台を回復
ドル円は日銀が22日に臨時会合を実施すると発表したことがドル買い円売りにつながり
朝方108円台を付ける動きが見られた。
中小企業などに対する新たな資金繰り支援制度などが示されるとみられる。
追加緩和への期待感もあり円売りに誘ったが、108円台は維持できず。
米株の戻り売りなどが重石となった。
米中対立の激化懸念などが重い。
WHOに対する声明で事実上の最後通牒を突き付けたことなどが米中対立激化につながると見られた。
【本日の見通し】ドル円しっかりも警戒感は継続
ドル円は前日に108円台を付けた後少し調整が入った朝を迎えている。
米株の調整売りなどもあり、今日の東京・アジア株式市場は軟調地合いが見込まれ、
ドル円、クロス円の調整が入りやすい面があるものの
基調はまだ上方向。
WHOへの米国の不満もあり、米中対立はさらに強まるとみられており、
ドル円、クロス円の重石となりそうだが
新型コロナウイルスの感染拡大がいくつかの例外はあれども世界的なやや収まりつつあり
ドル円やクロス円の支えとなりそう。
ドル円は107円台後半のレンジ取引を中心に、107円台半ばからがしっかりとしてくると
上値を試す動きもありそう。
【本日の戦略】押し目買い
基調は上方向も調整が入りやすく
突っ込んだ買いは避けたいところ。
ドル円は107円台半ばに近いところはいったん買ってみたいが、
デイトレでなければやや難しいか。
割れる勢いにもよるが早めに見切る展開。
もう少しじっくり待つ場合は107円台前半買い下がりの106円80銭割れストップあたりという印象も。
※山岡和雅個人の見解です
為替や、その他いかなる商品について売買を推奨するものではございません
-+—+–+—+—+—+—+—+—+–+–
《5/19 火曜日》
ドル円 ユーロドル ユーロ円
始値 107.33 1.0914 117.17
高値 108.09 1.0976 118.20
安値 107.30 1.0902 117.03
終値 107.71 1.0923 117.67
—+—+—+—+—+—+—+–+–
《5/19 火曜日の主要株式指数》
前日終値 前日比
日経 20433.45 +299.72
DOW 24206.86 -390.51
S&P 2922.94 -30.97
Nasdaq 9185.10 -49.72
FTSE 6002.23 -46.36
DAX 11075.29 +16.42
—+—+—+—+—+—+—+–+–
《5/19 火曜日の商品市場》
NY原油先物6月限(WTI)(終値)
1バレル=32.50(+0.68 +2.14%)
NY金先物6 月限(COMEX)(終値)
1オンス=1745.60(+11.20 +0.65%)
-+—+—+—+—+—+—+—+—+-
《5/19 火曜日に発表された主な経済指標》
【NZ】
生産者物価指数(第1四半期)7:45
結果 0.1%
予想 N/A 前回 0.4%(生産高・前期比)
【日本】
鉱工業生産・確報値(3月)13:30
結果 -3.7%
予想 N/A 前回 -3.7%(前月比)
結果 -5.2%
予想 N/A 前回 -5.2%(前年比)
設備稼働率(3月)13:30
結果 -3.6%
予想 N/A 前回 -1.8%(前月比)
【英国】
雇用統計(4月)15:00
結果 5.8%
予想 前回 3.5%(失業率)
結果 85.65万件
予想 前回 0.54万件(1.22万件から修正)(失業保険申請件数)
ILO失業率(3月)15:00
結果 3.9%
予想 4.4% 前回 4.0%(ILO失業率)
【香港】
失業率(4月)17:30
結果 5.2%
予想 4.6% 前回 4.2%
【ユーロ圏】
ドイツZEW景況感指数(5月)18:00
結果 51.0
予想 30.0 前回 28.2
【南アフリカ】
製造業生産高(2月)20:00
結果 -2.3%
予想 -0.9% 前回 3.0%(2.5%から修正)(前月比)
【米国】
住宅着工件数(4月)21:30
結果 89.1万件
予想 90.0万件 前回 127.6万件(121.6万件から修正)(住宅着工件数)
結果 107.4万件
予想 100.0万件 前回 135.6万件(135.3万件から修正)(住宅建築許可件数)
+—+–+—+—+—+—+—+—+–+–
《5/19 火曜日に発表された主なイベント・ニュースなど》
【豪州】
*豪中銀議事録(5月5日開催分)
必要に応じて債券購入プログラム(QE)を拡大する準備がある
中銀の(新型コロナウイルス対策での)政策パッケージは期待通りに機能
雇用や物価が進捗するまで金利水準の目標を維持
豪州の銀行システムは回復力があり、経済を支援している。
【NZ】
*バスガンドNZ中銀副総裁
資産購入プログラムは、延長や拡大が可能
必要であればより多くの景気刺激策を提供。
新型コロナウイルスの状況が今後3カ月でよりはっきりすることを期待し、
その後現状政策を再評価し、(景気刺激の)ペダルから足を離すかを検討
現時点では外国資産の購入やマイナス金利は決定していない。多くある選択肢の一つ
個人に向けてマイナス金利が適用されるとは思わない
為替レートは現状では輸出をサポートする水準。レートは気まぐれなもので制御するものではない。
*ホークスビーNZ総裁補
QEの拡大はおそらく必要ない
必要とされているのは機敏で柔軟な景気刺激
指標はNZドルがおそらく下落すると示している
【英国】
*英政府
EU離脱後の300億ポンド規模の関税削減計画を発表
2021年1月1日にEU関税から置き換える
牛肉、羊肉、鶏肉など農業製品については関税を維持する
乗用車に対する10%関税も維持
ほとんどの医薬品や医療用品についての関税を撤廃
【ユーロ圏】
*独ZEW
夏以降は経済が上向くとの楽観的な見方が増えてきている
2020年第4四半期には再び経済成長がペースアップすると見込む
経済の巻き返しには長い時間がかかるだろう
生産が2019年の水準に戻るのは2022年まで待たなければならない見込み
【日本】
*日銀
5月22日9時にに臨時会合を招集する
開催理由「4月27日開催の金融政策決定会合における議長から執行部への指示に基づき、金融機関への新たな資金供給手段に関する検討結果の報告を受け、必要な金融調節事項の検討を行うため」
【米国】
*ムニューシン米財務長官
G7財務相、定期的な接触を継続している
G7財務相、国内および国際的な行動を議論した
*トランプ大統領
来年は素晴らしい年になるだろう。
ヒドロキシクロロキン(大統領が服用)は高評価を得ている。
ワクチンで素晴らしい進展。
*ムニューシン米財務長官
景気回復は迅速で力強いだろう。
下半期には景気改善が見られると期待。
雇用の数字はさらに悪化し、その後に改善。
6月は極めて厳しい月になるだろう。
最優先事項は人々の雇用維持。
*パウエルFRB議長
FRBは景気支援にコミット。
地方債をより多く受け入れる方法を模索。
低賃金のサービス業の労働者が打撃を受けている。
FRBと議会は追加行動が必要な可能性も。
「メイン・ストリート」貸し出しや他のプログラムが今月中に立ち上がる。
長期の失業は経済を何年も圧迫する可能性。
米経済は誰も記憶にないほど大規模な打撃に直面。
投資不適格級に格下げされた高利回り債の購入を支持。
全体の投資不適格級の債券を購入するわけではない。
資産管理の専門化にブラックロックを採用。
ブラックロックの中国での取り組みはFRBのプログラムとは無関係。
旅行や外食の再開には少し時間がかかる。
*ローゼングレン・ボストン連銀総裁
いまは金融、財政で大胆に行動するとき。
米失業率は20%でのピークを見込む。
経済再開だけでは万能薬にはならない。
+—+–+—+—+—+—+—+—+–+–
《本日予定されている主な経済指標》
【日本】
機械受注(3月)8:50
予想 -6.7% 前回 2.3%(前月比)
予想 -8.6% 前回 -2.4%(前年比)
【英国】
消費者物価指数(4月)15:00
予想 -0.1% 前回 0.0%(前月比)
予想 0.9% 前回 1.5%(前年比)
予想 1.4% 前回 1.6%(コア・前年比)
生産者物価指数(4月)15:00
予想 -4.3% 前回 -3.6%(仕入・前月比)
予想 -8.8% 前回 -2.9%(仕入・前年比)
予想 -0.5% 前回 -0.2%(出荷・前月比)
予想 -0.5% 前回 0.3%(出荷・前年比)
予想 0.7% 前回 0.9%(出荷コア・前年比)
小売物価指数(4月)15:00
予想 0.0% 前回 0.2%(前月比)
予想 1.6% 前回 2.6%(前年比)
【ユーロ圏】
ユーロ圏経常収支(3月)17:00
予想 N/A 前回 402億ユーロ(季調済)
ユーロ圏消費者物価指数・確報値(4月)17:00
予想 0.3% 前回 0.3%(前月比)
予想 0.4% 前回 0.7%(前年比)
予想 0.9% 前回 0.9%(コア・前年比)
ユーロ圏消費者信頼感・速報値(5月)23:00
予想 -23.7 前回 -22.7
【南アフリカ】
実質小売売上高(2月)20:00
予想 1.1% 前回 1.2%(前年比)
【米国】
MBA住宅ローン申請指数(15日までの週)20:00
予想 N/A 前回 0.3%(前週比)
【カナダ】
消費者物価指数(4月)21:30
予想 -0.6% 前回 -0.6%(前月比)
予想 -0.1% 前回 0.9%(前年比)
-☆-★-☆-★-☆-★-☆-
執筆者 : 山岡和雅|MINKABU PRESS 外国為替情報担当 編集長
1992年米チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)東京支店入行、ディーリングルームに配属され、外国為替ディーラーに。英ナショナルウェストミンスター銀行、RBS銀行などで10年以上外国為替ディーラーとして市場の最前線に。その後大手FX会社などで外国為替市場のアナリストとして個人向けの外国為替情報の配信業務に携わり、2016年3月から、みんかぶグループに参画。 (社)日本証券アナリスト協会検定会員