底値波乱か。上げも下げもほぼ一方通行
十字足ばかりの鯨幕で、日経平均は5日線割れ
毎日、えらく乱高下しています。上がるときには一斉高になり、下がるときにも一斉安。
しかも、連日ロウソク足は十字足。しかも陽線・陰線を繰り返す鯨幕。
最終的には日経平均は249円安の20,405円。
ザラ場中、グローベックス市場でNYダウ工業株先物が、130ドル高くらいまで気配を切り上げていた段階では20,419円まで日経平均が上昇。気配が20-30ドル高くらいまで切り下げますと、20,309円に下落。後場はおおむねこのレンジの中での揉み合いとなりました。
高値波乱とは逆に、底値圏での底値波乱かもしれません。
年初来安値更新銘柄数を見ても、200銘柄という分岐をはさんで、激しく減少と増大を繰り返しています。
8月15日 340銘柄
8月14日 66銘柄
8月13日 333銘柄
8月9日 94銘柄
8月8日 84銘柄
8月7日 63銘柄
8月6日 691銘柄(最多)・・・しかも、日経平均ボトム。前夜は米国株ボトム。
8月5日 516銘柄
8月2日 271銘柄
8月1日 90銘柄
7月31日 53銘柄
やはり最大は8月6日の下げであり、それが日本では底値ということになるわけですが(あくまでザラ場安値ベースの話です。終値ベースでは本日が底値になります)、足元での相場急落では水準的にも、また年初来安値更新銘柄数から言っても、6日のボトムには届いていないということが重要でしょう。
ちなみにグローベックスでは、NYダウ工業株先物は、東京引け時点で90ドル高の気配。
上海コンポジット指数は0.43%下落とかなり下げ幅を縮小させていました。
次第に、落ち着いてくるのではないでしょうか。
8月5日の直近安値を割らない指数が意味するもの
ダウ工業株や輸送株、ラッセル2000小型、ジャスダック、東証二部などは、8月5日の安値を割りましたが、日米市場のその他の指数はこれを割らない頑強さを見せているものがあります。
日経平均然りですが、TOPIXですらそうです。マザーズもそうです。米国では、ナスダック、半導体SOX指数などがそうです。
明暗を分けている格好ですが、「割らなかった」指数のうちやはり注目はナスダックと半導体SOX指数の耐久力でしょう。ナスダック指数は、ハイテク・ネット大手銘柄で構成されていますから、景気後退局面では相当の収益のブレがあるはずです。半導体もこの収益のブレと言う点では、負けず劣らず激しいものがあります。
もし、景気後退が今回の相場突っ込みの背景だというのであれば、これは説明がつきません。
後述しますように、米VIX指数、ジャンクボンドの動きを見ても、同じ結論が出てきます。
つまり、景気後退が要因ではない、ということです。
市場はあまりリスクを感じていないという点
昨晩の米国株市場はびっくりするような大きな下げに発展しましたが、その実は朝刊で述べましたように、さほど狼狽したり、リスクに怯えているという様子はありませんでした。
二つの点を見るとわかります。
(VIX指数が、飛ばない)
昨晩の米国市場で、VIX(変動・恐怖指数)は、22.1まで上昇しました。一般に言われているリスクパリティ型ファンドが一斉に売りプログラムを発動させる分岐点は、平均で22.5だと言われていますが、今回ダウ工業株が800ドル安したという割りには、届いていないのです。
なにより、8月5日の24.81には遠く及びません。
VIXはプットオプションに連動しています。プットの膨張が無いということですから、8月5日ほど保険を掛ける動きが活発ではないということになるわけで、市場のリスク認識というものも、実はその程度のものだということになりそうです。
(ジャンクボンドが崩れない)
一方、最大のリスク指標であるジャンクボンドですが、これも、大陰線で下げたとは言え、8月5日の安値を割らないどころか、届いてもいません。
ここにも市場のリスクの認識が大きくは無い、ということです。
両方を勘案しますと、どうもやはり景気後退が要因ではない、ということになります。地政学的リスクでさえ、さほど意識されていない、ということでもあるわけです。
戦略方針
日経ダブルインバース<1357>のホールド続行です。今のところは含み益拡大で予想外な幸運に見舞われていますが、ここは相場の反転上昇によほど気をつけなければならないところでしょう。油断は禁物です。
執筆者 : 松川行雄|有限会社増田経済研究所 日刊チャート新聞編集長
大和証券外国株式部勤務の後、投資顧問業を開業。2013年2月ヘッドハンティングにより増田経済研究所に入社。現在同社発行の「日刊チャート新聞」編集長。株式セミナーに於ける投資理論は個人投資家に満足度100%の人気を博す。