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【来週の注目材料】米小売りは弱め見込みも、一部特殊事情あり

為替 

 11日発表の6月米消費者物価指数(CPI)の伸びが予想を下回ったことを受けて、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ開始を織り込む動きが進んでいます。さらに年2回の利下げもほぼ織り込み済みとなり、年3回利下げの可能性を30%以上織り込むなど、ここにきて利下げ期待が広がっています。

 5日に発表された米雇用統計では非農業部門雇用者数の伸びが予想を上回ったものの、前回値が大きく下方修正され、失業率が予想外に悪化と、こちらもやや冴えない結果となりました。ここにきて米指標の弱さが目立つ展開となっています。

 そうした中、16日に6月の米小売売上高が発表されます。5月の小売売上高は前月比+0.1%となり、市場予想の+0.3%を下回りました。また3月が+0.7%から+0.5%へ、4月が横ばいから-0.2%にともに下方修正されるなど、総じて弱い結果となっています。

 前回の内訳を確認すると、強さが目立ったのが自動車及び同部品で前月比+0.8%、寄与度にして+0.16ポイントとなりました。また無店舗小売りが+0.8%(寄与度+0.14ポイント)、衣料品が+0.9%(寄与度+0.03ポイント)となっています。米小売り大手アマゾンやターゲットなどのセールが影響したものではとの観測が出ていました。

 弱かったのがガソリンスタンド、飲食、建材園芸、家具など。ガソリンスタンドはガソリン価格の低下が影響したとみられます。

 こうした中、今回の見通しですが、前月比-0.2%と5カ月ぶりの売り上げ減少が見込まれています。弱めの米指標が目立っている中でのこの売り上げ減は、ドル売りに拍車をかける可能性があります。

 ただ、この弱めの数字は2つの事情があります。
一つは前回も見られたガソリン小売価格の低下が今回はより厳しいものとなっていること。消費者物価ベースでのガソリン価格(全種平均)は、5月の前月比-3.6%から6月は-3.8%となっており、前回の-0.17ポイント以上の押し下げが見込まれます。

 もう一つが前回は強かった自動車販売の減少見込みです。こちらは完全に特殊事情で、全米の自動車ディーラー数千社にソフトウェアを提供する業界最大手のCDKグローバルがサイバー攻撃を受け、6月19日に業務を停止。システムの回復は7月上旬までかかり、米国の自動車販売に大きな影響が出ました。GMやフォードなどは6月の販売が5-6%低下するなどの状況となっています。この影響が小売売上全体にも出てくるとみられます。

 自動車とガソリンを除いた小売売上高は5月の前月比+0.1%から6月は+0.3%に伸びているだけに、予想前後の弱さを見せた場合、どこまで反応するべきかは微妙なところです。

 ややドル売り材料に神経質になっていることを考えると、予想前後の低下であった場合、ドル円などをある程度押し下げるとみられますが、値幅は抑えられる可能性があります。

MINKABUPRESS 山岡和雅

MINKABU PRESS

執筆者 : MINKABU PRESS

資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。

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