【来週の注目材料】米指標は来月の据え置き示唆へ~米消費者物価指数・米小売売上高
前回の連邦公開市場委員会(FOMC)でそれまで声明で見られた「適切に行動」の文言が削除され、「適切な道筋を見極める」と、当面の金利据え置きが示唆されたこともあり、12月のFOMCでの据え置き期待が広がっています。
1日に発表された米雇用統計も予想よりも強めの結果となっており、政策金利は現行水準での維持が当面続くという見通しが一般的に。FF金利先物動向から計算された政策金利見通しを確認すると、次回は据え置き見通しが90%を超えて、ほぼ織り込み済みという流れに。さらに、来年12月まで見ても、据え置き見通しが50%を超えているという状況になっています。
ただ、前回のFOMC声明でも示されたように、今後の情報を注意深く監視すると、今後のデータ次第という姿勢をFRBは崩していません。
そうした中で、雇用と並び、政策金利変更に大きな影響を与える物価動向として来週13日発表の米消費者物価指数(CPI)と、GDPの約7割を占める個人消費動向を示す指標として15日発表の米小売売上高の注目度が高まっています。
CPIは前年比+1.7%、食品エネルギーを除くコアの前年比+2.4%と前回並みの予想となっています。前回は+0.0%、同コア+0.1%と弱めに出た前月比も+0.3%、同コア+0.2%と持ち直しが見込まれており、まずまずの数字が見込まれています。
予想通りもしくはそれ以上の数字が出てくると、金利据え置き見通しを支えてきそうです。
一方で、前回はかなり弱かった小売売上高です。
前回9月分は予想に反して7カ月ぶりの前月比マイナスとなる-0.3%。予想は+0.3%でしたから、かなりの弱さという印象でした。
GDPの個人消費部門との連動性が大きいとされる自動車、建設資材、ガソリンスタンド、飲食店を除いたコア指数は+0.0%と横ばい。予想は+0.3%でこちらも厳しい数字でした。
変動が比較的激しい自動車、ガソリンスタンドの下げに加え、オンラインショップを含む無店舗小売りが-0.3%と昨年12月以来の減少幅を記録。総合小売りが-0.3%、景気に比較的好調な時に伸びやすいスポーツ・書籍・趣味が-0.1%など、ここにきて個人消費の勢いが鈍化している可能性が意識される数字となりました。
今回は前月比+0.2%と回復の期待が広がっています。前回-0.1%だった自動車を除いた数字は+0.4%となっています。
こちらも消費者物価指数同様に予想前後の数字が出てくると政策金利の据え置き見通しを後押ししてきそうです。一時懸念された米経済の鈍化が、限定的なものにとどまっているという印象を与えるこれらの結果。
当面の金利据え置きへの期待拡大はドル買いを誘うとみられます。
MINKABU PRESS 山岡和雅

執筆者 : MINKABU PRESS
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