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[資源・新興国通貨1/27~31の展望] 豪ドル:RBAの利下げ観測が後退

達人の予想 

豪ドル

23日、豪州の12月雇用統計が発表されました。結果は失業率が5.1%と、11月の5.2%から低下(改善)し、また雇用者数は2.89万人増と、2カ月連続で増加しました。

RBA(豪中銀)は金融政策運営において雇用情勢を注視する姿勢を示しており、今回の雇用統計の堅調な結果は2月4日の次回会合で利下げする可能性が低下したことを示します。OIS(翌日物金利スワップ)によると、市場では2月の利下げの確率が雇用統計発表前に5割程度織り込まれていましたが、24日11時時点(日本時間)では2割程度へと低下しています。

豪州の10-12月期CPI(消費者物価指数)が29日に発表されます。堅調な結果になれば、利下げ観測は一段と後退し、豪ドルを下支えしそうです。

一方で、新型コロナウイルスの感染拡大によって世界景気をめぐる懸念が市場で浮上しています。豪ドルは、投資家のリスク意識の変化を反映しやすいという特徴があります。世界景気に対する懸念が一段と高まる場合、豪ドルの上値を抑える要因になりそうです。

NZドル

24日、NZの2019年10-12月期のCPI(消費者物価指数)が発表されました。結果は前期比+0.5%、+1.9%と、いずれも市場予想の+0.4%、+1.8%を上振れ。また、RBNZ(NZ中銀)が11月の金融政策で示した見通し(+0.2%、+1.6%)も上回りました。

とりわけ前年比のCPI上昇率はRBNZのインフレ目標の中央値である+2%に接近しており、RBNZの利下げの可能性が低下したことを示唆します。今回のCPIの結果は、NZドルにとってプラス材料と言えそうです。

一方で、NZドルは豪ドルと同様、投資家のリスク意識の変化を反映しやすいという特徴があります。世界景気に対する懸念が一段と高まる場合、NZドルの上値を抑える要因になりそうです。

カナダドル

22日、BOC(カナダ中銀)は政策金利を1.75%に据え置きました。据え置きは10会合連続です。

声明では、「カナダ経済は底堅く推移しているものの、10月以降の経済指標は強弱が混在している」と指摘。「雇用の伸びは鈍化し、消費者信頼感や個人消費に関する指標は予想外に軟調だ」との見方を示しました。

先行きの金融政策については、「将来の金利動向を決定するに当たり、最近の景気減速が予想以上に長引くかどうかを注視していく」と表明。また、ポロズ総裁は会見で「利下げへの扉が閉まっているとは言っていない。(扉は)明らかに開いている」と語り、利下げに含みを持たせました。

会合前は“BOCは政策金利を年内据え置く”との見方が市場で有力でした。それがBOCの声明やポロズ総裁の発言を受けて、利下げ観測が浮上。OIS(翌日物金利スワップ)によると、市場はBOCが4月までに利下げする確率を約5割織り込んでいます(日本時間24日9時時点)。利下げ観測を背景に、カナダドルは軟調に推移する可能性があります。

原油価格の動向にも注意が必要かもしれません。米WTI先物は1月8日の1バレル=65.65ドルをピークに下落しており、23日には一時54ドル台を記録しました。原油安はカナダドルにとってマイナス材料であり、原油価格が下落を続ける場合にはカナダドルに対する下押し圧力はさらに強まる可能性があります。

トルコリラ

アルバイラク・トルコ財務相は20日、「トルコの実質金利がマイナスになったのは初めてでない」としたうえで、「より重要なのは、名目(の政策)金利だ」と語りました。トルコの現在の政策金利(名目金利)は11.25%、12月CPI(消費者物価指数)上昇率は前年比+11.84%。足もとの実質金利(政策金利から前年比のCPI上昇率を引いたもの)はマイナス0.59%です。マイナスの実質金利はトルコへの投資の魅力低下を示唆し、トルコリラに対する下押し圧力へとつながりかねません。アルバイラク財務相の発言はそのリスクを軽視しているようにみえます。

TCMB(トルコ中銀)は2019年7月以降、5会合連続で利下げを実施、その間の利下げ幅は合計12.75%に達しており、市場は政府がTCMBに対して利下げ圧力を強く加えているとみています。アルバイラク財務相は2020年にCPI上昇率は1桁台になると語っており、政府による利下げ圧力は今後も加わることを示唆しています。

市場では国営銀行がトルコリラを買い支えているとの観測があります。アルバイラク財務相はその観測について、「TCMBや国営銀行、民間銀行は以前よりも積極的な市場参加者となっており、金融の安定のために協調して行動している」と述べ、「それは今後も続く」と発言。当局が国営銀行などを通じて為替介入を行っていることを示唆するとともに、今後も介入を継続することを示しました。

以上のことは、短期的にはトルコリラの安定に寄与する可能性があります。しかし、機関投資家がトルコへの投資を敬遠する要因となり得ます。トルコリラの中期的パフォーマンスにはマイナスでしょう。

南アフリカランド

22日に発表された南アフリカの12月CPI(消費者物価指数)は前年比+4.0%と、市場予想通りの結果となり、市場ではそれほど材料視されませんでした。

来週(1/27- )は、南アフリカの12月生産者物価指数(30日)や12月貿易収支(31日)が発表されますが、それらは材料としては力不足の感があります。南アフリカランドは投資家のリスク意識の変化に反応しやすい地合いになりそうです。新興国通貨であるランドにとって、リスクオンは上昇要因、リスクオフは下落要因と考えられます。

メキシコペソ

23日、メキシコの1月前半のCPI(消費者物価指数)が発表されました。結果は前年比+3.18%と、2019年12月前半の+2.63%から加速し、市場予想の+3.17%を若干上回りました。

メキシコの10-12月期GDP速報値が30日に発表されます。メキシコの景気は低迷が続いており、前期比のGDP成長率は2018年10-12月期と2019年1-3月期がマイナス0.1%、4-6月期と7-9月期はゼロでした。

BOM(メキシコ中銀)は前回(2019/12)まで4会合連続で利下げを実施。メキシコの景気低迷を背景に、市場ではBOMは今後も利下げを継続するとの観測があります。1月前半のCPI上昇率が加速したことに加え、メキシコ景気の持ち直しがGDP統計で示されれば、利下げ観測が後退して、メキシコペソが堅調に推移する可能性があります。BOMの次回会合は2月13日です。

メキシコペソについては、USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)をめぐるカナダ議会の動向にも注目です。トルドー・カナダ首相は21日、USMCAの関連法案を29日に提示する方針を表明。カナダは自由党の少数与党政権のため、法案の可決には他党の協力が不可欠です。カナダ議会が承認すれば、USMCAは発効に向けてさらに前進します(メキシコ議会と米議会はすでに承認済み)。USMCAの発効のメドが立たないことがメキシコの景気低迷の一因だったため、USMCAの発効時期が明確になることはペソにとってプラス材料と考えられます。

執筆者 八代 和也

執筆者 : 八代 和也|マネ―スクエア シニアアナリスト

マネースクエア シニアアナリスト。資源・新興国通貨を中心に分析し、マネースクエアのWEBサイトにてレポート(「ウィークリー・アウトルック」、「デイリー・フラッシュ」など)配信のほか、動画コンテンツ「M2TV」出演、セミナー講師を務めている。

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