英国・テキサスが足かせでも、日経プラスで終了
ショートカバー、一巡後は基本揉み合い続き
朝からグローベックス市場の米国株先物が軟調気味でした。寄付から30分でダウ工業株先物は80ドル安まで気配を切り下げていたことから、序盤しっかりでスタートしたはずの東京市場は、すぐにマイナスに沈む展開。
ただこのマイナスも一時的でした。
基本的に揉み合いなのでしょう。16日以降は、上値を取ろうが、小反落しようが、要するに揉み合い商状が続いています。9日から16日まで、4日間で1,256円上昇したのは明らかに売り手のショートカバー(空売りの手仕舞い買戻し)でしたから、これが一巡したところで、頭を打った状況で、揉み合い続き。
ただ、終わってみれば、ほとんど一昨日終値近辺からそう大きな変動はありませんでした。
むしろ後場後半、グローベックスが38ドル安まで下げ幅を縮小してきていたこともあってか、日経平均は恒常的にプラス圏に浮上。最終的には微弱ではありますが、なんと終値ベースでは高値更新、132円高の22,625円で終了となりました。
個々の物色は、散漫
エーザイ<4523>が、米バイオジェンBIIBと共同開発しているアルツハイマー薬「アデュカヌマブ」について、一時臨床中止していたのですが、一転して2020年に承認申請という材料から、昨晩アメリカでバイオジェン株が26%急騰。
これを受けて、エーザイも買い先行となりました。
これが影響したのでしょうか、その他バイオ系銘柄も連れ高したのですが、さすがに伸び悩んだようです。
ディフェンシブ優勢の一日で、引き続き小幅とはいえ、東証REIT指数やOLC<4661>などが堅調に続伸。
典型的なディフェンシブ銘柄のエーザイがストップ高まで買われた一方で、対極に位置する景気敏感株・半導体は軒並み軟調でした。
一方、川崎汽船<9107>など、景気敏感系も買われている状況もあるので、恐らく塊で相場の方向性が出ているというよりも、個々の銘柄が単独で買われたり売られたりしているようです。
内需株に資金が退避?
22日の日経新聞朝刊には、資金が内需株に退避行動をとっているという分析記事がありました。
月末のFOMCや日銀会合、英国のEU離脱問題、現在進行中の米中閣僚級通商協議、アメリカの決算発表が佳境に入るタイミング、米系ファンドの11月の損益通算を控えたポジション調整、ネガティブにとらえようとすれば、いくらでも出てくる「材料」や「イベント」は確かに多いのです。
その中で、国内ではどうも外部要因の影響を受けにくい、内需セクターに資金が退避行動をとっているというのです。
記事が列挙していたのは、以下の通り。
大和ハウス<1925>
積水ハウス<1928>
長谷工<1808>
清水建設<1803>
日本ハム<2282>
アサヒ<2502>
小田急<9007>
京成<9009>
JR西日本<9021>
いずれも、住宅・建設、食品・飲料、そして電鉄という、内需株です。
本日もこれらの銘柄群は確かに堅調ですから、記事の分析も間違ってはいないようです。
8月から上昇加速したものが多いのですが(指数全体が押したタイミングからです)、年初からほぼ上昇トレンドを崩していないものもあります。たとえば、積水ハウス<1928>、京成<9009>、アサヒ<2502>、JR西日本<9021>がそうです。
本日も大変強い上値追いとなっているタマホーム<1419>も恐らくこの範疇に入ってくるのでしょう。
が、もし、今度内需系が株価調整となってきたときに、今日押している外需系銘柄もいっしょに下げるとなりますと、いわゆる相場の本格的な下落調整ということになってしまうわけで、ここからよくよく定点観測で、相場変調にアンテナを張っておかなければいけないでしょう。
半導体・精密がなぜ弱かったのか
本日は、先述通り、ディフェンシブが優勢であったのに比して、シクリカル系が軟調でした。
とくに、半導体・精密など外需性景気敏感株が売られました。
大きな理由とされたのは、昨晩、引け後に米携帯用半導体メーカー、テキサス・インストゥルメンツTXNの決算が、予想に届かなかったということで、アフターマーケットの気配が9.54%も大幅な切り下げとなっているためだとされています。
ちょうど、昨日のマクドナルドMCDの急落と同じで、一気にすべての移動平均線を割って、200日線手前まで下げるという気配になっています。
マクドナルドと違い、テキサスのこの材料は、まだ市場に反映されていないので、今晩のアメリカ市場で反映されることになります。
ここで織り込み済となるかどうかが、ポイントになってきます。
戦略方針
日経レバレッジETF<1570>の買いが続いている状態です。
執筆者 : 松川行雄|有限会社増田経済研究所 日刊チャート新聞編集長
大和証券外国株式部勤務の後、投資顧問業を開業。2013年2月ヘッドハンティングにより増田経済研究所に入社。現在同社発行の「日刊チャート新聞」編集長。株式セミナーに於ける投資理論は個人投資家に満足度100%の人気を博す。