日経平均、3日から揉み合い続き(5日線は奪回)
15日利上げ強行で下がるのか、それとも次の上昇ステージを狙うべきかの議論
反落です。
朝方の下げ幅は縮小しました。グローベックス市場は米国株先物が気配を多少切り上げていましたので、これを受けてでしょう。
物色は、東証一部上昇率上位も、日経平均プラス寄与度上位も、景気敏感系とディフェンシブ系が混在しており、判然としていません。上海市場は昨日の反発の後、今日は動きがはっきりせず。一応はプラスです。
「トランプ慣れ」の後
本日の日経新聞朝刊「スクランブル」には「トランプ慣れ」した株式市場が15日の利上げ強行以降の状況について、議論が分かれている点が紹介されていました。
ヘッジファンド系は、利上げ強行(つまり米中協議決裂)なら、長期金利が低下し、株は売られるだろうという意見が多いようです。
しかし記事の軸足はむしろ、米中摩擦の先行きは霧に包まれているものの、投資家心理に変化がでてきており、関税合戦で先送りされている本来の設備投資サイクルに目を向ける動きがあることに重点を置いています。
その代表選手が半導体製造装置関連銘柄です。
基本的に景気循環論では、減速傾向が先行業種で言えば2年も続いていることになるので、その回復傾向は始まっていてもおかしくないはずだ、というわけです。
当レポートもどちらかというとこの立場です。
パウエル連銀議長の認識
現地8日の時点ですが、パウエル連銀議長が講演を行っています。
全米エコノミスト協会の会合です。
議長の発言は、世界経済へのリスクを念頭に置いて、追加利下げにはオープンな姿勢で臨むとしています。
問題はむしろ、やはり短期金融市場の円滑化を確実にするため、保有資産を再び拡大させる考えも示しました。従来の連銀による資産圧縮作業により(米国債売却処分)、銀行間における資金不足を招いてしまっていたことから、短期金利急騰ということになった事態です。つまり、連銀はバランスシート縮小のピッチが速すぎたという懸念です。
パウエル議長は、このため講演中に、連銀は準備金供給を時間をかけて増やす措置を近く発表すると述べました。量的緩和再開をするということなのでしょう。
景気減速が問題視しているのではなく、とんでもない突発事由により、短期金融市場から金融危機が起こってはこまる、ということなのでしょう。
パウエル議長は、講演では追加利下げについては明言しませんでしたが、経済見通しは引き続き「好ましい」とし、成長継続のシナリオが「最も公算が高い」と述べています。
週末から始まる、米国企業決算発表
さて今週は、月間で一番相場が下がりやすいアノマリー、「月間のアノマリー」です。
15日火曜日は、そのしょっぱなということになります。これまでが正確には、決算前の「告白タイム(プレアナウンスメント期間)」でした。告白タイムは、3ヶ月ごと、今回で言えば、9月中旬から10月前半までです。普通ここで相場は調整局面を迎え、実際の決算発表では、個々の銘柄で悲喜こもごもはあるでしょうが、基本的にはアク抜けしていくのが一般的です。
(決算発表予定)
まず、金融セクターからです。製造業がこれに続きます。今のところS&P500構成銘柄に関しては、7-9月期は、2.7%減益予想です。(情報ベンダー各社によって違いますが)
おそらく、この程度の減益予想がプレアナウンスメント中にコンセンサスとなっていたとしたら、実際の決算発表の期間中にはだんだん上方修正されていき、最終的には増益で着地することになると当レポートでは想定しています。
15日 シティグループ、JPモルガン、ゴールドマン、ジョンソン&ジョンソン
16日 アルコア、ネットフリックス、ASML、IBM
17日 TSMC、モルガンスタンレー
18日 コカ・コーラ、アメックス
22日 マクドナルド、バイオジェン
23日 キャタピラー、ボーイング、在リンクス、eBay
24日 インテル、ビザ、ノースロップグラマン
25日 ベライゾン
26日 アルファベット(グーグル)、アカマイ
30日 アップル、フェイスブック、スターバックス
ちなみに、東京市場では明日、決算シーズンの先駆けとして安川電機<6506>が決算発表予定です。
戦略方針
引き続き、日経ダブルインバースETF<1357>は保持。
執筆者 : 松川行雄|有限会社増田経済研究所 日刊チャート新聞編集長
大和証券外国株式部勤務の後、投資顧問業を開業。2013年2月ヘッドハンティングにより増田経済研究所に入社。現在同社発行の「日刊チャート新聞」編集長。株式セミナーに於ける投資理論は個人投資家に満足度100%の人気を博す。