円買いやや優勢、米追加経済対策早期合意期待後退が重石
円買いやや優勢、米追加経済対策早期合意期待後退が重石
英・EU通商協議動向には神経質
【東京市場】午前の下げから回復
ドル円は午前中に105円台半ばから105円30銭前後まで値を落とす場面が見られた。下げ一服後は値を戻す流れとなり、午後もしっかりの展開が続く中で105円45銭前後での推移に。
昨日の海外市場で米ジョンソンエンドジョンソンが世界的に行っていた新型コロナウイルスのワクチン開発の最終段階の臨床試験を一時中止すると発表。リスク選好が広がる中で、東京午前もその流れを継続する形で株安の動き。東京時間以外ではリスク選好でのドル買いが優勢な展開となっていたが、東京市場では円買いの動きが勝る形でドル円の売りに。
もっとも、ドル買い基調が他の通貨ペアで優勢となる中でドル円の下げは限定的で、その後は値を戻した。
【ロンドン市場】ポンド不安定な振幅
ポンドが振幅。英EU通商協議が大詰めを迎える中で市場の警戒感が広がっている。
朝方はEU首脳が15日からのEU首脳会議宗さんで合意なき離脱に備えた準備の強化を各国に要請と報じられ
売りが強まる展開に。対ドルで1.29台から1.2860台まで。
その後英国がEUとの協議を当初デッドラインとした15日ですぐに打ち切ることはないと示唆と報じられ
一転して1.2970台まで急騰した。
ドル円は105円台前半でのもみ合い。朝方に105.52を付けるも続かず。
【NY市場】ドル売り優勢
ムニューシン米財務長官が
「包括的な景気対策取りまとめに依然努力はしているものの、大統領選前に何か成し遂げるのは難しい」
と発言したことを受けてドル売り円買いの動きとなり、ドル円は105円04銭まで値を落とした。
大台割れには慎重で少し値を戻してもみ合い。
前日のジョンソンエンドジョンソンの新型コロナウイルスのワクチン開発治験一時中止報道もあり、
リスク警戒の動きが広がる中で、円買いが強まる格好に。
【本日の見通し】EU首脳会議を前に警戒感も
EU首脳会議を前に警戒感が広がる展開。
英ジョンソン首相は当初本日をEUとの通商協議の合意のデッドラインとしてきた。
ただ、今日まとまる可能性はまずなく、
英国側が直ちに交渉を打ち切ることはないとの思惑がポンドを支える格好に。
ジョンソン首相発言などに市場は注目しており
警戒感が広がる展開で、神経質な動きが見込まれるところ。
ドル円は105円割れが意識される。米追加経済対策の早期成立期待後退が重石となっている。
昨日の海外市場では大台割れを回避も戻りは鈍く下値リスクが警戒されている。
【本日の戦略】欧州通貨は要注意
ドル円は戻り売りが基本となりそう。
突っ込んだ売りは避けたい
欧州通貨は要注意。英・EU通商協議がらみで不安定な動きも
無理をせずが一番か。
※山岡和雅個人の見解です
為替や、その他いかなる商品について売買を推奨するものではございません
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《10/14 水曜日》
ドル円 ユーロドル ユーロ円
始値 105.48 1.1746 123.90
高値 105.52 1.1771 123.94
安値 105.04 1.1720 123.47
終値 105.17 1.1746 123.53
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《10/14 水曜日の主要株式指数》
前日終値 前日比
日経 23626.73 +24.95
DOW 28514.00 -165.81
S&P 3488.67 -23.26
Nasdaq 11768.73 -95.17
FTSE 5935.06 -34.65
DAX 13028.06 +9.07
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《10/14 水曜日の商品市場》
NY原油先物11月限(WTI)(終値)
1バレル=41.04(+0.84 +2.09%)
NY金先物12 月限(COMEX)(終値)
1オンス=1907.30(+12.70 +0.67%)
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《10/14 水曜日に発表された主な経済指標》
【豪州】
Westpac消費者信頼感指数(10月)08:30
結果 11.9%
予想 前回 18.0%(前月比)
【シンガポール】
実質GDP(速報値)(2020年第3四半期)09:00
結果 35.4%
予想 33.5% 前回 -43.3%(-42.9%から修正)(前期比)
結果 -7.0%
予想 -6.8% 前回 -13.3%(-13.2%から修正)(前年比)
【韓国】
中銀政策金利(10月)09:34
結果 0.5%
予想 0.5% 前回 0.5%(韓国中銀政策金利)
【日本】
鉱工業生産(確報値)(8月)13:30
結果 1.0%
予想 前回 1.7%(前月比)
結果 -13.8%
予想 前回 -13.3%(前年比)
結果 2.9%
予想 前回 9.6%(設備稼働率・前月比)
【インド】
卸売物価指数(9月)15:30
結果 1.32%
予想 0.91% 前回 0.16%(前年比)
【ユーロ圏】
ユーロ圏鉱工業生産指数(8月)18:00
結果 0.7%
予想 0.8% 前回 5.0%(4.1%から修正)(前月比)
結果 -7.2%
予想 -7.0% 前回 -7.1%(-7.7%から修正)(前年比)
【南アフリカ】
小売売上高(8月)20:00
結果 -4.2%
予想 -6.8% 前回 -8.6%(-9.0%から修正)(前年比)
【米国】
MBA住宅ローン申請指数(10/03 – 10/09)20:00
結果 -0.7%
予想 N/A 前回 4.6%(前週比)
生産者物価指数(9月)21:30
結果 0.4%
予想 0.2% 前回 0.3%(前月比)
結果 0.4%
予想 0.2% 前回 -0.2%(前年比)
結果 0.4%
予想 0.2% 前回 0.4%(コア・前月比)
結果 1.2%
予想 1.0% 前回 0.6%(コア・前年比)
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《10/14 水曜日に発表された主なイベント・ニュースなど》
【米国】
*デイリー・サンフランシスコ連銀総裁
新型コロナウイルス対応での金融緩和によって資本市場が押し上げられることで、
富の不平等に影響が与えられるが、それでもFRBはまだ行動を行うべき
株式市場の上昇を防ぐために何百万の雇用を犠牲にするつもりはない。
新型コロナウイルスでのギャップを埋めるために10年を費やすつもりはない。
*クラリダFRB副議長
低失業率だけでは金融引き締めのきっかけとして不十分。
追加の財政支援が必要となる可能性。
FRBは景気回復ためにあらゆる手段を講じる。
米GDPがコロナウイルス前の水準に戻るにはあと1年必要に。
最大雇用に戻るには長い期間かかるだろう。
経済見通しは異常に不透明、ウイルス次第。
*カプラン・ダラス連銀総裁
自身にとって緩やかなインフレ・オーバーシュートとは2.25
%を指す。
実質金利を低過ぎる水準に維持するリスクは懸念。
将来のFRBの政策担当者は適用に柔軟になる必要。
*トランプ大統領
年内には安全で効果的なワクチンができる。
リジェネロンの抗体薬の緊急承認を要請。
ワクチンの輸送には米軍が支援する。
*ムニューシン米財務長官
大統領選前に何か成し遂げるのは難しい。
包括的な景気対策取りまとめに依然努力。
【中国】
*習近平国家主席
深センは5つの歴史的な飛躍を行った
国境そばの小さな町から国際的な大都市に拡大
経済システムの改革実施から、あらゆる改革の深化へ
対外貿易の発展から全面的な高水準の開放の追求まで
経済発展の促進から社会主義的なものの調整、政治的、文化的、倫理的、社会的、生態的な促進へ
基本ニーズの充足から、高品質で発展する社会の構築まで。
中国はマカオ、香港、本土の統合を促進する
特別経済特区の法の支配を本質的に保証
中国は科学的かつ産業的な改革を進める
世界は乱気流の中にいる。
保護貿易主義と一国主義が台頭している。
中国経済は長期的に健全。
中国の開発はまだまだ多くの改善余地
深センは現代社会主義のモデル都市となる
*中国人民銀
元相場の上昇は中国の良好な成長環境を反映。
【NZ】
*ホークスビーNZ中銀総裁補
全ての経済シナリオに弱いインフレ圧力が含まれている。
それこそが、より強く、より早く進むというアプローチの動機となるもの。
少ないよりも多すぎるリスクがある。
現在は最悪よりはましなシナリオの下で、一部のデータは驚くほど上向きとなっている。
ただ、依然として経済はいくつかのサポート下にある。
来年にはそうしたサポートは抑えられる。
世界的なリスクは依然としてマイナス方向。
最善の方法を追加的に提供する必要がある場合、準備に取り組んでいる。
【英国】
*ブルームバーグ
英国、EUとの通商交渉を即時打ち切りにはしないと示唆。
【ユーロ圏】
*メルケル独首相
英国との通商合意はすべての人の利益になる。
残された時間は少ない、EUは結束して合意に向けて努力。
合意できなかった場合には備えるべき。
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《本日予定されている主な経済指標》
【豪州】
失業率(9月)9:30
予想 7.0% 前回 6.8%
雇用者数(9月)9:30
予想 -4.00万人 前回 11.10万人
【中国】
消費者物価指数(9月)10:30
予想 1.9% 前回 2.4%(前年比)
生産者物価指数(9月)10:30
予想 -1.8% 前回 -2.0%(前年比)
【日本】
第3次産業活動指数(8月)13:30
予想 1.5% 前回 -0.5%(前月比)
【米国】
輸入物価指数(9月)21:30
予想 0.3% 前回 0.9%(前月比)
予想 -1.2% 前回 -1.4%(前年比)
新規失業保険申請件数(10日までの週)21:30
予想 82.5万件 前回 84.0万件(前週比)
フィラデルフィア連銀景況指数(10月)21:30
予想 14.3 前回 15.0
NY連銀製造業景気指数(10月)21:30
予想 14.0 前回 17.0
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執筆者 : 山岡和雅|MINKABU PRESS 外国為替情報担当 編集長
1992年米チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)東京支店入行、ディーリングルームに配属され、外国為替ディーラーに。英ナショナルウェストミンスター銀行、RBS銀行などで10年以上外国為替ディーラーとして市場の最前線に。その後大手FX会社などで外国為替市場のアナリストとして個人向けの外国為替情報の配信業務に携わり、2016年3月から、みんかぶグループに参画。 (社)日本証券アナリスト協会検定会員