ロシアが「最低水準」に利下げ、目先の注目は原油減産の動向か
ロシア中央銀行は19日、政策金利を引き下げると発表した。政策金利の1週間物レポ金利を4.5%とし、これまでの5.5%から1.0%引き下げた。1991年末のソビエト連邦崩壊以降で最低水準となる。
深刻なリセッション(景気後退)に向かう経済をテコ入れするためで、5年間で最大の利下げに踏み切るとともに、声明では「状況が基本的な予想に沿って展開すれば、今後数回の政策決定会合で追加利下げの必要性を検討する」とした。ナビウリナ総裁もオンライン形式で実施された記者会見で、追加利下げを示唆した。
また、2021年のインフレ率は中銀目標の4%を大きく下回るリスクがあると説明したほか、4~6月の国内総生産(GDP)が予想以上に縮小する可能性があるとの見方も示した。通年のGDP成長率はマイナス4~6%を見込んでいる。
ロシアでは新型コロナウイルスの感染拡大が続いており、感染者数は世界で3番目に多く、現在も連日7000人規模で新規感染者が確認されている。もともと経済は停滞していたが、今回のコロナ禍で一段とファンダメンタルズが悪化した格好となっている。
ロシアルーブル円のチャートを長期で見ると、2013年には3.2~3.3円レベルで推移していたが、2016年以降はおおむね1.5~2.0円レベルと半値の水準まで下落している。コロナ禍で原油安が顕著となった3月にはこのレンジを下抜ける場面もあったが、ロシア中銀が通貨防衛策に加え、原油価格の持ち直しもあって、足もとは1.5~2.0円のレンジ下限まで値を戻している。
しかし、ロシアのコロナ感染拡大、経済低迷は現在進行中の話であり、ファンダメンタルズに改善の兆しはみられていない。注目はロシアルーブルと連動性の高い原油価格の動向だが、原油の減産が予定通りに7月末で終了するか否かが、目先の最大のイベントである。石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟国で構成する「OPECプラス」は、7月末まで日量970万バレルという過去最大の協調減産を実施している。この減産が延長されることがあれば、ロシア経済は一段と厳しいものになり、ひいてはロシアルーブルの下落につながる可能性が高まる。
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執筆者 : MINKABU PRESS
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