今週のまとめ3月18日から3月22日の週
18日からの週は、ドル相場が激しく振幅した。ドル安が先行。米FOMCで年内利上げ見通しがこれまでの2回からゼロに引き下げられた。9月末にバランスシート縮小を停止すると明言された。事前の想定以上のハト派の内容となったことがドル売りを誘った。ドル円は一時110円台前半まで下落した。米金融当局のハト派姿勢は世界経済の鈍化への警戒があり、その他主要国にとっても景気鈍化懸念が覆いかぶさった。米債のみならず英独など主要国の債券利回りも低下しており、リスク回避ムードで円高・ドル高が広がる場面も。特に、EU離脱期限を目前に控えた英国は、政治混乱がポンド安を招いた。欧州にとっても輸出鈍化が懸念され対ポンドではユーロ買い圧力も、対ドルや対円ではユーロ安。米中貿易協議が難航しているとの報道や、次に控える米欧貿易協議への警戒もみられた。EU首脳会議では4月12日までの離脱延期が合意されたが、それまでに英国は欧州選挙への参加の可否を明確にする必要がある。英議会での離脱案合意が困難となっており、引き続きEU離脱をめぐる状況は流動的。週末に変えてはリスク警戒の動きがさらに強まり、ドル円は節目の110円を一時しっかりと割り込む動きを見せた。
(18日)
東京市場は、小動き。通商協議の最終合意が期待される米中首脳会談が6月に延期される可能性があると報道され、協議難航が連想されたが、目立った変動はみられなかった。ドル円は111円台半ばでの揉み合い。ユーロドルは1.13台前半、ユーロ円は126円台半ばと小じっかり。豪ドルなどオセアニア通貨もしっかり。上海・香港株が堅調に推移。ただ、あすからの米FOMC会合をひかえて、値動きは限定的。
ロンドン市場は、ユーロ買い・ポンド売りが優勢。3月29日の英国のEU離脱期限が目前に迫ってきており、メイ英首相の離脱案の3回目の採決への思惑やEU側の離脱期限延長をめぐる動きなど情報が錯そう、英議会はまだまだ流動的な状況のようだ。週明けの欧州株式市場は、上海・香港株の上昇を受けて堅調にスタートしたが、英FT指数が買いを維持する一方で、独仏株価指数は上値が重くなっている。特に独DAX指数は下げに転じる弱い動き。ドル円や豪ドル円は東京市場の上昇に調整売りが入る場面も。ユーロドル1.13台半ば、ユーロ円126円台半ばで堅調に推移。一方、ポンドドルは一時1.32台前半、ポンド円は147円台前半まで下押しされた。イタリア政府がEU離脱期限延長を阻止するつもりはない、としたが、対ユーロでは引き続き軟調。ドル円は111円台半ばへとジリ安。豪ドル円は79円台前半で買い一服。
NY市場では、ドル売り・円買いが優勢。ドル円は111円台半ばから一時111.30近辺まで軟化する場面があった。ユーロドルではユーロ売りドル買いが優勢となるなど、ドル安主導ではなく円買いが主導した動き。それほど目立った材料が出たわけではなく、米株の売り先行や、米長期債利回りの2.61%近いところからの下げに押される形でドルが売られ、ポジション調整なども交錯。ユーロ円は126円台後半から前半へ、ポンド円は148円台前半から147円ちょうど近辺まで売り込まれた。ユーロドルやポンドドルも売りに転じた。バーコウ英議会議長が、一度議会で否決した提案を再度採決にかけるには中身が大幅に異なるものである必要と発言。ポンド売りを誘った。ただ、ギリギリの段階で合意なき離脱は回避されるとの期待もあって、その後はポンドは下げ渋った。
(19日)
東京市場は、ドル売りが優勢。ドル円は111.16近辺まで軟化、米FOMCを控えてドル売りがやや優勢。FOMCでは、FF金利中央値の下方修正のほか、景気見通しの引き下げが予想されている。バランスシートの縮小停止時期などが明らかになることも想定されている。ユーロドルは1.13台半ば、ポンドドルは1.32台後半。豪ドル/ドルは0.71台前半でしっかり。豪中銀議事録はあまり材料視されず。
ロンドン市場は、ドルがジリ安。特にユーロドルやポンドドルが本日高値を伸ばすなど堅調。明日の米FOMC会合の結果発表を控えて、ドル指数は約2週間ぶりの低水準に。市場では、前回の年内2回の金利見通しが1回に引き下げられるとの思惑がひろがっているもよう。また、この日発表された英失業率が44年ぶりの低水準となったことや、ドイツZEW景況感指数が予想以上に改善し、5か月連続の回復基調となったことなどがユーロやポンドの買い材料。欧州株は総じて堅調、NY原油先物が続伸するなどリスク動向は良好。ただ、ドル売り圧力に押されて、ドル円は111円台前半で上値が重い。
NY市場は、振幅。朝方は堅調な米株の動きを受けてドル買いが優勢。円売りも加わったが、ドル円は111円台半ばでは上値を抑えらえた。その後、米通信社が米中通商協議の難航を報じると、米株が売られ、ドル円、クロス円ともに軟調に転じた。ただ、FOMCが開催される中で、下押しも限定的、レンジ相場もように。ユーロドルは1.13台半ばでの推移。ユーロ円は126円台半ばから後半でしっかり。ポンドは比較的堅調。対ドルで一時1.33台乗せ、対円は148円台をつけている。長期のEU離脱延期を要請との見通しが下支えとなっていた。豪ドルは軟調。米中通商協議の難航が報じられると対円は79円台割れ、対ドルは0.7080台へと下押し。
(20日)
東京市場では、ドル円に仲値買いがでた。この日はゴトウビであることから仲値公示にかけてドル買い・円売りの持ち込まれ、一時111.69近辺まで買われた。ただ、その後は米FOMC待ちのムードが広がり、動意薄となっている。ドル円に連動して、ユーロ円は126円台後半、ポンド円は 148円台前半まで水準を切り上げた。ユーロドルは1.13台半ば、ポンドドルは1.32台半ばで小動き。オセアニア通貨は軟調。米中通商協議の難航が意識された。豪ドル/ドルは0.70台半ば、豪ドル円は78円台後半と小安い。
ロンドン市場は、小動き。米FOMCの結果発表を控えて様子見ムード。そのなかで、個別通貨ではイベント前のポジション調整の動きも。東京午前に下落した豪ドルには買戻しが入っている。ポンドはメイ英首相が長期の離脱延長を求めないとの報道に売りが先行も、その後は値動き一服。英消費者物価指数は前年比+1.9%と引き続き2%を下回った。ユーロはポンドに連れた動きがみられたが、狭いレンジにとどまっている。ユーロ圏生産者物価指数は弱含んだが反応薄だった。ドル円は111円台半ばでやや上値が重い。東京午前に仲値関連で買われたが、その後は上値が抑えられている。黒田日銀総裁のハト派発言や政府月例経済報告での総括判断引き下げには目立った反応はみられなかった。
NY市場では、FOMCの結果を受けてドルが全面安。政策金利の現状維持は事前見通しと一致。年内の終了を見込まれていたバランスシートの調整については国債に関して5月からのペースを半分に鈍化、9月末で終了と、規模、時期ともにより緩和的に。声明では、景気判断を減速に下方修正。ドットプロットでは年内据え置き見通しを示唆した。全般に予想以上のハト派姿勢がみられた。ドル円は111円台半ばから110円台半ばへ下落。ユーロドルは1.13台半ばから1.1450手前まで上昇。NY朝方にメイ首相がEUに対して6月30日までの離脱期限延長を要請との報道に値を落としたポンドは、その後の揉み合いから、FOMCでのドル売りで対ドルでいったん回復も、その後再び軟調。EU側からの反発が重石に。ポンド円は東京市場の148円台から145円台後半へと大幅下落。
(21日)
東京市場は春分の日の祝日で休場。
ロンドン市場は、ポンドが下落。EU離脱延期の時期をめぐり英国は6月30日までを要請したが、これに対して欧州側からは5月23日の欧州戦選挙を越える延長は認められないとの反論がでている。きょうの欧州首脳会議に先立ってトゥスクEU大統領とメイ英首相が会談を行うが、双方の主張に食い違いを解決できるのか不透明感が広がっている。ポンドドルは1.32台前半から1.31台前半へと100ポイント超の下落。この動きに連れてユーロドルは1.14台割れへ。ドル円は序盤に110.30レベルに安値を広げたあとは110.60付近まで下げ渋り。前日米FOMCを受けたドル安を戻す方向へと動いている。英金融政策委員会は予想通りの政策据え置き。
NY市場は、ドルに買い戻しが入った。ドル円は110.90台まで上昇した。アップル株の上昇をきっかに、FOMCでのハト派姿勢も見直されて米株が上昇。また、序盤に2.50%割れまで低下した米10年債利回りが、その後は上昇。円、ドル両面でドル円相場を下支えした。ユーロドルは1.14台を割り込むと1.1340台まで下落、FOMC後のドル売り分を解消した。ユーロ円は125円台後半から126円近辺で下に往って来い。ポンドドルは一時1.30割れ寸前まで下落。ただ、その後は1.31台を回復。ポンド円は144円割れが回避されると145円台半ばへ。EU首脳会議はNY引け後に声明が出され、英議会でEU離脱案が承認されれば5月22日を離脱期限に、としている。承認されなければ、4月12日までEU離脱を延期、欧州議会選への英国の参加の可否を迫った。
(22日)
東京市場は、小動き。ドル円は110.70-80レベルを中心とした揉み合いに終始した。週末出であることに加えて、月末・四半期・年度末などの接近で動意が鈍った。今週のFOMCでは、景気減速に配慮し年内の利上げ停止を示唆したほか、バランスシートの縮小停止計画を公表し、ハト派寄りの方針を明確化したが、ドル売りは続かず。世界経済をけん引する米経済の減速は世界に対する逆風がさらに強まったことを意味し、ドル安が他の通貨を押し上げることにつながっていない。ユーロドル1.13台後半、ユーロ円125円台後半から126円付近で取引。
ロンドン市場では、ユーロが下落。独仏およびユーロ圏の3月PMI速報値が予想以上に落ち込んだことが背景。景気鈍化が懸念され、欧州株が下落、独10年債利回りが一時マイナス領域に低下とリスク回避の動きが広がった。ユードルは一時1.13台割れ、ユーロ円は124円台後半へと急落。ドル円、クロス円全般にも円高圧力が波及した。トルコリラが大幅安となっている。トランプ米大統領のゴラン高原のイスラエル帰属に関する発言をトルコ大統領が非難しており、双方の緊張が再燃。序盤はポンド売りが先行。ただ、その後は買い戻しの動きがでており、調整主導に展開に。昨日のEU首脳会議では英離脱延長で合意したが、英議会での離脱案承認がなければ4月12日まで延長、承認されれは5月22日まで延長と、メイ首相が要求する6月末の提案は拒否された。
NY市場でドル円は米国のPMIの弱さが世界的な景気鈍化懸念を誘う格好で一時109円74銭近辺まで。ダウ平均が460ドル安となるなど、米株安の動きが広がったことも、リスク警戒感からの円買いを誘った。クロス円も軒並みの下げ。特にロンドン市場で対ドルでも値を落としていたユーロに対する下げがきつく、一時123円80銭台までと海外市場だけで2円以上円高に。
執筆者 : MINKABU PRESS
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