【新興国通貨】トルコ中銀は引き締め姿勢堅持も、今後に二つの課題
今週二つの大きな材料のあったトルコリラ。
一つ目、
4日に発表された消費者物価指数(CPI)は19.67%と1月の20.35%から若干ながら改善しました。
昨年のこの時期の10%台を中心とした推移から、
昨年10月には25.24%まで上昇していましたので、
ようやく一息といったところです。
二つ目、
6日のトルコ中銀金融政策会合は現行の24.00%で政策金利を据え置きました。
声明では必用ならば一段の金融引き締めを躊躇しないと
これまでの表現を踏襲し、引き締めスタンスを強調。
インフレ見通しが大きく改善するまで引き締め的なスタンスを維持としています。
物価の上昇がトルコの最大のウィークポイントだけに、今回の結果は素晴らしいとは言えないまでも一安心といったところ。
トルコリラも安定的な動きを続けています。
こうしたトルコリラですが、今後の注目材料が二つあります。
一つは3月31日に予定されている統一地方選挙。
少し落ち着いたとはいえ、年間20%近い物価上昇は庶民生活の大きな問題となっており、不満がたまっています。
エルドアン大統領は、安い野菜直売所の整備など、ガス抜きに向けた対応を取っていますが、
もし選挙で負けた場合、もう一段のバラマキを実施する可能性があります。
また、高い政策金利が高インフレを読んでいるという大統領の渋滞の主張の下、
中銀への圧力を強める可能性もあります。
もう一つは今月米USTRが発表したGSPプログラムからのトルコとインドの除外です。
120カ国に及ぶ新興国に対する輸出優遇策である同プログラム。
インドの除外理由は市場アクセスの不整備ですが
トルコの場合は、十分に多様化して発展していると、要は同プログラムからの卒業といったところです。
ただ、今回の除外措置。
純粋な経済的な問題ではなく、政治的な駆け引きもありそう。
両国はロシアのミサイルシステムS-400を導入しており、
トルコでは今年夏からの運用が見込まれています。
これに米国や欧州は反発しており、今回の決定も、その関係悪化の流れという見方が一部であります。
2017年のトルコの対米輸出のうち、同プログラムによって優遇(関税無しなど)を受けたものは17.7%と
それなりの割合に上ります。
今後のトルコ経済への影響、ひいては通貨への影響が気になるところです。
minkabuPRESS編集部山岡和雅
執筆者 : MINKABU PRESS
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