【NY市場】米GDPが予想上回りドル買い優勢 ドル円は200日線を上回る
きょうのNY為替市場はドル買いが優勢となり、米国債利回りの上昇と伴にドル円は200日線を上回る展開となった。ベトナムのハノイで行われた米朝首脳会談は不調に終わったようだが、リスク回避の動きも一時的でドル円は水準を維持していた。そのような中、NY時間に入って発表された10-12月期の米GDP速報値が予想を上回ったことでドル買いが強まった。
GDPの7割を占める米個人消費は予想にこそ届かなかったものの底堅さは堅持しており、今回は設備投資の伸びが顕著に見られた。前年同期比では3.1%成長と、トランプ政権が掲げる3%成長を達成している。減税の効果が持続的な成長を支援したようだ。今回のGDPから民間の内需が今後もモメンタムを維持する可能性を示唆するポジティブな内容との見方も出ている。
GDPのあとに発表になったシカゴPMIも強い内容だったことももあり、ドル円は111円台を回復し、200日線を上回る動きとなった。
今回のGDPを経ても市場ではまだ、FRBの年内利上げ期待までは高めていない。しかし、パウエルFRB議長はバランスシートの縮小終了の可能性には明言しているものの、利上げの選択肢は残している。今後の指標が力強ければ、市場も利上げ期待を再び高める可能性を示すGDPではあった。
ユーロドルは戻り売りが強まった。ロンドン時間には1.14ドル台に再び上昇していたが、NY時間に入って、米GDPやシカゴPMIが強い内容となったことから、ユーロドルは一時1.1360ドル近辺まで下落。
21日線が1.1350ドル近辺に来ておりその水準は維持しているものの、1.1390ドル近辺に来ている100日線は上値抵抗となった模様。ロンドン時間には月末のドル売り需要もあり、ユーロドルは1.14ドル台を回復していたものの、ユーロ自体に買い材料はない。
この日はドイツの2月の消費者物価指数(HICP)が発表になっていたが、前年比1.7%と前回と変わらずとなっていた。ドイツ経済の低迷が伝わっている割にはインフレはしっかりしている印象だが、今回はまだ昨年9月から12月にかけての原油安が反映されていないとの指摘も出ている。今回のドイツのHICPは来週のECB理事会では参考にならないとの見方も出ているようだ。明日はユーロ圏の速報値が発表される。
ポンドは利益確定売りに押されている。場合によっては3月の離脱期限の延期の可能性が示唆されており、安心感からポンドは買い戻しが急速に進んでいた。ポンドドルは1.33ドル台まで上昇していたが、2月半ばからの2週間で500ポイント上昇。過熱感を示すRSIも買われ過ぎの水準である70に到達しており、さすがにきょうは一服感が出ていたようだ。
ここから更に上値を目指すには材料が必要との声も聞かれる。メイ首相がEUと合意した離脱案が再び議会に否決されたとしても、議会は合意なき離脱を回避することができる。しかし、それは3月中旬まではない。
minkabu PRESS編集部 野沢卓美