今週のまとめ2月18日から2月22日の週
18日からの週は、神経質な相場が続いた。米中貿易協議がワシントンで再開されており、期待と不安が交錯。協議中とあって正式な発表がない段階で観測報道が飛び交った。主要構造6項目(知的財産権、サービス、技術移転、農業、為替、非関税障壁)について、覚書を作成中との報道が好感された。一方、中国大連の港湾当局が豪州産石炭の輸入を停止する方針との報道が、豪ドル売りなど警戒感を広げた。この報道は後で中国当局に否定された。1月開催の米FOMC議事録は、バランスシートの縮小停止の議論がある一方で、一部で利上げの可能性も言及されていた。、市場が想定していたほどハト派度は高くなかった。英EU離脱については、英財務相からEU側からの譲歩を期待する声があったが、EU側からは合意なき離脱を懸念するムードが漂っている。一部には離脱期限の延長を模索する動きも。ユーロ圏経済指標は弱い結果が多く、今後のECBの対応について関心が広がった。次回理事会は3月7日。
(18日)
東京市場は、ドル安・円安の流れ。ドル円は110円台半ばを挟んで目立った方向性がみえない展開。一方、ユーロドルは1.1280台から1.1320台まで上昇し、ドル円以外の主要通貨についてはドル安の動き。ユーロ円も125円台乗せと円安の動き。ポンド、豪ドル、NZドルなども堅調。ポンドドルは先週末に上値を抑えた1.29台にしっかりと乗せた。日経平均や上海株が大幅上昇となり、リスク選好の動きが広がった。
ロンドン市場は、欧州通貨などでドルがじり安。序盤はドルに買い戻しが入ったが、ユーロドルやポンドドルが再び高値を広げ、先週末のドル安の流れが再燃した。ただ、このあとのNY市場がプレジデントデーのため休場となることもあって、欧州株や米株先物・時間外取引は小動き。全般的に動意薄となっている。ドル円は110.60近辺まで買われたが、その後は一服。ユーロドルは1.13台前半、ユーロ円125円台前半でじり高。ポンドドルも1.29台前半、ポンド円143円近辺へと小幅に高値を広げた。ブレグジット関連の進展は報じられず。むしろ、一部の英労働党議員が離党を表明と状況は悪化している。しかし、欧州通貨売りの動きはほとんどみられなかった。
NY市場は、プレジデンツデーのため休場。
(19日)
東京市場では、円安の動きがみられた。ドル円は110円台での取引。上海・香港株が上げ幅を縮める局面で110.40台へと下押しされたが、黒田日銀総裁発言で円売り反応が広がった。総裁は、必要とあれば追加緩和と発言。ドル円110.70近辺に上昇。豪中銀議事録では、利上げ・利下げ両面の可能性が示された。市場は中立的ととらえ、瞬間は豪ドル買いに反応。しかし、すぐに値を戻してその後は豪ドル売り・ドル買いに傾斜した。ユーロドルは1.13台割れ、ポンドドルは1.29台割れと小幅ながらドル買いが優勢。
ロンドン市場は、ドル買いが優勢。ドル円は、ロンドン市場で110.80台まで高値を更新。ユーロ円やポンド円も序盤は買いが優勢。しかし、欧州株が次第に軟調な動きをみせ、クロス円は円高方向に転じた。ユーロ円は125円台を維持できず反落。ポンド円は43円を挟む水準へと反落。ユーロドルは1.13台前半から1.12台後半へ下落。一方、ポンドドルは1.29割れ水準から1.29台前半での上下動。この日発表された独ZEW景況感は予想を上回ったものの、11か月連続のマイナス領域。デギンドスECB副総裁は、当面は緩和的な政策を維持するとした。英雇用統計では物価の伸びが予想をやや下回っていた。あすにはユンケルEU委員長とメイ英首相が会談を行う予定。ただ、EU側からはバックストップには期限を設けないと釘を刺されている。
NY市場は、ドル売りが優勢。米債利回りが低下、あすのFOMC議事録では年内利上げ停止やバランスシート縮小の早期終了などが注目されている。また、一部報道で米中貿易協議で米側から人民元を安定させるよう中国側に要請したと伝わり、人民元が対ドルで上昇。ドル売りをさらに加速させている。ドル円は111円台を試すことなく伸び悩み、110.50近辺に反落する場面も。ユーロドルは1.13台を回復し、1.1360付近まで上昇。ポンドドルは1.3075付近まで一時上昇し、200日線を回復。投機筋やマクロ系ファンドのポンド買いが観測された。ポンドにとっては、あすのメイ首相とユンケル委員長の会談への期待も。
(20日)
東京市場は、円安が優勢。日経平均や香港株の上昇とともにドル円は110円台後半で111円台をうかがう動きとなった。ゴトウビで仲値にかけてドル買い・円売りが持ち込まれた面もあり、一時110.91レベルまで高値を伸ばした。買い一巡後は110.70台までの反落。午後には中国株が下げに転じる場面があったが、ドル円は高値圏を維持。クロス円も全般に堅調。NZドルにとっては、前日の牛乳価格入札が好調だったことも買い材料に。
ロンドン市場は、全般に小動き。米FOMC議事録の公表をNY午後に控えて様子見ムード。そのなかではポンドの上値が重い。前日のユーロ売り・ポンド買いに調整が入っている。英製造業関連指標は予想を上回ったが反応薄。保守党3議員が離党して、新グループに合流するとの報道にはポンド売りで反応した。ポンドドルは1.30台前半、ポンド円は144円台前半へと軟化。ユーロポンドは0.87台乗せへと反発。ユーロドルは1.13台前半、ユーロ円は125円台後半に高止まり。ドル円は111円手前で上昇一服し、110円台後半での揉み合いに。プラートECB理事は、TLTROについて近く検討すると述べた。南アランドは、政府の財政赤字拡大見通しを受けて下落。今後、リスク回避の動きにつながる可能性も。
NY市場では、FOMC議事録にドル買いの反応がみられた。取引前半はFOMC議事録を控えてドル売りが優勢。ドル円は110.65近辺まで軟化した。議事録では、下振れリスクが強まりや世界および中国の成長鈍化への懸念が示された。注目のバランスシート縮小の終了については、ほぼ全員が今年後半の停止を望んでいることが明らかとなった。事前の想定内の内容だったが、年内利上げ停止について明確ではなかったことがドル買いにつながったもよう。ドル円は110.90近辺まで上昇。ユーロドルは1.13台後半から前半へと反落。ポンドは一時急伸。英国とEUとの離脱協議に関して、スペインのボレル外相が「既に新たな協定で同意していると思う」と述べたことに反応した。
(21日)
東京市場では、円安の動き。米中通商協議において主要構造6項目(知的財産権、サービス、技術移転、農業、為替、非関税障壁)について、覚書を作成中と報じられことに円売りで反応。ドル円は午前中に110.60割れとなるなど調整ムードだったが、報道後は110.87近辺まで買われた。後場の日経平均も買いが強まった。豪ドルは激しい値動き。豪雇用統計で雇用者数の伸びが予想を上回り、豪ドル円は79円台前半から後半へと上昇。しかし、豪大手銀行が年内2回の利下げ見通しを発表したことで下げに転じた。さらに、中国大連の港湾当局が豪州産石炭の輸入を停止する方針との報道に、78.60台まで一段安。
ロンドン市場は、方向性に欠ける取引。ドル円は110円台後半と見慣れた水準での揉み合い。ユーロドルは1.13台でレンジを広げるも方向性はみえず。ポンドドルは1.30台で買い先行も、中盤には反落。欧州株は英株が軟調はほかは、高安まちまち。クロス円も方向性は見えづらい動き。ドイツとユーロ圏のPMI速報値は製造業が悪化、非製造業が改善とまちまち。豪ドルはロンドン市場では下げ一服。EU離脱関連では、ハモンド英財務相からEU側の譲歩への期待がみられたが、ユンケルEU委員長からは合意なき離脱の可能性を排除できずと悲観的な声も。ドンブロフスキEU副委員長やECBレーン氏からはリスクに備える姿勢がみられた。米株先物は小高く推移しており、米中貿易協議への進展期待は温存されているようだ。
NY市場は、ドル買いが優勢。フィラデルフィア連銀指数や耐久財受注など一連の米経済指標は弱い結果だったが、米債利回りの上昇が続いており、ドル売りにはならなかった。前日の米FOMC議事録で年内の利上げについて意見が分かれていることが明らかになっており、市場の想定よりもタカ派の面が残っているとの印象を与えていた。ドル円は110円台後半での揉み合い。ユーロドルは戻り売りで1.13台前半に下落。ECB理事会議事要旨では、3月理事会が判断を下す重要な場と位置付けられた。ポンドドルは1.30台前半に下落。来週27日に英下院採決を控えているが、期待はあるものの、事態に進展はみられていない。
(22日)
東京市場は、主要通貨が小動き。ドル円は110円台後半での推移が続いた。ユーロドルは1.13台前半んで10ポイント程度の狭いレンジ取引。米中貿易協議がワシントンで継続しており、きょうはトランプ大統領が中国副首相と会談する予定。最終合意は難しいとみられているが、3月1日の期限延長などへの期待がかかっている。NZドルが下落。中銀副総裁が、銀行の自己資本増大が金融環境のタイトニングにつながり、利下げに向かうとの見通しを示したことが材料視された。
ロンドン市場では、ややドル買いの動き。ドル円は110.90台へとじり高。ポンドドルは1.30台半ばが重く、1.30台前半へと軟化。買いが先行したユーロドルも1.13台半ばは重く1.13台前半へと押し戻されている。米株先とともに欧州株も堅調。クロス円は総じて円安方向への動き。米中貿易協議への進展期待が温存されているもよう。2月の独Ifo景況感指数が2か月連続の100割れ、ユーロ圏消費者物価指数確報値も速報値と同様に前回からは伸びが鈍化。ただ、ユーロには対ポンドでの買い需要がみられており、底堅く推移している。
NY市場はドル売りが優勢となり、ドル円は110円台後半から110.55近辺まで一時下落。きょうは経済指標の発表もない中で米国債利回りが低下しており、ドル円も戻り売りに押されたようだ。ただ、米株が堅調に推移しており、リスク選好の雰囲気もあることから、ドル円の下値は支えられている。下にも行けず上にも行けない状況が継続。午後になってムニューシン米財務長官の発言が伝わり、米中が通貨に関して最終合意したと述べた。これを受けて人民元がオフショア市場で買われた。
執筆者 : MINKABU PRESS
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