ドル売り優勢 ムニューシン長官の発言で人民元が上昇 ドル円膠着相場が続く=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドル売りが優勢となり、ドル円は110円台後半から110.55円近辺まで一時下落している。きょうは経済指標の発表もない中で米国債利回りが低下しており、ドル円も戻り売りに押されたようだ。ただ、米株が堅調に推移しており、リスク選好の雰囲気もあることから、ドル円の下値は支えられている。下にも行けず、上にも行けない状況が継続。
午後になってムニューシン米財務長官の発言が伝わり、米中が通貨に関して最終合意したと述べた。これを受けて人民元がオフショア市場で買われており、ドル/人民元は6.70元台前半に下落。対円では16円台半ばに上昇している。ただ、ドル円やユーロドルの反応は限定的。
市場は米中貿易協議の行方に注目している。トランプ大統領は「習近平国家主席と会談が3月に実施される」と述べていた。ただ、中国との覚書は短くなるという。
米中協議に関しては、農産物中心に中国は米国からの輸入を増やす方向は合意しそうだが、知的所有権や構造改革ではなお隔たりが大きいとも言われている。市場では3月1日の関税引き上げ期限は延期されるものの、無くなるということはなく、今後も協議を継続して行くことになるのではと見ているようだ。期待通りであれば、最終合意には遠いものの前進は見られているとして、投資家はポジティブな評価を期待している模様。
今週はFOMC議事録が発表され、バランスシート縮小の年内終了をFOMCメンバーのほぼ全員が支持していることが明らかとなった。ただ、市場が期待している利上げ停止については意見が分かれており、今後の経済指標次第ということで利上げの可能性は残している。発表後はドル買いの反応が見られていたが、FRBが慎重になっており、ドル買いの反応は続いていない。
今週のドル円は110円台での狭い範囲での値動きが続いたが、200日線の手前で踊り場に来ており、次の材料を待っている状況だ。
ユーロドルは買い戻しが優勢。この日発表のドイツの企業景況感指標は予想範囲内ではあったものの4年ぶりの水準に低下し、ドイツ企業のモメンタムの弱さが示された。ユーロドルは1.1320ドル近辺まで値を落としていた。ただ、NY時間に入ると1.1355ドル近辺まで一時戻している。しかし、本日1.1365ドル付近に来ている21日線の上値抵抗として機能しており、下向きの流れは続いているようだ。
ポンドも買い優勢となり、ポンドドルは1.3080ドル近辺まで一時上昇した。きょうは一時1.2970ドル近辺まで下落し、200日線を割り込む場面も見られたものの結局、NY時間に入ってその水準はサポートされた格好。ただ、EU離脱交渉の行方は依然として混沌としており、来週の英議会で投票は難しいとの見方も英政府関係者から出ている。
EU当局者が、メイ首相はEU離脱の最低3ヵ月の延期を要請せざるを得ないとの見方を示していた。英議会での承認が得られたとしても、必要な法案可決には時間がかかる。3月下旬のEU首脳会議までに合意が締結できない場合、メイ首相が離脱交渉期間の延長を求めざるを得ないという。ただ、延長期間が3ヵ月より長くなれば、5月に予定されている欧州議会選への英国の参加を求める圧力が生じ、それは英国もEUも避けたい意向。
minkabu PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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