【NY市場】米小売売上高が予想外に弱くドル円は下落 トランプ大統領は署名し非常事態宣言も行う
きょうのNY為替市場、朝方発表の12月の米小売売上高発表後にドル売りが強まった。米小売売上高は予想外の大幅な減少となりドル円も戻り売りが強まる展開。一時110.50円近辺まで下落した。前日は111円台に上昇し、111.30円近辺に来ている200日線を試す気配も見られていた。一方で上値での戻り売り圧力も根強く、200日線手前での売買交錯が続いていた中、きょうの弱い米小売売上高は利益確定売りの背中を押したようだ。
終盤になって「トランプ大統領は予算案に署名した上で、非常事態宣言も行う」と伝わった。ドル円も売買が交錯したものの、110円台半ばで落ち着いている。政府機関閉鎖は回避されそうだが、ペロシ米下院議長は非常事態宣言なら法的異議申し立てを行う意向を示しており、なお動向は警戒される。
クドロー米国家経済会議(NEC)委員長の発言が伝わっていたが、今回の小売売上高は政府機関閉鎖など特殊要因が影響したと述べていた。労働市場は依然として力強く賃金上昇も続く中、12月は株式市場の急落もあり、景気の先行き不透明感が強まっていた。米消費者信頼感も低下していたことから、消費者マインドに何らかの一時的な影響が出た可能性もある。
ただ、FRBがハト派に転換し、利上げ期待も後退する中、現状は雰囲気はだいぶ改善している。果たして今回の小売売上高が示すほど米個人消費が減速しているのか、それともクドロー委員長が示す通り、一時的要因なのか、今後の消費関連指標が注目される。
きょうはブレイナードFRB理事の発言も伝わっていたが、下振れリスクは確かに高まっており、バランスシート縮小は今年の終盤に終了すべきとの見解を示していた。きょうの米小売売上高をきっかけに、FRBのハト派姿勢に市場の目が再び集まっているのかもしれない。
ユーロドルは買戻しが強まり、一時1.13ドル台を回復。きょうはユーロ圏GDP改定値とドイツのGDP速報値が発表になっていた。ユーロ圏GDP改定値は予想通りの内容だった半面、ドイツのGDPは前期比0%と予想は下回ったものの、マイナス成長はかろうじて回避されている。今回がマイナス成長であれば2四半期連続のマイナス成長となり、テクニカル的な景気後退入りになっていた。ただ、あくまで悪くなかったというだけで、先行き懸念は払拭されていない。年内のECBの利上げは難しいとの見方が有力である状況に変わりはないようだ。利上げに強気な見方でも、10月のドラギ総裁の退任まではないとの見方が有力。
ポンドは売りが続き、ポンド円は141円台半ばに下落。英EU離脱交渉の行方が依然として不透明で、「合意なき離脱」への懸念が根強い中、ポンドは売りが続いている。きょうは英下院で3つの修正案の投票が実施された。「合意なき離脱」を選択肢から外す修正案だが否決されている。メイ首相の修正案はまたしても否決された。ポンド円はきょうの下げで21日線を下放れる動きが見られており、明日以降の動きが警戒される。
minkabu PRESS編集部 野沢卓美