とれんど捕物帳 FRB議長の発言は実に大きい! シャドーレートからすれば、そろそろ良い感じか


 今週は英議会の擦った揉んだに翻弄されてしまっていた感もあったが、ドル円は意外な底堅さを見せ、21日線の水準まで買い戻されている。ドル自体も下げ渋ったようだが、最大のポイントは米株式市場の買い戻しではなかったであろうか。

 現在のドル円は、FRBがハト派姿勢を垣間見せ始めたことで、ドル売り圧力から下値警戒感は高まっているものの、クリスマス明け以降、株式市場が息を吹き返しており、リスク選好の雰囲気が下値をサポートしていると思われる。クリスマス前までは景気後退の文字が躍っていたが、最近は減速はするが意外に拡大局面は長持ちするのではといった楽観的な見方も出始めている。

 最近の動きを見ると、FRB議長の発言が与える影響は実に大きいということを、まざまざと感じさせられる。パウエルFRB議長の「辛抱強くいられる」という一言が局面を大きく変えた。特に米株式市場はその典型で、センチメントが一気に改善している。

 今週の米大手銀の決算に対する反応は特に象徴的であっただろう。わざわざ良いところを探しに行っている。市場はこんなものなのかもしれない。恐らく昨年末にかけての株急落と市場の雰囲気悪化にFRBもビッビタのであろう。来年に大統領選挙を控えたトランプ政権の異例の圧力もあって、ようやくFRBも、株主対策に重い腰を動かしたようだ。

 米国に一撃を食らわしたければ、株を売ってやるのが効果的かもしれない。超まとまった売りを無理矢理入れ、一旦落としてやれば、あとはシステムが勝手に、どんどん売ってくれる世の中になっている。もっとも、そんなことができる国も人も、まずいないであろうが。

 市場の目先のテーマは、米中貿易問題ももちろんだが、FRBが年内に利上げサイクルを止めるかどうかも気になるところであろう。「シャドーレート」の見方を示したレポートが出回っていた。シャドーレートとは簡単に言うと、リーマンショック後にゼロ金利政策をとったあとも、FRBは量的緩和(QE)を継続した。その量的緩和分も金利に換算すると、どれだけの効果があったのかというもの。

 ちなみに、シャドーレートの概念はオプションなどデリバティブの価格算定によく使用される、ブラック・ショールズ式を考え出したフィッシャー・ブラック教授が提唱した概念。

 アトランタ連銀の試算では、FRBが量的緩和の第3弾を終了した2014年には、FRBの誘導目標であるFF金利は、市場取引ベースで、マイナス3%近くまで低下していたという。そこから考えれば、現在は2.4%程度で取引されていることから、5.4%程度利上げしたことになるとしている。過去のFRBの利上げサイクルを見れば、そろそろ利上げを停止してもおかしくない。どうも、最近のFOMCメンバーの発言からすると、中立金利の水準を2.5%から3%で考えている節がある。春以降、インフレ率(PCE)が2.5%に向かいそうであれば、あと2回、そうでなければ、あと1回といったところなのであろう。

 さて来週だが、米企業決算を無事に乗り切れるかがドル円にとっても、ポイントのように思われる。今週の米大手銀の決算への反応を見た限りでは、期待したいところでもある。ネットフリックスの決算も冴えなかったが、市場全体には広がらなかった。来週はハイテクや産業など中国絡みの米企業決算も発表される。中国の経済指標なども発表され、怪しげな雰囲気もあるが、無事乗り切れば、ドル円は110円台回復も十分想定される。ただ、110円台での売り圧力は相当程度あるものと推測され、110円台維持は簡単ではないであろう。

 なお、ドル安の受け皿に成り切れていないユーロだが、来週はECB理事会が予定されている。ドイツ経済の不調もあってか、ドラギ総裁もハト派トーンを強めている印象があり、ユーロ安の反応も警戒される。

 来週のドル円の予想レンジだが、108.50~110.50円を想定。スタンスは「やや弱気」とする。

()は前週
◆ドル円(USD/JPY) 
中期 下げトレンド継続
短期 →(↓↓↓)

◆ユーロ円(EUR/JPY)
中期 下げトレンド継続
短期 →(↓↓)

◆ポンド円(GBP/JPY)
中期 下げトレンド継続
短期 ↑(↓↓↓)

◆豪ドル円(AUD/JPY)
中期 下げトレンド継続
短期 ↑(↓↓↓)

◆ユーロドル(EUR/USD)
中期 上げトレンド継続
短期 ↑(↑↑)

◆ポンドドル(GBP/USD)
中期 上げトレンド継続
短期 ↑↑↑(↑↑)

minkabu PRESS編集部 野沢卓美

出所: minkabuPRESS

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