米中協議への期待からドル買い優勢に ドル円は109円台後半まで上昇=NY為替前半
きょうのNY為替市場はドル買いが優勢となっており、ドル円は109円台後半まで上昇している。米中協議への期待から市場ではリスク選好の雰囲気が強まっており、株高、米国債利回り上昇がドルの買い戻しに繋がっているようだ。
前日はムニューシン米財務長官が、市場に落ち着きを取り戻させるために中国への関税引き下げを提案し、米当局者が検討と伝わっていた。米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表が議論に加わってないことや、米財務省も否定しており、懐疑的な見方もあるが、市場は期待を高めている。
そのほかきょうは、1月初旬の米中次官級協議で中国が、貿易不均衡解消に向けた道筋を示したと伝わっている。中国は毎年1兆ドル超輸入を増やし、6年後の2024年には貿易赤字を解消する計画を示したという。ただ、米国側は中国の提案を懐疑的に見て、更に迅速な不均衡解消を求めたと伝えていた。両方とも疑問符付きではあるが、市場は期待感を高めている模様。
弱い決算や米経済指標が伝わっていたものの、ドル円は下押すことなく上値追いを続けている。一時109.90円近辺まで上昇し、大きな心理的節目である110円を試しに行くか注目されるところではあるが、110円に近づくと、輸出企業やオプション絡みの売りが相当程度並んでいそうで、簡単では無さそうだ。
ユーロドルはNY時間に入って売りが加速し、1.13ドル台半ばまで下げ幅を拡大している。特にユーロ売りの材料は見当たらないが、ドルの買い戻しが続いており、ユーロドルの上値は重くなっている。1.14ドル台での上値の重さに耐え切れなくなっているのかもしれない。
来週はECB理事会が予定されている。政策は据え置きが確実視される中、ドラギ総裁の会見が今回も注目となりそうだ。先日の議会での発言もあり、利上げに慎重な内容になる可能性もありそうだ。このところのFRBの慎重姿勢から市場では、米金利先高観が後退しており、ドル建てのエクスポージャーが減少している。しかし、米国とユーロ圏の金利差は歴然とある中で、ユーロは依然としてキャリー取引のファンディング通貨から抜け出せないようだ。
目先は11月下旬以降、強いサポートとなってきた1.13ドルちょうどの水準が意識される。その前に1月4日にサポートされた1.1345ドルの水準が目前に迫っている。
ポンドドルも利益確定売りに押され、1.28ドル台まで下落している。メイ首相が一部の閣僚と会合を行っており、2回目の国民投票は支持しないと語ったという。EU離脱に向けての次のステップについては何も話さなかったという。
ポンド円は141円台前半まで下落していたが、ドル円が堅調な動きとなっていることから、141円台半ばまで下げ渋る展開が見られている。
minkabu PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。