【NY市場】対中関税引き下げ検討の報道でドル円は一時109.40円近辺に上昇
きょうのNY為替市場、終盤にドル円は買いを強め、21日線が来ている109.40円近辺に一時上昇した。一部報道で、市場に落ち着きを取り戻させるために米政府が、中国への関税引き下げを検討と伝わった。ムニューシン米財務長官から提案があり、当局者がそれを議論しているいう。米財務省はその報道を否定しており、ドル円も直ぐに伸び悩む動きとなったが、米株が上げを維持したことから、ドル円も109円台での取引を続けた。火のないところに煙は立たずか。
きょうのNY為替市場で、ドル円は買いが優勢となり、109円台に戻している。前日のNY市場では109.20円近辺まで上昇したが、東京時間に戻り売りに押され108円台に値を落としていた。109円台に入ると輸出企業の売りオーダーなども活発に出ていた模様。
EU離脱を巡る英議会の投票が通過し、市場は様子見気分が強まっている。次の材料を待っている雰囲気だ。FOMCメンバーがハト派色を強める中、米金利先高観は後退しており、ドル円は110円を目指す動きまではまだ見られていない。しかし、このところ市場では、米景気の先行きに悲観的過ぎたとの見方も出ており、米株式市場も買い戻しが続いている。きょうはモルガン・スタンレーの決算が失望的な内容だったものの、株式市場は底堅さを堅持しており、ドル円もサポートされている。
来週以降、米企業決算は更に本格化してくるが、株式市場が乗り切れるようであれば、ドル円も一時的な買い戻しが優勢となる局面も期待される。ただ、下値警戒感は依然として根強い状況に変化は無い。
ユーロドルは1.13ドル台後半で上下動。ロンドンフィキシングにかけて売りが強まり、1.1370ドル近辺まで一時下落した。ロンドン時間に1.14ドル台に戻していたものの上値の重さから、見切売りが強まった模様。しかし、フィキシングにかけての売りが一巡すると、買い戻しも出ている。
ユーロは対ドルのみならず、対ポンドでも売り優勢。今週のドラギECB総裁の議会での発言から、ECBに対するハト派な雰囲気が市場に強まっている。ドイツはかろうじて、第4四半期のマイナス成長は回避したようだが、ユーロ圏の先行き警戒感は強まっている。昨年まで高まっていた9月の利上げ開始期待は後退しており、ユーロの上値を重くしているようだ。
ポンドは買い戻しを強め、対ドルで一時1.30ドルちょうど付近と、2ヵ月ぶりの高値水準に上昇した。100日線を完全に上放れする展開。ポンド円も142円台に一時上昇し、21日線を上放れる展開が見られている。
今週英下院は、メイ首相とEUが合意した離脱協定案を大差で否決したが、野党から提出された内閣不信任案も否決しており、総選挙の可能性はほぼ無くなった。
きょうはメイ首相が野党の党首と会談を行っていた。一部報道ではメイ首相が、これまで頑なに拒否していた2回目の国民投票について議員らと情報を共有していると伝わっている。国民投票となれば、EU離脱自体が否決される可能性もあることから、ポンドにとっては買い材料だが、いずれにしろ、情勢は混沌としている。なお、メイ首相は予定していたダボス会議は欠席の意向が伝わっていた。
minkabu PRESS編集部 野沢卓美