【NY市場】株にらみの中、ドル円は108円台で上下動
きょうのNY為替市場、序盤のドル円は戻り売りに押され108円台半ばまで値を落としていた。米株が大幅高で始まったものの戻り売りに押され、ドル円も追随した模様。市場では、北京で行われている米中次官級協議への期待感を高めており、リスク選好の雰囲気が広がっている。しかし、米株についてはここ数日の急ピッチな上昇から上値では戻り売り圧力も強まっている模様。ただ、後半には米株と伴にドル円も下げを戻している。
米中次官級協議は明日まで協議が延長された。一部報道では、米中はまだ結論を出す段階には至っていないが、中国による米国からの商品やサービス購入を含む、問題解決への進展は見られており、両国の溝は埋まって来ているという。今月下旬の閣僚級協議まで発展しそうな気配ではある。
本日のドル円は109円台を一時回復するなど、年初のフラッシュ・クラッシュ(瞬間的暴落)による瞬間的な104円台への急落からは、だいぶ回復してきた。しかし、先日のパウエルFRB議長の発言など、ここに来てFRBが利上げに慎重姿勢を垣間見せており、年内に利上げサイクルを終了するとの見方も有力になりつつある。そのような中でドル円の上値を積極的に追うインセンティブもなく、110円台までの回復は難航しそうだ。
なお、明日はFOMC議事録が発表される。FOMCメンバーは今年の金利見通しを9月FOMC時点の3回から2回に下方修正した。今年の利上げについて、どのような協議が行われたのか、その詳細が注目される。
ユーロドルは、この日発表のドイツ鉱工業生産が弱い内容となったことで、景気後退への不安が高まり一時1.14ドル台前半まで下落。しかし、1.14ドル台は維持されている。
先日のパウエルFRB議長の発言など、ここに来てFRBが年内の利上げサイクル終了を示唆する姿勢も垣間見せており、ドルは軟調な動きが見られている。しかし、同時にユーロ圏の先行き不安も高まってきており、ドル安に対してユーロは受け皿になっていない。きのうは1.15ドル台をうかがう動きも見られていたが、到達せずに失速している。
ただ、一部からは米国債とドイツ国債の利回り格差が縮小してきており、金利差と為替レートの相関関係が強まれば、ユーロドルは上値を目指すとの見方も聞かれた。
ポンドは売り優勢でポンドドルは本日安値圏での推移を続けている。一方、ポンド円は一時137円台まで値を落とした。具体的な悪材料は出ていないが、合意なき離脱への警戒感がポンドの上値を重くしているようだ。
いよいよ来週、EU離脱合意を巡る英下院での採決が行われる予定だが、メイ首相は採決を1月15日に行う計画だと発表した。9日に議員らの承認を得た上で確定する。メイ首相は、アイルランド国境のバックストップ案について、暫定措置であることをEUに確約を求めているという。もし、確約を得られなければ議会で否決される可能性も高まる。なお、離脱手続きであるリスボン条約50条の延長はしないとしている。
minkabu PRESS編集部 野沢卓美