【NY市場】ドル円は下値模索 株ではなく米国債利回りの下げが圧迫
きょうのNY為替市場は小幅な値動きが続いた。きのうまでは株にらみの展開だったが、きょうはその動きは見られていない。きょうのダウ平均は反落したものの米株は底堅さも見せていた。しかし、ドル円は下値模索が続いていた。むしろ、米国債利回りの下げに反応していた模様。
トランプ大統領はツイッターで、「妨害が目的の民主党が壁建設の予算を認めず、米国が負わされている滑稽な移民法を変えないのであれば、南部の国境は完全閉鎖を余儀なくされるだろう」とツイートし、国境の全面閉鎖も辞しない考えを示していた。米下院は暫定予算案の週内採決を見送っており、米政府機関閉鎖は年明けまで続く見通しとなっている。
ドル円は前日こそ111円ちょうど付近に来ている200日線を回復していたが、再び割り込んでいる。今年最後の週末ということもあり、東京勢も明日から正月休みに入る。円相場の参加者も少なくなる中、きょうは実需の調整が主体だったようだ。終盤になってやや下げ幅を広げ、110.15円付近まで下落した。
ユーロドルは1.14ドル台半ばで上下動。ドル売りが続いておりユーロドルをサポートしている。ユーロ自体に買い材料はない。きょうは一時1.1475ドル近辺に上昇し、100日線をうかがう動きが見られたものの、戻り売りに押され到達できていない。
ECBは今月で資産購入プログラムを終了し出口戦略に舵を切った。来年は利上げが期待されるが、ECBは少なくとも夏を通してまでの金利据え置きにコミットしている。直近の経済指標が弱く、この日発表のドイツ消費者物価指数(HICP)速報値も前年比1.7%と予想を下回る内容となっていた。この状況からすると次の利上げ時期はまだ想定できない。
ユーロ圏には政治的不安もある中、ユーロに対するインセンティブはなく、上昇するとすればドル売りが強まる条件のみということになりそうだ。
きょうのポンドは底堅い動きを見せ、ポンドドルは一時1.27ドル台に上昇したほか、ポンド円も140円台を回復していた。ポンドドルは21日線が控える1.2660ドル水準を維持していることで、底堅い雰囲気が広がっている模様。ただ、1.27ドル台に入ると戻り売り圧力も根強い。
来年1月14日に実施される英下院での投票待ちの雰囲気に変化はない。1月2日にメイ首相が合意なき離脱の場合の対応を閣僚と協議するとも伝わっており、来週はその動向が注目される。この日はハント英外相の発言がポンドをフォロー。同相はEUがアイルランド国境のバックストップ措置を期限付きとすることで明確化してくれれば、英下院は通過する可能性があると言及していた。
minkabu PRESS編集部 野沢卓美