ドル売り優勢 調整中心も来週の米中通商協議に向けて思惑も=NY為替後半
NY時間の終盤になってドル売り・円売りの動きが強まっており、欧州通貨は買い戻しが強まっている。午後になって米中貿易問題への期待が高まっているようだ。ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙が関係者の話として、米中の通商問題担当者が、11月末にブエノスアイレスで開催されるG20サミットの際の米中首脳会談に向けて、こう着状態を終わらせるためのロードマップを描いていると伝えている。来週は次官級の米中通商協議が再開するが、問題解決に向けて進展が見られるのではとの期待感が高まっている模様。
きょうのNY為替市場はドル売りが優勢となった。週末ということでポジション調整の動きが主体だが、来週の米中通商協議に向けて中国当局が人民元高を誘導してくるのではとの思惑もドル売りを誘っている面もあったようだ。ニューヨーク・タイムズ紙が、米財務省が今後の米中通商協議で人民元を上昇させるよう中国に圧力をかけようとしていると報じたこともドルを圧迫している。
序盤はトルコリラが再び下落しリスク回避の円高も見られた。トルコの裁判所が米国人牧師の開放要求を却下した。米国によるトルコへの追加制裁の可能性が高まっており、トルコリラを押し下げている。
ドル円は一時110.30円近辺まで下落する場面も見られたが、下値では押し目買い意欲も根強い中、心理的節目の110円を試しに行く動きまでは見られなかった。後半になって中貿易問題関連の報道から110.60円近辺に戻している。
110円台を堅持し底堅さも見せているが、今週のチャートは21日線で上値を抑えられた格好となっており、7月の中旬以降の下げトレンドからなお抜け出せていない。
一方、ユーロドルは1.1440ドル付近まで上昇。トルコリラの下落で戻り売りが強まり1.13ドル台に値を落としたものの、貿易問題関連の報道から終盤になって買戻しが加速した。これまで1.14ドル台に入ると上値を抑えられ、1.1420/30ドルの水準は強い上値レジスタンスとなっていたが上抜いている。
ただ、ユーロに関してはトルコ危機が沈静化したとしても景気回復の鈍さから、来年の夏の間中まで金利を据え置くというECBのスタンスには変化はないものと見られており、上値が重い展開を予想する向きは多い。
きょうはカナダドルの上げが目立った。この日発表になったカナダの消費者物価指数(CPI)の強さは驚きだったようだ。カナダ中銀は貿易摩擦の悪影響には言及しているものの、追加利上げに関しては否定していない。市場も年内に80%以上の確率で利上げがあると見込んでいるが、きょうのCPIはその期待を十分に裏付ける内容ではあった。
minkabu PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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