リラの暴落が警戒誘う、ユーロ売りも顕著に
忙しい人のサマリー
リラの暴落が警戒誘う、ユーロ売りも顕著に
トルコへのエクスポージャー懸念での欧州銀行株安やユーロ安に
週明けもリラ相場は不安定で注意が必要か
【東京市場】リラ安、ユーロ安、ドル高
午後にトルコリラが対ドルで値を落とし警戒感を誘った。
さらに、ユーロドルが節目の1.15を割り込み動きが加速。
ドルインデックスが13か月ぶりの高値を付けるなど、ドルはほぼ全面高。
午後に入って最初の動きは12時半過ぎにドルトルコリラでのドル買いリラ売り。5.6を超えて一気にドル高が強まる展開に。
警戒感が広がる中で、次の動きはユーロドル。6月に2度下値を押さえ、その後今月もいったん下値を押さえた感のあった1.15手前の買いをこなし、ストップを巻き込んで1.14台へ。
英紙がスペイン・フランス・イタリアの市中銀行名を出して、ECBがトルコのエクスポージャーを懸念と報じたことが、ユーロ売りのきっかけに。
ユーロドルが1.14台前半まで落とすなど、ドルは全面高。豪ドルなどに対してもドル買いに。
ドル円はリスク警戒の円買いとドル買いに挟まれてもみ合い。若干ドル買いが優勢で111円台回復も、他の通貨に比べると動きは限定的で、ユーロ円や豪ドル円などでは円買いの動き。
【ロンドン市場】リラ暴落へ
ロンドン市場朝にリラ売りが加速した。
東京午後にいったん下げた後のもみ合いから再びリラ売りが広がり、ドルリラは6.30近辺に。リラ円も一時17円台まで値を落としている。
ユーロドルが1.14台前半を付けるなど、ドル高の動きも継続。ドル円はドル買いと円買いに挟まれてもみ合いに。
欧州銀行株安の流れがユーロ売りを誘っており、ユーロ円なども値を落とす展開に。
英紙に名指しされた欧州銀行3行はいずれも大きく株安に。
【NY市場】リラさらに急落
リラがさらにん下げて、一日の下げ幅は対ドルで約20%と歴史的な動きに。
リラ円も大きく下げる展開でパニック相場。
トランプ大統領がリラ安を受けてトルコからの鉄鋼・アルミの関税を倍に引き上げ(アルミが10%、鉄鋼が50%)にすることを承認するとツイートし、一気にリラ売りが進んだ。
エルドアン大統領が強硬姿勢を継続したこともあり、混乱が続いた。
ドル円はドル高と円高でもみ合い。一時111円台を付けるなど、買いが入る場面も見られた。
【本日の見通し】リラ相場動向などにらむ
先週末に大きく値を崩したトルコリラ。
対ドルで一時約20%の下落と、暴落を見せたリラ動向が市場全体のリスク警戒を誘っており、当面の市場の注目材料に。
トルコへのエクスポージャーが多いといわれた欧州の銀行株が大幅安となりユーロも軟調地合いを示すなど、他の市場への影響も大きい。
週末にエルドアン大統領が強気姿勢を崩さなかったこともあり、週明けリラ安がさらに進んで取引が始まっている。こうした混乱がどこまで続くか。ユーロ円でのユーロ安円高を中心に円高圧力になると考えられるだけに、ドル円、クロス円への影響も含めて意識したい。
【本日の戦略】情勢見極めに
リラ相場の動向を見極めたい。
トルコ当局は為替取引の制限に向かった。
スワップなどの取引を銀行の資産の50%までに抑える規制を示した。
これにより、海外投機筋からの過度なドル買いリラ売りが抑えられる見込み。
ただ、規制による流動性が減るとスプレッドが広がるなどの影響も予想されるところで
混乱が続きそう。
当面は状況を見極めながらの展開が続く、ドル円は110円台を中心にリスク警戒の動きを続けたい。
ユーロの動向にも注意。トルコへのエクスポージャーは、先進国の中ではユーロの金融機関が最も多いと思われるだけに、欧州株安からのユーロ売りが続く可能性も。
※山岡和雅個人の見解です
為替や、その他いかなる商品について売買を推奨するものではございません