トルコリラ 大荒れの先週から、今週の動きはどうなるか、また想定されるリスクは?
10日の市場でリラは大きく値を崩しました。
ドルリラ市場でのリラの下落率は一時20%近辺まで拡大。
1日の下落率としては2001年以来の大きさとなります。
東京の午前中、5.55-5.58で推移していたドルリラは、昼過ぎに5.60を超えて動きが加速。
5.75近辺までの動きをみせて、この時点でも大荒れという印象を見せていましたが、その後の動きを考えると、まさに序の口。
5.58台まで戻してもみ合った後、NY市場で6.8近辺までと、再びの大幅なドル高リラ安を見せて、6.40近辺まで戻して引けています。
トランプ大統領がトルコリラ安を受けて、トルコに対する鉄鋼・アルミニウムの関税率を引き上げることを発表したことが追い打ちをかけた格好。
エルドアン大統領が、国家的な戦いだとして、個人の保有する外貨をリラに変えることを呼びかけ、
大統領の娘婿であるアルバイラク財務相が中央銀行の独立性、金融政策の完全な独立性を強調、財政規律の強化などを公表しましたが具体性に欠けるとして市場の評価は低く、リラ安を止めることはできませんでした。
では、こうした大荒れを受けて、今週これからのリラ相場について、動きの見通しとリスクを検証していきましょう。
今後の動きですが、リラ安については継続が見込まれます。
リラ安について具体的な防止策が見えず、米国との対立も深刻化する中で、行き過ぎた動きの調整以外での反転は難しそう。通商問題の深刻化、リラ安を受けての物価上昇圧力などを考えると、ここにきて相当進んだリラ安ですがまだまだ下がる余地がありそうです。
さらに、いくつか気になるリスクがあります。
まずは国債のデフォルトリスク。
リラ安を受けて、トルコの外貨建て債務の返済負担が広がっています。米ドルだけでも987億ドルに上る外貨建て債券。返済ができず、デフォルトするとリスク警戒から一気にリラ売りも
国としてのデフォルトを避けても、市中銀行が先に値を上げる可能性も。
自国の通貨の信頼性が低下するなかで外貨を有する市民は、手元にその外貨を確保したいというインセンティブが働きます。しかし、実際にすべての支払いに対応できるだけの外貨がなく、大問題を引き起こす可能性も。
FX取引の場合、取引停止リスクも意識が必要。
流動性に欠けるリラ。これ以上の相場続き、政府から金融市場への圧力が強まると市場の流動性がさらに強まり、カバー取引ができなくなる形で、取引が停止となる可能性があります。
この場合、ポジションは指定されたレートで強制決裁となります。
もちろん、米国との関係が収まり、中銀が積極性を一転して見せて、臨時会合での緊急利上げでも実施すると雰囲気が変わる可能性があります。
外貨準備の関係でまずないと思われる介入も一応頭に入れる必要(効果は不十分と思われますが)。
上下ともにリスクがあり
特に下方向のリスクは状況が今のままでも強くあるだけに、当面は目が離せない展開が続きそうです。