今週のまとめ5月21日から5月25日の週
21日からの週は、円高圧力が優勢だった。米中通商協議では中国が自動車輸入関税の引き下げを発表したが、米国は自動車輸入関税の25%への引き上げについて検討すると発表した。また、トランプ大統領は米朝首脳会談に向けた事前事務協議での北朝鮮側の態度に苛立ちを示して、会談の中止を表明。これに対して北朝鮮側は対話の継続を表明して応じる一幕もあった。加えて、欧州や英国で発表された経済統計の弱い内容が相次ぎ、ユーロ売りやポンド売りの圧力となる面もあった。株式市場は高値からの利益確定売りが優勢になり、日経平均は週間で2%超の下げとなった。原油先物も上昇一服。米10年債利回りは3%の節目水準を再び下回っている。FOMC議事録でインフレのオーバーシュートのある程度容認するとしたことが、緩やかな利上げとなる見方を広げた。6月利上げについては織り込み済みとなっている。ドル円は111円台が重く、109円台へと反落。クロス円も総じて円高方向に振れた。来週にかけてはイタリアやスペインの政局についても話題になりそうだ。
(21日)
東京市場は、ドル円が上昇。ドル高・円安の動きが再燃している。先週末にはポジション調整で110.70近辺まで下押しされて取引を終了。週明けは朝方から買いが優勢となり、111円台を回復。直近の高値を上回り、111.30台まで買われた。ユーロドルは1.17台後半から一時1.1750台を割り込んだ。ユーロ円は堅調で、130円台前半から後半へと上昇。日経平均はドル円の上昇を好感して72円高で引けた。
ロンドン市場は、円売りが優勢。週末の米中通商協議の共同声明で、中国が米国からの財およびサービスの輸入を増大させるとしたことで、ひとまず双方の貿易戦争への矛先は収められた。これを受けて週明けの各国株式市場は堅調に推移。ドル円は111.40近辺まで上昇。ユーロ円は130円台後半、ユーロドルは1.17台での振幅。豪ドルも堅調。そのなかではポンドの上値が重い。ロンドン地区の住宅価格下落が報じられており、EU離脱の影響がでていた。
NY市場では、ドル買いが一服。米株や米債利回りが上昇しており、ドル売り材料は見当たらないが、利益確定売りに押されたもよう。ドル円は111円ちょうど近辺まで反落。ユーロドルは1.17ドル台後半にショートカバーされた。ポンド円は一時148円台に下落。今週の英消費者物価指数の発表やあすの英議会でのインフレ報告に関する英中銀当局者への公聴会などを控えて軟調。
(22日)
東京市場は、方向感に欠ける動き。ドル円は111円台を回復する場面があったが、上値は重く110.84近辺に下押しされた。ユーロドルは1.17台後半での揉み合い。目立った新規材料はなく、ポジション調整の動きが中心。
ロンドン市場では、ドル相場の上値が重い展開。序盤は米債利回り上昇とともにドル高方向を試したが、ドル買いは続かずドル売りに反転した。ドル円は111台乗せから110円台後半へと小安い。ユーロドルは1.17台半ばに下押しも反転して1.1830近辺まで反発。ブリハ英中銀委員が議会公聴会で向こう3年間は年間1-2回の利上げを見込んでいると発言、タカ派な内容と捉えられた。ポンド相場は買いが優勢となった。豪ドルは原油高を受けて堅調となるなど、全般にドル高は一服。
NY市場では、ドル円に利益確定売りが優勢だった。このところ111円台では売りに押される展開となっており、一時110.80近辺まで下押しされた。一方、米債利回りの上昇は続き、押し目買いも。終盤にはトランプ大統領が、米朝首脳会談が実現しない可能性はかなりある、と述べて米株安とともにリスク回避の圧力がみられた。ユーロドルとポンドドルは戻り売りが上値を抑えた。
(23日)
東京市場は、ドル相場が調整売りに押された。今週のドル円は111円を挟んで上下動の動きとなっていたが、この日は110円台後半の買いをこなして110.30台まで下落。東京朝方にトルコリラが急落、リラ円の下落がドル円の売りに波及した面も。北朝鮮情勢も引き続き重石。ユーロドルは1.17台後半での揉み合い。ユーロ円は頭の重い展開。
ロンドン市場では、円買いの動きが強まった。ドル円、クロス円ともに大幅下落。前日のNY市場で、米朝首脳会談の延期の可能性が示唆されたことで米株が大幅安となり、その後世界の株式市場に売りが波及している。リスク回避を受けて米10年債利回りは3.05%台から3.00%台へと低下。欧州通貨にとってはユーロ圏PMIが弱い結果だったことや英CPIの伸び鈍化も売り圧力と後押ししていた。ドル円は109円台後半へ、ユーロ円は128円台、ポンド円は146円台へと下落。トルコリラも一段安に。
NY市場は全体的にリスク回避ムードが広がった。米中通商協議や北朝鮮問題への不透明感が再燃していることが背景。また、FOMC議事録では6月利上げを示唆する内容が見られる一方で、インフレ目標の2%を超える状況をしばらくは許容する姿勢を示し、緩やかな利上げ姿勢を強調した。これを受けて米債利回りが低下。ドル円は110.30近辺まで戻していたが、110円ちょうど近辺へと伸び悩んだ。ユーロドルは議事録後に下げ渋りも、上値は重く1.16ドル台へと軟化。米国は自動車輸入税を25%に引き上げることを検討と報じられた。
(24日)
東京市場は、円高の動きが優勢。ドル円は110円近辺から上値が重くなり110.30台まで下落。クロス円も軒並み下落。ユーロ円は128円台後半から一時128円割れ。ユーロドルは1.17近辺での揉み合い。前日のFOMCが慎重姿勢だったことや米自動車関税の報道で米債利回りが低下、円高とともに日経平均も下げた。
ロンドン市場では、円高の動きが一服。欧州株が堅調に推移し、リスク回避動向は落ち着いている。ドル円は107.70台まで反発。ユーロ円は128円ちょうど近辺から128.88レベルまで上昇。東京市場での下げを戻した。4月の英小売売上高が好調だったことでポンドが買われており、円安につながった面も。イタリアではコンテ氏が組閣に着手、イタリア債の下落が一服した。
NY市場では、リスク回避の円買いが再燃。米朝首脳会談が中止になったことが伝わり、市場は地政学リスクへの警戒感を強めた。ドル円は一時109円割れとなる場面があった。クロス円も軟調。ユーロ円は昨年8月以来の127円台に一時下落。英小売売上高で買われたポンド相場も上昇を維持できず。カーニー英中銀総裁は、第1四半期の減速はおそらく一時的としたが、ポンド買いは続かなかった。
(25日)
東京市場では、円売りの動きが優勢。ゴトウビの円売りに加えて、北朝鮮が米国に対話の継続を要請したことが好感された。ドル円は107.74近辺まで一時上昇。ユーロ円は128.52近辺、ポンド円は146.73近辺まで上昇。ただ、午後には伸びを欠いた。5月の東京都区部CPIは前年比+0.4%と予想および前回値+0.5%を下回った。
ロンドン市場は、方向感に欠ける動き。ドル円は109円台半ばでの揉み合い。序盤に円高とドル高水準を試したが、独英経済指標発表を無難に通過すると値を戻している。ユーロとポンドは下げ渋り、対ドルでは本日高値を広げている。ただ、値幅は狭く、調整の範疇となっている。欧州株は全般に堅調だが、スペイン政局を警戒してスペイン株は下落。一NY原油先物は70ドル割れで下げ足を速めた。カナダドルは豪ドルなどと比較すると上値が重い。
NY市場では、一時リスク警戒の円買いが強まる展開に。米長期債利回りの低下、NY原油先物の大きな下落などがリスク要因となり、ドル円は109円13銭近辺と、東京市場朝方の安値圏まで値を落とした。もっとも、その後は調整ムードが広がり、ドル買い円売りに。週明けのNY市場が米国の祝日で休場となる中で、突っ込んだポジションを調整する動きに。ユーロドルはイタリア新政権がらみに警戒が強く、対ドル、対円での値を落とす展開に。ユーロドルは朝方1.16台半ば割れを付けると、その後はもみ合いに。
執筆者 : MINKABU PRESS
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