【来週の注目材料】リバーサルレートへの言及はあるか<日銀会合>
今週20日、21日に日本銀行金融政策決定会合が開催されます。現行の長短金利操作付量的・質的緩和の継続が確定的で、注目は声明と会合後の黒田総裁会見となっています。
直近の日銀会合では、9月から加わった片岡委員が追加緩和を求めて反対に回っています。7月の会合で物価目標(2%)の達成時期について、2019年度頃と、従来から後ろずれしており、目標に向けてより緩和的な政策が必要と、7月に退任した前任者木内委員とは真反対のスタンスを示した格好です。
12月1日に発表された10月の全国消費者物価指数は前年比+0.2%、食品とエネルギーを除くコアでも同+0.8%と低迷傾向が継続。10月31日に発表された日銀経済・物価情勢の展望(展望レポート)でも、「従来の見通しと比べると、成長率については、概ね不変である。物価については、2017年度について幾分下振れているが、2018年度、2019年度については概ね不変である。」と直近の物価上昇が見通しを下回っていることを認めており、厳しい状況が続いています。
こうした中、日銀側としても、片岡委員の要求などに対応し追加緩和が現状で不必要であるとの説明が必要になります。 前回、前々回は「市場や金融機関への影響、政策の持続性等の観点から、プラスの効果より副作用の方が大きいとみている。」と表現。
黒田日銀総裁は11月13日にスイスのチューリッヒ大学で行われた講演において「金利を下げすぎると、預貸金利の利ざや縮小によって銀行の自己資本規制への対応が厳しくなり、金融緩和の効果が却って反転(リバース)する」という、いわゆるリバーサルレートについて発言しました。その後、最適な金利曲線(イールドカーブ)把握の為の参考になる一つの理論を紹介したとして、政策的な含意を否定していますが、わざわざ言及したことは、これまで通りの出口戦略についての時期尚早との否定だけでなく、追加緩和見送りについても市場により詳しく説明する必要性を意識しているものと見られます。
今回の会合でも声明もしくは黒田総裁の会見で、リバーサルレートの文字こそ出てこなくても、同様の表現が出てくる可能性は十分にありそう。
来年以降も当面は続くとみられる日銀の緩和姿勢であるが、物価の鈍化傾向は継続で、早ければ来年第1四半期にも目標達成時期の先送りまで意識されるだけに、声明や総裁会見には要注意です。
minkabu PRESS編集部 山岡和雅
執筆者 : MINKABU PRESS
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