【これからの見通し】米債利回り低下、ドル売り圧力に 市場の落ち着きも反映
【これからの見通し】米債利回り低下、ドル売り圧力に 市場の落ち着きも反映
このところ債券市場動向が活発になっている。英大型減税政策を受けて英市場がパニックに陥り、英国売りの様相を呈した。一気に英長期債利回りが急騰、機関投資家のポジションに危機的状況が懸念された。市場ではポンド急落で英中銀の緊急利上げ対応が期待されたが、英中銀の対応は長期債購入の介入措置だった。ポンド安阻止というよりは、債券相場の買い支えの目的が主だったようだ。これをきっかけに一時4%台を上回った米10年債利回りも低下の流れに転じている。英財務相が所得税の最高税率引き下げを撤回したことも英債相場を支えている。さらに、昨日の米ISM製造業景況指数が弱かったことも米債利回りの低下につながっている。
また、本日は豪中銀の利上げ幅が25bpにとどまったことで豪州3年債利回りが大幅低下を記録。再び米債利回り低下を誘発しやすい状況となっている。豪中銀は25bpの小幅利上げにとどめた理由を、これまでキャッシュレートは短期間に大幅に引き上げられたからだ、と説明している。どうも具体的な理由としては腑に落ちない面もある。ただ、中立金利に近づくなかで、近い将来の景気クールダウンに備えた面はありそうだ。前日のISM指数に加えて、豪中銀利上げの影響もあって、現時点での米CMEフェドウォッチでは、次回11月FOMCでの50bp利上げが47.7%へと上昇している。75bpは52.3%でほぼ拮抗してきている。
為替市場にとっては米債利回りの低下傾向が直接的にはドル売り圧力につながる。また、間接的には株式市場の反発がリスク警戒のドル高に対する巻き返しとなりやすい。大きな動きにはつながっていないが、今後この傾向が続いてくる可能性もありそうだ。今週末の米雇用統計や、来週の米消費者物価指数の結果が重要な試金石となろう。
この後の海外市場で発表される経済指標は、ユーロ圏生産者物価指数(8月)、米耐久財受注(確報値)(8月)、米製造業新規受注(8月)など。
発言イベント関連では、デコス・スペイン中銀総裁、センテノ・ポルトガル中銀総裁、ラガルドECB総裁などECB当局者や、ローガン・ダラス連銀総裁、ウィリアムズNY連銀総裁、メスター・クリーブランド連銀総裁、ジェファーソンFRB理事、デイリー・サンフランシスコ連銀総裁など米金融当局者などの予定が目白押しとなっている。
minkabu PRESS編集部 松木秀明
執筆者 : MINKABU PRESS
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