【これからの見通し】リスク回避のドル高と円高、ポンド相場が下げを主導
【これからの見通し】リスク回避のドル高と円高、ポンド相場が下げを主導
市場はリスク回避ムード一色となっている。高インフレに対応することが各国中銀の最優先課題となるなかで、当面は景気鈍化に目をつぶってでも大幅利上げでインフレ抑制しなければならないという状況となっている。
そのなかでも英国では減税を主軸に大幅景気対策に打って出ることが発表されており、財政の継続性に疑問が投げかけられている。まずは市場がポンド売り・英国債売りの形で反応。続いて、格付け会社が見通し引き下げや格下げを検討することが想定されている。きょうはIMFが英国の大型減税策について、格差が拡大する可能性ありと批判していた。
市場では日銀の為替介入の効果が疑問視されており、ドル円は144円台後半から145円をうかがう動きとなっている。国際協調としてはプラザ合意が代表的なものだったが、この点についてディース米NEC委員長が「プラザ合意に似た為替合意を予想しない」と発言したことでドル買いに反応する場面があった。英中銀にも為替介入や緊急利上げ対応が期待されているが、単独行動では時間稼ぎの効果しか望めないようだ。
欧州では先ほど発表されたドイツGfK消費者信頼感(10月)が-42.5と過去最低水準を更新した。先日のノルドストリーム関連の報道で再び欧州天然ガス先物が上昇しており、今冬のエネルギー危機が深刻化する見込み。ドイツは現行の原子力発電に頼らざるを得ない状況だ。
この後のロンドン・NY市場でも株式動向などリスク回避の進行をにらみながらの取引となりそうだ。経済指標発表は、米MBA住宅ローン申請指数(09/17 - 09/23)、米卸売在庫(速報値)(8月)、米中古住宅販売成約指数(8月)など。発言イベント予定は多い中で、直近の英MPCで25bpの小幅利上げを主張したディングラ英金融政策委員の討論会参加が注目されそうだ。パウエルFRB議長がセントルイス連銀主催銀行会議で挨拶する予定となっており、市場に新たな材料を提供してくれるのかどうかに注目。そのほかでは、米週間石油在庫統計、米7年債入札(360億ドル)などが予定されている。
minkabu PRESS編集部 松木秀明
執筆者 : MINKABU PRESS
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