【来週の注目材料】日銀金融政策決定会合では展望レポート出の物価見通し上方修正が見込まれる
20日、21日に日銀金融政策決定会合が開催されます。金融政策については現状維持が見込まれています。
日銀金融政策決定会合の注目ポイントは二点あります。
1点目は海外勢の緩和姿勢後退期待がどこまで出ているかです。今回の会合で金融政策については緩和維持が確定的で、必要があれば躊躇なく追加緩和を行うとの従来姿勢を維持するとの見通しで、日本国内は一致しています。
ただ、こうした姿勢が歴史的な円安進行につながっていることは事実です。そのため、海外勢の一部で緩和姿勢後退への期待がくすぶっています。具体的には現在ゼロ%を中心にプラスマイナス0.25%程度としている長期金利の目標について、変動幅を広げてくるという期待があります。昨年3月にそれまでのプラスマイナス0.2%程度としていた変動幅を0.25%に広げてから1年4ヶ月が経ちました。現状では毎日実施される指値オペによって0.25%で上限を完全に抑え込んでいます。変動幅拡大を明記するか、指値オペではなく通常のオペでの対応に切り替えることで、一時的な変動を容認するなどの方法が考えられます。
もっともこれまでの黒田総裁の姿勢からみて変更の可能性はあまりないと思われます。市場予想通り現状維持を決めた時に、一部で期待が先行していたところからの反応が、どこまであるのかがポイントとなります。
2点目は展望レポートでの見通し変更です。1月、4月、7月、10月の日銀会合終了のタイミングで発表される「経済・物価情勢の展望(展望レポート」は、今回物価見通しの大幅修正が見込まれています。2022年度の物価見通しは前回+1.9%となっていましたが、今回2%超えが確実視されています。直近5月の全国消費者物価指数(生鮮食品除くコア)は前年比+2.1%と2カ月連続で2%を超える伸びとなりました。円安による輸入物価の上昇などもあり、今年度の2%超えは確実視されるところです。1月時点では1.1%であり、4月の1.9%も大きな上方修正でしたが、もう一段の上方修正が見込まれています。23年度も4月の1.1%(1月も同じ)から上方修正してくる可能性があります。
一方で経済成長率見通しは4月の+2.9%から下方修正見込みです。コロナ禍の反動期待もあって1月時点では+3.8%となっていた経済成長率見通しは4月に+2.9%まで下方修正されました。しかし、中国上海市などで行われたロックダウンの影響を受けたサプライチェーン問題により、国内企業の生産活動が鈍化しており、もう一段の下方修正が見込まれています。
ある程度の物価見通し上方修正、経済成長率見通し下方修正は織り込み済みと思われますが、予想を超える見通しの変化があった場合や、2023年の物価見通し上方修正を受けて、これまでの物価上昇は一時的との見通しを後退させるようなことがあると、相場への影響が出てくると見込まれます。
MINKABU PRESS 山岡和雅
執筆者 : MINKABU PRESS
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