FRBの利上げと米国以外の国の景気低迷がドル高の燃料に=NY為替
NY時間の昼に入ってドル円は下値模索の動きを見せており、130円割れを再びうかがう動きが見られている。朝方発表された米消費者物価指数(CPI)を受けてドル買いが強まり、ドル円は一時130.80円近辺まで上昇した。しかし、ドル買いの動きは一時的で買いが一巡すると米CPI発表前の水準に戻している。ドル売りを誘発する材料は何もないが、米CPIをきっかけに、積み上がったドルロングの調整が出ているのかもしれない。ただ、このままドル売りが続くと見る向きは少ない。
FRBの利上げと米国以外の国の景気低迷がドル高の燃料になるとの見方も出ている。FRBは先週のFOMCで0.75%の大幅利上げを行う可能性を否定した。それにもかかわらず、市場のドル高期待は維持されている。最近のドル高は、FRBの迅速な利上げとバランスシート縮小への期待だけではなく、米国以外の国の成長鈍化も反映していると指摘。特にユーロ圏および中国の脆弱性の拡大を織り込もうとしているという。
特にユーロ圏経済については、ウクライナ情勢のほか、ドイツ経済についての不安感も強い。ドイツでは行動規制の緩和によりサービス業が改善し、4-6月期のドイツGDPは伸びが加速すると見られている。しかし、下半期には2四半期連続のマイナス成長であるテクニカル的な景気後退に陥る可能性があるという。
欧州がロシアからの石油・ガスの禁輸に動いており、ユーロ圏主要国の中ではドイツがそのコストを負担することになると指摘。ドイツの下期のGDPは、7-9月期がマイナス0.6%、10-12月期がマイナス0.2%を予想しており、2022年通年では1.5-1.6%のプラス成長、23年もほぼ同程度になると見込んでいるようだ。
USD/JPY 130.13 EUR/USD 1.0535 GBP/USD 1.2303
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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