【これからの見通し】方向性錯綜するドル相場、米雇用統計で方向性明らかになるか
【これからの見通し】方向性錯綜するドル相場、米雇用統計で方向性明らかになるか
今週はドル相場の方向性が錯そうしている。混乱の背景にはオミクロン株の出現がある。感染力が強いとされており、世界各国での感染例が報じられている。その一方で、重症化はしにくいとの見方もあり、あと2週間程度ではワクチン効果について明らかになるという。今後、市場の不安が深まるのかどうかは、今後の感染拡大の状況を見る必要がありそうだ。
また、パウエルFRB議長のタカ派転換ともとれる発言も市場のショックを与えた。インフレ高進について、これまでの一時的との表現を撤回することを示唆。債券購入縮小の終了時期を前倒しすることも示唆した。株式市場は売りを強めた経緯がある。
タカ派転換に背景には、インフレ高進とともに米雇用状況の回復があるようだ。きょうは今年最後のFOMC会合を前に、最新の米雇用統計が発表される。事前予想では非農業部門雇用者数の増加が55万人程度とみられており、底堅い増加傾向が続くことが見込まれている。失業率は4.5%へと前回から0.1%ポイント低下する予想。インフレ面では週平均賃金の伸びが前年比+5.0%と予想されており、前回の+4.9%から一段と伸びることが見込まれている。予想段階ではパウエル議長のタカ派発言にとって十分な内容となりそうだ。
マーケットは週末を控えたタイミングでもあり、ポジション調整の動きを誘発しやすいが、それをこなしてドル高などの方向性が鮮明になるのかどうか。11月米雇用統計の発表は日本時間午後10時30分に予定されている。
その他の経済指標発表は、トルコ消費者物価指数(11月)、独仏ユーロ圏・英国などの非製造業PMI確報値、ユーロ圏小売売上高(10月)、カナダ雇用統計(11月)、米非製造業PMI・確報値(11月)、米製造業新規受注(10月)、米ISM非製造業景気指数(11月)、米耐久財受注・確報値(10月)など。
トルコリラ相場にとっては、今日の消費者物価指数が注目材料。前年比は+20.7%の高い伸びが予想されている。エルドアン大統領の利下げ圧力を受けてトルコ中銀は利上げ対応を封印されている。したがって、リラ買い介入に頼らざるを得ない状況となっている。発表後の市場動向が気がかりだ。
発言イベント関連では、ラガルドECB総裁、サンダース英中銀委員、レーンECBチーフエコノミスト、ブラード・セントルイス連銀総裁などの予定が詰まっている。12月15日の米FOMC,同16日に英中銀とECBの金融政策発表を控えており、中銀当局者らの発言に対する関心は高い。また、バイデン米大統領が米雇用統計に関する発言を行うとの報道もあり、指標結果とともに発言内容が注目されよう。
minkabu PRESS編集部 松木秀明
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。