ドル円は113円台を維持 明日の米雇用統計を前に様子見気分=NY為替概況
きょうのドル円はNY時間にかけて売りが優勢となり、一時112円台に下落した。ただ、112円台に入ると押し目買いも出る中で、米株や米国債利回りも上昇していることから113円台に戻している。ただ、上値を積極的に追う気配もなく、基本的には明日の米雇用統計を前に様子見気分が広がっていた。目先は直近安値の112円台半ばが下値サポートとして意識される。
今週のパウエルFRB議長の議会証言はこれまで以上にタカ派に踏み込んだ印象でドル円も買い戻しの反応を見せていた。今週の証言を受けて市場の一部からは、FRBは3月までに資産購入ペース縮小を完了させる可能性が高いとの見方も出ている。これにより市場の早期利上げ期待も高まり、来年6月以降、来年内に2ー3回の利上げで市場は織り込み始める可能性があるという。
感染拡大の影響でボラティリティは高いままかもしれないが、ウイルスによる景気への副作用が確認されない限り、来年の米金利は現在の市場が割り引いているよりも速いペースで上昇する可能性があるという。それに伴ってドル高も進むことが考えられるとしている。
ユーロドルは1.13ドル台での狭い範囲で上下動。先月下旬からのリバウンド相場の流れは維持しているものの、21日線までの回復には慎重なようだ。本日の21日線は1.1370ドル付近に来ている。ユーロドルに関しては弱気な見方が根強く、買い戻しを強める材料もない。年末に向けたポジション調整で買い戻されているだけで、自律反発の域は出ていない。
市場の一部からは、オミクロン株の出現は今月16日のECB理事会に影響を及ぼすとの見方も出ている。市場はパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)に関するヒントを探っているが、来年3月末で終了との既定路線に変更はないと見られている。問題はその後の対応だが、ECBはハト派スタンスを継続し、量的緩和(QE)継続に向けて債券購入への柔軟性は残すものと見られている。
ただ、前日にECB理事会の一部メンバーはPEPP終了後の政策に関する決定を来年2月の理事会まで延期したいと考えているとの観測報道が伝わっていたが、今回の理事会では具体的な内容までは踏み込まない可能性もありそうだ。
ポンドドルは1.33ドル台に上昇してNY時間に帰ってきたものの上値の重い展開が続いている。依然として下向きのトレンドを継続している模様。目先は1.32ドルちょうど付近が下値メドとして意識される。
今年の英経済はパンデミックからの回復により急成長したことから、来年のGDPは鈍化する可能性が高い。しかし、オミクロンが新たな制限をもたらさない限り、来年の英成長は近年の平均は上回るはずだとの見方が出ている。政府による財政支援が撤回されるにつれて、回復はより厳しい段階に入る。しかし、家計消費と企業の設備投資の両方が成長をサポートするはずだという。控除によって企業が現金の一部を使いやすくなり、消費者が余剰貯蓄の一部を使うようになるためという。
インフレについては根底にある圧力が高まっているという証拠はほとんどなく、商品価格はいずれ下落するはずなので、インフレ懸念は来年の下半期には落ち着くはずだとしている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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