【これからの見通し】インフレ高まるなかでECBに変化はあるのか注目
【これからの見通し】インフレ高まるなかでECBに変化はあるのか注目
きょうはECB理事会の金融政策が発表される。続いてラガルドECB総裁の会見が実施される。世界的にインフレ高進が問題となるなかで、ECBの金融政策姿勢に変化があるのかどうかが注目される。
為替相場にとっては各国中銀の金融政策姿勢の差異が大きなポイントとなる。ECBはPEPP債券購入ペースの縮小を実施しているが、ラガルドECB総裁はこれがテーパリングであることを否定、微調整であるとの姿勢を示している。来週の米FOMCではテーパリングの開始が想定されており、利上げ時期も22年に前倒しされることが市場のコンセンサスとなっている。また、英中銀については年内の利上げ開始を短期金融市場が織り込む動きとなっている。
利下げを行ったトルコ中銀を例外として、新興国、資源国では、利上げもしくはそれに向けた動きが活発だ。ロシア中銀が大幅利上げを発表、さらに追加利上げも示唆している。また、昨日はカナダ中銀が予想外のQE終了を発表した。利上げに向けた布石となっている。豪中銀は慎重姿勢を維持しているが、基調インフレの上昇がタカ派姿勢への転換を促している。
現時点ではECBは日銀とともにかなりハト派的であるとの印象だ。今回はECBスタッフの経済見通しは発表されず、市場の注目はラガルドECB総裁の発言内容に集中しそうだ。ユーロ圏は資源輸入体質の諸国が多く、インフレ高進が経済活動に悪影響を与えやすい。その面では、緩和的な金融政策を継続せざるを得ない。
しかし、金融政策の国際協調の面からはタカ派的な姿勢を見せる必要もあろう。他の中銀との政策バランスが崩れると、ユーロ売りを誘い、より一層のコストプッシュインフレを招来する可能性があるからだ。また、先日は突然、タカ派の雄であるバイトマン独連銀総裁が辞任を表明した。市場ではラガルド総裁に対する反抗姿勢との思惑もでていた。
ECB政策金利発表は日本時間午後8時45分、ラガルド総裁の記者会見は同9時30分に開始する予定。
その他にも材料は多い。ドイツ消費者物価指数・速報値(10月)、米実質GDP・速報値(第3四半期)とその関連指標、米新規失業保険申請件数(23日までの週)、米中古住宅販売成約指数(9月)などの経済指標が発表される。米7年債入札(620億ドル)が実施される。米主要企業決算は、アップル、アマゾンドットコム、キャタピラー、メルク、ギリアドサイエンシズ、スターバックス、コムキャスト、マスターカード、イーストマンケミカルなど。
minkabu PRESS編集部 松木秀明
執筆者 : MINKABU PRESS
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