ドル円は111円ちょうど付近に上昇 米国債利回りが上昇加速=NY為替前半
きょうのNY為替市場でドル円は買いが強まり、111円ちょうど付近に上昇。きょうの上げで8月高値を突破しており、7月につけた年初来高値111.65円付近を目指す展開になるか注目の動きとなっている。
きょうは米国債利回りが上昇を加速させていることがドル円のフォローとなっている模様。米10年債利回りが6月以来の1.5%の節目を一時回復していた。先週は中国大手不動産の恒大集団の債務不履行への警戒感が高まり、リスク回避の雰囲気が高まった。中国への不安は根強いもの、中国政府が介入する姿勢を示していることから、ひとまず不安感が一服している。そのような中で、市場は改めて先週のFOMCを見直しているようだ。
市場ではFRBが刺激策を解除できない要因として、債務上限や冬の感染拡大、そして、中国問題などが挙げられている。中国問題については今後の課題になりそうだが、債務上限と感染拡大の問題が首尾よく解決されれば、FRBは刺激策解除にますます積極的になる可能性があるとの声が聞かれる。
ユーロドルは1.17ドルちょうど付近で推移している。ロンドン時間から売りが優勢となり、一時1.16ドル台に下落する場面もみられた。1.16ドル台に入ると押し目買いも出るようだが、上値が重い雰囲気が続いている。
26日にドイツ総選挙が実施され、社会民主党(SPD)が第1党となった。引退するメルケル首相が所属するキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)は第2党に転落。ただ、予想通りの混戦となり、SPDは過半数を獲得できずに連立を模索することになる。連立協議にはかなり時間がかかりそうで、情勢次第ではユーロのボラティリティが高まる可能性を警戒しているとの声も聞かれる。
一方、市場からは、SPDが3位の緑の党、そして4位の自由民主党と、いわゆる各党のシンボルカラーにちなんだ「信号連立」を形成した場合、ユーロは僅かに上昇する可能性があるとの指摘も聞かれる。信号連立であれば、財政再建のペースが緩み、ECBは緩和策をより長く維持することを求められる可能性があるという。教科書的にはユーロ安のシナリオだが、逆に景気刺激策の長期化および、インフレ期待の高まりによるユーロ高を見込んでいるようだ。
ポンドドルは買いが優勢となり、1.37ドル台前半での推移となっている。本日の21日線が1.3770ドル付近に来ており、その水準を試す動きになるか注目される。
先週の英中銀の金融政策委員会(MPC)を受けて、市場はタカ派な雰囲気を強めている。一部からは、従来の利上げ開始見通しを3カ月前倒しし、来年2月の利上げ開始を予測との声も出ている。来年2月に0.15%利上げし、0.25%に、8月に0.25%引き上げて0.50%に、そして2023年2月に0.75%に引き上げるとの見通しを示した。また、来年下半期から満期を迎える債券の再投資を止める可能性が高いとも予想している。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。