【新興国通貨】動きは落ち着くも、さらなるリラ安への警戒感強い～トルコリラ

【新興国通貨】動きは落ち着くも、さらなるリラ安への警戒感強い～トルコリラ

　昨日のトルコ中銀金融政策理事会は、予想外に１．０％の利下げを決めた（１９％から１８％へ）。
今月３日に発表された８月の同国消費者物価指数は前年比+１９．２５％と７月の１８．９５％から１８．７５％に鈍化するとの見込みに反して上昇。政策金利水準を超えて実質金利がマイナスという状況になっていた。このため、エルドアン大統領からの利下げ圧力が強くても、実際には利下げは難しいという見方が広がっていたが、今回の理事会で大統領の要求に沿って利下げに踏み切った格好。

　この決定を受けてドルリラは８．６５前後から８．８０超えまで急騰。対ドルでのリラの最安値を更新した。リラ円もその前に付けていた１２円７２銭前後から１２円５０銭を割り込む動きに。

　同国では生産者物価指数が前年比４５．５２％まで上昇するなど、物価上昇が著しい中、失業率が１２％まで上昇するなど、厳しい経済状況が続いている。景気刺激を求める大統領の意向に逆らえなかったと見られる。ただ、中銀の独立性に対する疑義につながる今回の決定のインパクトは市場の警戒感を誘った。

　短期的なリラ売りは落ち着いており、トルコ勢の本格参加前の現時点ではもみ合いに。

　ただ、市場の中銀に対する信頼感の後退は大きな通貨安材料となりうる。トルコ勢本格参加後のドルリラの動きなどに注意したいところ。

MINKABU PRESS 山岡和雅