ドル円は110円台に戻す 午後のFOMC待ちの状況=NY為替前半
きょうのNY為替市場、ドル円は下げ渋る動きが出ており110円台に戻している。本日110.35円付近に来ている21日線は下回っているものの、109.60円付近に来ている100日線はサポートされており、午後のFOMCの結果待ちの状況。FOMCについては、資産購入ペース縮小に関しての活発な議論が予想されるものの、米国でもデルタ株の感染が再拡大している中で、FRBが更にタカ派よりにスタンスを傾斜することはないものとみられている。
資産購入ペース縮小について一部では、8月のFRBのシンポジウムで示唆したうえで、9月下旬のFOMCで、年末か来年初めの開始を打ち出してくるとの見方が出ている。ただ、それについては現行の感染再拡大の影響次第の面も大きい。また、米国債よりも不動産担保証券(MBS)の購入縮小からの開始なども議論されるものとみられ、その意味ではパウエルFRB議長の会見が注目されるが、いすれにしろ、今回もタカ派とハト派との間のバランスを取ってくるものとみられている。
一部からは、今回のFOMCを受けて直近のドル高の強さは薄れる可能性も指摘されている。最近のインフレ急上昇はFRBにとっては厄介であるが、感染再拡大が景気回復を妨げる恐れがあり、さらに労働市場については、雇用最大化というFRBの目標に遠く及んでいないことから、FRBは中立性を維持し、それがドル高を抑制する可能性があるという。ただ、発表直後の反応としては、控えめな反応を示し、狭い範囲に収束する可能性も留意される。
ユーロドルは緩やかに戻り売りに押されており、一時1.17ドル台に値を落とす場面もみられた。ただ、下押す動きまではなく、午後のFOMC待ちといった雰囲気だ。本日の21日線が1.1820ドル付近に来ており、その水準は上値抵抗となっている模様。ユーロドルは1.17ドル台半ばが強いサポートとなり、1.18ドル台に戻していることから、テクニカル的にはリバウンド相場への期待が高まっている。目先は本日のFOMCを通過して21日線が控える1.1820ドルと前日高値1.1840ドル水準を上抜けることができるか注目される。その上は今月前半に上値を拒まれた1.1880ドル水準が意識される状況。
今週は第2四半期のユーロ圏GDPと7月の消費者物価指数(HICP)速報値が発表される。GDPは前期比で1.5%、HICPは前年比2.0%が予想されている。ユーロ圏経済は第2四半期に景気後退から脱したと見られており、ワクチン接種の速度が上がり、行動制限も緩和されたことが要因となっている。特に小売、ホスピタリティ、レジャーサービスが回復を促進し、これらのセグメントでのより強力な活動が、GDPに1%ポイント程度貢献したと予想されているようだ。また、第3四半期についても、さらに力強い成長が見込まれているが、デルタ株の感染再拡大が予測に下振れリスクを加わえている。対照的に、産業と建設はサプライチェーン問題を反映し、抑制されたまま。しかし、これらのボトルネックが緩和されるにつれて、これらのセクターも今後の成長にさらに貢献することが期待される。ただ、ECBは先日の理事会で、新たに慎重な金利ガイダンスを示した。これにより今後数四半期は資産購入を高水準で維持されることが予想されている。デルタ株の感染再拡大のリスクは、ECBの金融緩和策の長期化の論理的根拠に追加される可能性があるという。
ポンドドルも買い戻しを一服させている。ロンドン時間には1.39ドル台をうかがう動きも見せていたが、1.38ドル台での値動きが続いている。ポンドドルのローソク足は21日線の上を完全に回復。100日線が1.3925ドル付近に来ており、目先の上値メドとして意識されるが、きょうのFOMCを受けて、その水準を突破し、本格的なリバウンド相場に入るか注目される。
今週に入って英国の感染再拡大は鈍化傾向を見せ始めている。この傾向が続くようであれば、短期的にはポンドにとってはポジティブな材料になりそうだが、英中銀がハト派姿勢に再び傾いている傾向も見られている中で、ポンドの上値は押さえられるとの見方も根強い。ただ、北アイルランド議定書の問題でEUとの摩擦が再び生じており、ポンドの圧迫要因との指摘も少なくないが、EU離脱による英経済への影響が明確になるには何年もかかることから、ポンドへの短期的な影響は気にする必要はないとの意見も出ている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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