ドル円は111円ちょうど付近に戻す=NY為替後半
NY時間の終盤に入ってドル円は再び111円ちょうど付近まで買い戻されている。序盤は上げを一服させていたものの、110円台後半でしっかりとサポートされ、上値追いの動きは続けていた。本日は3月末に付けた年初来高値を上抜く場面もみられている。
先週のFOMCでFRBがタカ派よりに舵を切ったことがドル円を押し上げている。ECBは慎重なスタンスを堅持しているものの、出口戦略着手が視野に入っている。英中銀やカナダ中銀も同様。各国でインフレ懸念が強まる中で、日本の消費者物価(CPI)は逆にデフレを警戒する水準にまだある。G7の中で日銀だけが取り残された格好となっており、ファンド勢中心に円安期待が強まっているようだ。一部には115円を目指すとの見方も出ている。
ユーロドルはNY時間に入って戻り売りが優勢となり、1.19ドル台前半まで急速に伸び悩んだ。ロンドン時間に発表になった6月調査分のユーロ圏PMI速報値が予想を上回ったこともあり、ユーロドルは買い戻しが優勢となっていた。一時1.1970ドル近辺まで買い戻されていたが、心理的節目の1.20ドルには慎重な雰囲気もある中で、NY時間に入ると戻り売りに押されている。
市場からは、ユーロドルが強い心理的節目である1.20ドルの完全回復には苦労するとの声も聞かれる。ユーロドルが直近の下落から反転したと確信するには、少なくとも1.21ドル台までの上昇が必要だとしている。先週は1.18ドル台半ばまで下落していたが、ユーロの反発は控えめに見えるという。
世界的に中央銀行の引き締めが市場のテーマに浮上している。しかし、先週のFRBとは異なり、ECBはその点で強力なメッセージを送ろうとしている気配をほとんど見せておらず、FRBとECBとのスタンスの格差が、ユーロドルをしばらく圧迫し続けると見ているようだ。
ポンドドルはNY時間に入って買い戻しを一服させているものの、本日は1.40ドルちょうど付近まで上昇する場面がみられた。きょうの上げで1.3945ドル付近に来ている100日線を上抜いており、明日以降も買戻しを維持できるか注目される。
明日は英中銀金融政策委員会(MPC)が予定されている。市場の一部からは、英中銀もFRBに追随して、将来の利上げと資産購入縮小の可能性を強調し、よりタカ派なスタンスを示す可能性も指摘されている。素直な反応を見せれば、ポンドにとってはサポート材料。英国債も、特に長期ゾーンで、利回りの上昇をさらに加速させる可能性もあるという。
景気やインフレへの見通しも上方修正されることが期待されている。しかし、見通しに対する最大のリスクは、ウイルスの変異株の広がりと、消費者がそのリスクにどう対応するか次第だとの指摘も聞かれる。ワクチン接種が引き続き効果的な保護を提供し、展開も衰えることなく進行すると仮定すば、活動制限により、消費は急速な増加が期待される。一方、家計が公衆衛生のリスクにより慎重になれば、下半期の回復は予想よりも遅いことも留意されるという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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