パウエル証言前にドル円は買い優勢に=NY為替前半
きょうのNY為替市場でドル円は買いが優勢となっており、110.80円近辺まで上げ幅を広げている。米株が下げて始まったものの、再びプラス圏に戻したことで、ドル円に買い安心感が出ているようだ。ユーロ円やポンド円なども上昇しており、リスク選好の円安が見られている。ドル円は先週つけた直近高値に並んでおり、111円台を試すか注目される。
先週のFOMC以来、市場はこれまで以上にFRBの動向に焦点を集めている。きょうは現地時間午後2時(日本時間23日3時)にパウエルFRB議長の米下院での議会証言が予定されている。前日引け後に事前原稿が伝わり、「一時的供給の影響が弱まればインフレは長期目標に向け再び鈍化する。パンデミック要因が緩和されれば雇用の伸びは数カ月で上向くはずだ」との見解が示されていた。
市場の一部からは9月に資産購入ペース縮小の開始について明らかにするとの見方も出ており、議長への質疑応答でその辺のヒントが出るか注目される。FRBは資産購入ペース縮小のタイミングを今後数カ月で明らかし、9月のFOMCが有力と予想もあるようだ。ただ、FRBが毎月の購入ペースを徐々に縮小する場合は、約2ー3四半期かけた段階的な経路をたどる可能性があるという。
ユーロドルはNY時間に入って買戻しの動きを強め、1.1935ドル付近まで上昇。ユーロ買いの材料は特に見当たらないが、このあと日本時間3時のパウエルFRB議長の議会証言を前にドルロングの調整が出ているのかもしれない。
先週のFOMCでFRBがややタカ派よりの動きを示唆したことで、市場は驚きに包まれ、市場のボラティリティも急速に上昇した。ドルも買い戻しが強まっているが、短期的にはさらに上昇する余地があるのかもしれないが、この上昇は持続しないとの見方も出ている。今回がドルのターニングポイントになるとは信じ難く、今年の下半期にはドルは軟調に推移するとみているようだ。背景としては、FRBが緩和解除の方向にシフトしたとしても、慎重に量的緩和を終わらせようとすることから、ドル買い材料にはならないという。
ユーロドルの200日線が1.20ドルちょうど付近に来ており、目先の戻りメドとして意識される。
ポンドドルも買い戻しが優勢となり、1.3935ドル付近まで戻している。ロンドン時間には1.3860ドル近辺まで下落していた。ただ、本日の100日線が1.3945ドル付近に来ているが、その水準での上値抵抗は強いようだ。
今週は英中銀金融政策委員会(MPC)が予定されているが、英中銀は緩和策の終了が近いとみられている。ただ、出口戦略において、その方法には見方が分かれているようだ。
英中銀は利上げの前に量的緩和を縮小を優先する可能性が十分にあるとの指摘が出ている。さらに、それは市場の予想よりも遅れる可能性もあるという。英消費者物価指数(CPI)が2023年後半まで、2%目標の上で安定しないと予想しており、恐らく2024年でさえ、金融政策が市場の予想よりも遅れて引き締められると見ているようだ。それは、英国債のイールドカーブのフラット化ではなくスティープ化を伴うという
一方、逆に英中銀は来年の5月に政策金利を0.15%引き上げて0.25%とし、その後に量的緩和縮小を開始との見方も少なくない。なお、今週のMPCで政策は据え置くものの、刺激策解除に関するレトリックは強化するという。インフレと成長のデータは英中銀の予想を上回っており、封鎖措置緩和の最終段階の遅れは、英中銀の見解に僅かな影響しか及ぼさないと指摘している。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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