FOMCの結果待ちの雰囲気が続く 反応はドル高との見方も=NY為替概況
きょうのNY為替市場でドル円は110円台前半の狭い範囲で振幅。本日これまでのレンジは18銭程度で、引き続き、明日のFOMCの結果待ちの雰囲気が強い。
市場は出口戦略着手のスケジュールに関するFRBからのシグナルを待っている。今回はFOMCメンバーの金利見通し(ドット・プロット)が公表されるが、23年末までの利上げに修正になるとみられている。ただ、そのこと自体は織り込み済みと思われ、注目は2022年が何人いるのかという点に移っているのかもしれない。
また、資産購入ペース縮小など出口戦略について何らかのヒントが期待されている。FRBはインフレ上昇は一時的とし、慎重姿勢を堅持することが有力視されているものの、パウエル議長が会見で資産購入ペース縮小について議論し始めたことを認める可能性があるとの見方もあるようだ。もっとも、その場合、経済が更に前進することを条件にするという。ただ、市場はドル高の反応を見せる可能性もあるとしている。
一部からはFRBは恐らく、インフレ上昇を食い止める行動を取ることから、ドルは今年後半に上昇するとの見方が出ている。最近のインフレ上昇の一部が実際に持続すると仮定すると、FRBはそれに対応せざるを得ない。それを無視すれば、FRBが新たに採用した平均インフレ目標と矛盾するという。
ただし、短期的にはFRBは慎重姿勢を維持する可能性が高く、その間のインフレ上昇と相まって、ドルは圧迫される可能性も留意されるとも指摘している。
ユーロドルは1.21ドル台前半での振幅。引き続き明日のFOMCの結果待ちの雰囲気が強く、ユーロドルも値動きが限定的となっている。FOMC後に市場はドル高の反応を見せる可能性もあると見られており、ユーロドルはいまのところ1.21ドル台は維持しているものの上値は重い。
先週のECB理事会では資産購入ペース縮小の決定を先送りし、当面は景気をサポートすることを表明した。これを受けて欧州債のボラティリティも低下しており、戦術的に夏にかけてユーロのキャリートレードの魅力を高めるとの指摘も聞かれる。キャリートレードには国債のボラティリティ低下が必要だという。夏にかけて流動性の低下が想定され、その前に欧州債の購入を積極化することで利回りは低下。調達通貨としてユーロが使い易い状況になり、他の通貨に交換するこで利ざやを抜きやすくなると指摘している。
その場合、資源国通貨やドル、ポンドが運用通貨として期待でき、少なくとも円はない。もっとも、ECBの「戦略見直し」の議論が活発化してくれば、別の展開になるとも述べている。
ポンドドルはNY時間に入って下げが一服したものの、本日は一時1.4040ドル付近まで下落しており、21日線から下放れ、下値模索の動きが続いている。本日のポンドは対ユーロや円でも下落しており上値の重い展開となっている。
ただ、ポンドに対する強気な見方も出ている。北アイルランドの議定書を巡ってEUとの対立が激化しているものの、そのリスクは従来想定したほどポンドを圧迫しておらず、むしろ、英中銀の利上げ開始への期待がその懸念を相殺すると考えているようだ。ポンドドルは来年末までに1.43ドルまでの上昇を見込んでいるという。英中銀の利上げ開始については、従来の見通しを前倒しし、経済見通しの改善により2023年第1四半期から金利正常化が始まる予想しているようだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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