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為替相場まとめ6月7日から6月11日の週

為替 

 7日からの週は、ECB理事会と米消費者物価指数に注目が集まった。ECB理事会では成長・インフレ見通しが上方修正され、ワクチン接種の進展を受けた制限措置の段階的解除が年後半の回復の動きへの期待を高めた。一方、政策金利や債券購入については据え置かれた。PEPP購入ペースは高水準を維持するとし、出口戦略的な動きは封印された。ラガルド総裁会見では超緩和的な姿勢を維持することが強調された。5月の米消費者物価指数は前年比+5.0%、コア前年比+3.8%と、いずれも事前予想を上回る伸びを示した。しかし、米債利回りの低下傾向は継続し、10年債利回りは節目の1.50%を大きく下回った。為替相場は振幅も、方向性に乏しかった。ドル円は110円台では売りが入り、週を通して109円台での振幅が続いた。ユーロドルは1.22台に乗せると1.21台へと押し戻された。ポンドドルは1.41台後半から1.40台後半での上下動。英中銀委員からはインフレ警戒から今後の利上げの可能性を示唆する声がでている。一方で、EUと英国とのブレグジット合意の実行をめぐる摩擦が再燃しており、市場はブレグジット問題は解決されていないとの失望売りもでた。NY原油先物が70ドル台へと上昇。資源国通貨を下支えする面もあった。カナダ中銀会合は、ほぼ無風で通過した。来週の注目材料は米FOMC会合となる。


(7日)
 東京市場は、小動き。先週末には注目の米雇用統計で非農業部門雇用者数の伸びが期待ほどではなかったことがドル売りを誘った。ドル円は110円台から一時109.30台まで下落。109円台半ばに小戻しして週の取引を終えた。週明けも同水準での推移。週末のG7後にイエレン米財務長官が米金利の上昇を容認する姿勢を示したことがドル買いにややつながったが、上値は109.60台まで。その後は米債利回りが低水準にとどまったことで109.40近辺までの動き。ユーロドルは1.21台後半での狭いレンジ取引が続いた。先週末からのドル安圏での推移。ユーロ円は133円台前半での揉み合い。ポンドドルはやや上値が重く、1.41台前半へ。ポンド円は155円台前半から154円台後半へと軟化。

 ロンドン市場は、先週来のドル安水準での揉み合い。ロンドン序盤には米10年債利回りが1.58%近辺へと上昇したことに反応して、ややドルが買い戻された。しかし、先週末の米雇用統計が予想ほど改善しなかったことを受けたドル売り圧力は根強く、調整買いの動きも続かず。ドル円は109.60近辺が重く、109.50割れ水準へと軟化。一時109.35レベルに先週末からの安値を更新。ユーロドルは1.2145近辺まで下押しされたあとは1.2150-60レベルへと戻しての揉み合い。ポンドドルは売りが先行して1.4111レベルまで下げたあと、1.4150近辺へと買い戻されている。ユーロ円は133円ちょうど近辺、ポンド円は154.50台へと小安い動き。欧州株は売りが先行したあとはプラス圏を回復。米株先物は時間外取引で高安まちまち。この日はユーロ圏の投資家信頼感が大幅に回復していたが、市場は目立った反応を示さず。手掛かり難の週明け相場となっている。

 NY市場で、ドル円は安値圏揉み合い。本日はイベント通過後の方向感の探り合いの様相だった。先週末の米雇用統計を受けて市場はFRBの出口戦略への警戒感は緩めている。少なくとも来週のFOMCでは、それはないと見る向きが多い。日曜日に「イエレン米財務長官が若干高い金利環境はプラス」と発言していたが、市場ではFRBの慎重スタンスに変化はないものとみているようだ。今週10日の米消費者物価指数の内容を確認したいところ。ユーロドルは一時1.22台に上昇。ロシアは米国からの制裁を回避するためドル資産を完全に削除して、ユーロ、人民元、金の割合を増やすと報じられた。ポンドドルは1.41台後半に上昇。市場では英中銀とECBの政策スタンスの差異がポンド相場を支えるとの見方がでていた。ECBの慎重姿勢とは裏腹に、英中銀は市場が考えている以上に英経済に対して楽観的な見通しがみられている。

(8日)
 東京市場は、ドル円が小高く推移。ドル円は、前日NY市場朝方に109.19レベルまで下押しされその後も同水準付近で推移した。東京市場序盤には実需関連の買いが出たことや、日経平均の堅調に動きに、109.40台へと上昇。その後、日経平均や香港ハンセン指数が下げに転じる動きに上昇の動きは一服した。午後には109.40前後での揉み合い。ロンドン勢の本格参加を前に109.47レベルまで高値を伸ばした。ユーロドルはドル買いに押されて、1.2190台から1.2280台割れ水準へと小安い。ユーロ円は午前中に前日高値を超えて133.35近辺まで買われたが、その後は133円台前半で揉み合った。豪ドル/ドルは0.7750を挟んで上下10ポイント程度の上下動。

 ロンドン市場は、ドル買いが優勢。ドル円は東京市場で109円台前半で買われたあとロンドン序盤にはさらに109.56レベルまで高値を伸ばした。ただ、前日高値109.64レベルには届かず、調整の範囲内にとどまっている。世界的にウェブサイトの障害が発生し、米株先物が一時下落。ドル円も109.30台まで下押しされたが、一部サイトではすぐに復旧の動きが報じられており下げ一服となっている。ユーロドルは1.2164レベルまで安値を広げたが、その後は下げ一服。ポンドドルも1.4129レベルに安値を広げた後は、1.41台半ばへと下げ渋り。ユーロ円は133.20-30レベルでの揉み合い。ポンド円は一時154.64レベルまで下落も、下げ渋り。この日発表された独鉱工業生産や独ZEW景況感指数は予想外に低下した。一方、ユーロ圏GDP確報値は予想外の上方改定とまちまち。
 
 NY市場は、小動き。ドル円は109円台半ばでの振幅が続いた。4月の米貿易収支はほぼ予想の範囲内となり、特に材料視されず。手掛かり材料に乏しいなかで、週後半の5月米消費者物価指数の結果を待ちたいムードに。ドル相場に行方を占ううえで、市場では米国債のインフレ調整後の実質利回りが注目されている。したがって、インフレ指標の代表格である消費者物価への注目度が高まっているようだ。ユーロドルはNY時間に入ってやや買いがでたが、全体的には1.21台後半での狭いレンジ取引が続いている。10日のECB理事会の結果待ちに。市場ではECBが出口戦略を示唆する可能性は低いと予想されている。ポンドドルは上値を抑えられており、一時1.4120近辺まで下落した。その後は下げ一服、21日線の1.4145レベルを維持した。英国では第4段階の封鎖措置の解除が計画されており、最終段階の発表は6月14日に予定されているが、それが遅れる可能性があるとの見方が高まっている。加えて、英国とEU間の緊張が高まっていることもポンドを圧迫しているとの指摘も聞かれる。

(9日)
 東京市場は、小動き。ドル円は109.40-50レベルでレンジは11銭にとどまった。前日NY市場では米債利回りの低下などで朝方にややドル売りの動きもすぐに値を戻した。下値しっかりの印象だった。ユーロドルのレンジも14ポイントにとどまり、主要通貨は軒並み様子見ムードだった。米10年債利回りは1.53%台から1.52%台へとやや低下も、前日レンジ内にとどまり為替市場は反応薄だった。このあと中銀金融政策会合を控えるカナダドルは、対ドルで1.2100-10レベルでの揉み合い。NY原油先物の上昇に目立った反応はみられず。

 ロンドン市場は、ドル売りが優勢。米10年債利回りが1.50%付近へと低下しており、ドル相場を圧迫している。あすのECB理事会や米消費者物価指数の発表を控えた調整の動きの面があるようだ。欧州株は総じて軟調に推移している。ドル安の動きはポンドドルの上昇が先導した。ホールデン英中銀委員が「金融政策の蛇口を止め始める必要がある可能性」と発言したことが買いを誘い、1.4190近辺まで一時上昇した。ただ、その後は上昇一服となっている。ユーロドルも堅調。1.21台後半で高値を1.2195レベルまで伸ばしている。当初はポンド高に追随していたが、ECBが6月18-20日に戦略見直しについて対面で協議を行うとの報道が流れると上値を伸ばした。カナダ中銀政策金利発表を控えたカナダドルは、原油高の動きもあって堅調。対ドルは1.2070台へと下落、対円は90.60台へと上昇。ドル円は序盤に109.33レベルまで下押しされたが、その後は109.50付近へと買い戻されている。クロス円も底堅く、ユーロ円は133円台前半から半ばへ、ポンド円は155円台乗せとなっている。
 
 NY市場では、ドルが買い戻された。序盤には米10年債利回りが1.5%を下回る動きにドル売りが先行。ドル円は109.20付近まで下落した。しかし、ロンドンフィキシングにかけて買いが強まり109.65近辺まで急速に戻した。先週の米雇用統計を受けてFRBの早期出口戦略への期待は後退している。一方でインフレ懸念は根強い状況。明日は米消費者物価指数(CPI)の発表が予定されており、高い数値が見込まれている。ユーロドルは序盤に1.22台に上昇したが、その後は1.21台へと伸び悩んだ。明日のECB理事会待ちの雰囲気が強かった。ポンドドルは1.41台前半へと下落。ポンド円も154.50近辺まで下落した。英国とEUはきょう、北アイルランドの通商問題で協議を行ったが、解決策を見出すことができず物別れに終わったことがポンドを圧迫した。カナダ中銀が金融政策委員会の結果を発表した。政策金利を据え置いたほか、国債購入ペースも週30億カナダドルで据え置いている。利上げ開始の見通しも前回同様に2022年後半を示唆している。7月の委員会で追加の資産購入ペース減速の可能性も残した格好。大方の予想通りに変化はなく、カナダドルの反応も一時的に留まった。その後、原油相場が下げに転じたことでややカナダドル安に。

(10日)
東京市場は、イベント待ちで小動き。ドル円は109.52-68レンジと前日の値動きの範囲内にとどまった。ECB理事会と米消費者物価指数の発表を控えて様子見ムードが広がった。ユーロドルは1.2181レベルを高値に午後には12162レベルまで下落、前日安値を小幅に下回った。ただ、ECB理事会に向けた思惑というよりは、ポジション調整の面が強かったようだ。ECB理事会では政策金利および債券購入枠の据え置きが想定されている。

 ロンドン市場は、ドル買いが先行も限定的な動き。このあとのECB理事会の結果発表、米消費者物価指数などの内容を確認したいとの様子見ムードが広がっている。そのなかではポンド売りの動きが優勢。北アイルランドや漁業権問題でEU側が英国の合意の実行に疑問を呈しており、市場ではブレグジット問題はまだ終わっていないとの不透明感が広がっている。ポンドドルは1.41台割れへと一段安。ポンド円は154円台前半、ユーロポンドは0.86台半ばへとポンド安が進んだ。ただ、上記イベントを控えて足元では売り一服となっている。ユーロドルは1.2150台まで下げた後は1.2170近辺へと戻す動き。前日からの安値水準での揉み合いでECB待ちに。ユーロ円も133.10近辺まで下げたあと、揉み合いに。ドル円は109.50挟みの水準で動意薄。欧州株、米株先物は高安まちまち。米10年債利回りは1.47%台まで下げたあとは、1.50%近辺に上昇。

 NY市場は、2大イベントを受けて振幅。ドル円は売り優勢。5月米消費者物価指数は前年比+5.0%など強い結果となり、一時109.80近辺まで上昇も、米10年利回りが下げに転じるなど指標結果とは逆の反応が強まり、109.30近辺へと戻り売りに押された。ドル円は109円台での振幅から抜け出せない展開。次の焦点は来週の米FOMC会合に。ユーロドルは1.21大での神経質な振幅。ECBはインフレと成長見通しを上方修正しながらも、ラガルド総裁の会見は超緩和的な姿勢を維持することを強調し、バランスをとった格好となった。インフレ率が2%に劇的に上昇したことから、北欧の一部からは、資産購入ペース縮小の主張もあったようだが、ラガルド総裁を始めとするハト派が、今回の理事会では勝利したようだ。ECBはパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)を範囲上限まで使用しながら、高ペースの緊急購入を継続する姿勢を強調した。ポンドドルは買い戻しが優勢で、1.4175近辺まで上昇。バイデン大統領とジョンソン英首相が会談を行っており、両国の自由貿易協定(FTA)の締結に向けて取り組むことで合意した。両国間の貿易摩擦が更にエスカレートする可能性は後退しており、ポンドにとってはポジティブな材料となったようだ。

(11日)
 東京市場は、狭いレンジでの揉み合い。ドル円は109.40前後での取引に終始した。前日の強い米消費者物価指数の結果にも、上昇は109.80前後までにとどまり、その後の調整も109.30台だった。きょうは動意を失っている。ユーロドルも1.21台後半での揉み合い。前日のECB理事会では事前予想通り政策金利や量的緩和の現状維持が決定され、ユーロドルは振幅も一方向の動きにはならなかった。東京市場では若干のユーロ買いの動きもECB理事会後の高値水準で上値を抑えられている。ユーロ円は133円台前半でじり高、133.30台を回復。トルコリラ円は12.96前後と高値圏揉み合い。来週のトルコ中銀金融政策会合を前に、一時ほどの利下げ期待はみられずリラが買い戻される地合いになっている。

 ロンドン市場は、ドル買い方向への動きが優勢。ドル円は109.32レベルを安値に109.57レベルまで水準を上げた。ユーロドルは1.2193レベルの高値から1.2140台まで下押し。米10年債利回りは1.42%台から1.44%台での振幅となっており、目立った方向性は示していない。前日のECB理事会と米消費者物価指数の後の取引レンジ内にとどまっている。欧州株は堅調な推移となっているが、ユーロ円は上値重く推移。133.40近辺から133円割れまで軟化している。東京市場での上昇を消す動きに。ホルツマン・オーストリア中銀総裁がインフレ率が急速に3%を上回る可能性あれば、ECBは政策見直しが必要と述べた。独連銀月報では今年と来年の経済成長見通しが大幅に引き上げられた。いずれもに特段の反応はなかった。

 NY市場はドルの買い戻しが優勢となり、ドル円は109円台後半に一時上昇した。ドル円はきょうの上げで21日線でしっかりとサポートされた形となった。FRBは慎重スタンスを堅持するとの見方が広がっている。来週のFOMCではインフレ上昇は一時的で、出口戦略は時期尚早との見解が繰り返されると見られている。前日のECB理事会のハト派な雰囲気や、日本の消費者物価指数(CPI)がデフレぎりぎりの状態にある中で、日銀の行動も期待薄の中、ユーロも円も買えず、本日は不美人投票でドルに資金が集まっているとの声も聞かれた。

MINKABU PRESS

執筆者 : MINKABU PRESS

資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。

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