米貿易赤字の急速な拡大はドルにとってはアキレス腱=NY為替
きょうのNY為替市場はドル売りが優勢となっている。市場の一部からは、4月末のリバランスを指摘する声も聞かれ、欧米の大手銀の予想によると4月末のリバランスはドル売りとの見方もある中で、日本時間0時のロンドンフィキシングにかけてドル売りが強まった。また、午後のFOMCの結果が予想通りに慎重姿勢を強調するようであれば、為替市場はドル売りの反応を見せるとの予想もあるようだ。
本日はFOMCのほか、注目イベントとしてバイデン大統領の議会演説が予定されている。家族と教育のための1.8兆ドルの大規模な財政刺激策を発表する予定の一方で、富裕層に対するキャピタルゲイン増税や、投資会社のファンドマネジャーの報酬の一部であるキャリードインタレストへの税優遇措置の廃止も打ち出されるとも見られている。
バイデン大統領は積極的な財政刺激策を矢継ぎ早に打ち出しているが、これにより、個人消費や企業活動も活発化している。それとは裏腹に米貿易赤字は拡大の一途を辿っており、3月の商品貿易赤字は910億ドルに達した。2019年までの5年間の平均を38%上回っているという。
貿易赤字に関しては、それを賄う十分な資本流入があれば必ずしもドル安を誘発するわけではないが、バイデン大統領の増税計画が、米株への海外からの需要を冷やし、FRBの低金利政策の継続で利回り上昇が抑制されるようであれば、その限りではないとの指摘も出ている。いずれにしろ、米貿易赤字の急速な拡大はドルにとってはアキレス腱ではあるという。
USD/JPY 108.84 EUR/USD 1.2092 GBP/USD 1.3913
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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