ドル安が強まるもドル円は底堅い動き=NY為替後半
NY時間の終盤に入って為替市場はドル安が強まっているものの、ドル円は底堅い値動きを続けている。現在は106.75円付近。きょうのNY為替市場でドル円は上げが一服しているものの、107円台をうかがう展開は続いている。NY時間に入って米国債利回りが上げ幅を縮小したことや、米株が利益確定売りに押されたことがドル円を圧迫している模様。
しかし、下値での押し目買い意欲も強く、106円台後半の水準は堅持している。ただ、ドル円はきょうで6日続伸している。過熱感を測るテクニカル指標であるRSIは買われ過ぎの水準である70を上回って来ており、さすがに過熱感は否めなくなっているようだ。
きのうから3月相場に入る中、米追加経済対策やワクチン接種で景気回復期待を高めていた市場も、その期待についてはかなり織り込んだ面もありそうだ。特にドル円上昇の原動力となっている米国債利回りの上昇がこのまま続くのか、また、それをFRBがどこまで容認するのか、次の展開を見極めたい雰囲気も次第に出て来ている印象もある。
ユーロドルは1.20ドル台後半まで買い戻されている。為替市場ではドル買い圧力が根強く、ユーロドルは日増しに売り圧力を強めている。きょうは大きな心理的節目である1.20ドルを割り込む場面もみられた。しかし、米国利回り上昇に一服感が出る中、ドル買いの動きも落ち着いており、ユーロドルは買い戻しが入っている。
反応は限定的だったが、本日のロンドン時間に2月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)が発表されていた。総合指数は前年比0.9%と前回と変わらず、予想とも一致した。インフレは2月も安定を示していたが、市場からは今年の残りの期間はインフレが上昇し、ECBの目標である2%を若干下回る水準に到達する可能性が高いとの指摘も聞かれる。エネルギー価格がこの先数カ月で急激な上昇が予想されるほか、半導体不足でコア指数も上昇が示唆されているという。年内にはパンデミックの行動制限も緩和されることから、物価は回復するはずだと説明している。しかし、インフレ上昇は一時的なもので、その後は力が薄れ、インフレは2022年に約1%に戻るとみているようだ。
ECBは先週、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の買い入れペースを減速させた。ECBがPEPPの枠内で決済を済ませたグロスベースの先週の購入額は計169億ユーロとなり、4週間ぶりの低水準に留まった。ECBは1日、先週のPEPPの購入が純額ベースで減速したと発表し、大規模な償還があったためだと説明していた。2日に明らかにされた数字によると、償還額は合計でおよそ50億ユーロだった。なお、債券購入の決済やECBの記録に反映されるまでに数日かかるため、1日と2日に公表されたデータはいずれも、2月25、26日の注文分は含まれていない。
ポンドドルも買い戻しが優勢となり、1.39ドル台後半まで買い戻される場面がみられた。一時1.3865ドル近辺まで値を落とす場面がみられ、1.3885ドル付近に来ている21日線を下回る場面がみられたものの、その水準は維持されている。ただ、いまのところは1.40ドル台の回復には慎重といった雰囲気だ。
ポンドドルは英政府によるワクチン展開の速さから、景気回復期待が高まり、一時1.42ドル台まで上昇する場面が見られていた。しかし、その後は戻り売りが強まる展開となり、一部からは英景気回復はすでにポンド価格に織り込まれており、一旦ピークアウトしたとの指摘も出ている。
ただ、なお強気な見方も根強くあるようだ。ここ数日上昇基調は弱まっているものの、ワクチンの急速な普及を受けた回復への楽観的な見方が支援材料となり、大きく下落する公算は小さい。英国におけるワクチン接種と感染状況に関する明るいデータは引き続き、早期景気回復への期待とポンドの下値を支えるという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。