ドル円は106.80円近辺と本日高値圏での推移=NY為替後半
NY時間の終盤に入ってドル円は106.80円近辺と本日高値圏での推移が続いている。きょうから3月相場に入り、上値では日本企業の年度末に絡んだ売りも観測されているようだが、米インフレ期待と米国債利回りの上昇を背景にした買いが続いている。日本企業の直近の決算によると想定為替レートは105円台で設定しているところが多いようだ。現在の水準であればヘッジ売りが出てもおかしくはない。
しかし、米インフレ期待と米国債利回り上昇を背景にしたドル買いの勢いが強く、その売りを吸収している模様。過熱感を測るテクニカル指標のRSIは買われ過ぎの水準である70に接近しており、やや過熱感も出始めているものの、107円台への期待を高める展開となっている。
米国債利回りの上昇については、市場の一部からは警戒感も示されているものの、FRBが回復期待に伴う自然な流れとし、静観する姿勢を示していることが大きい。週末にはバーキン・リッチモンド連銀総裁の発言が伝わっていたが、景気回復を引き続き楽観しており、米国債利回りの上昇はさほど懸念していないとの考えを示していた。ワクチン、消費者の繰延需要、高水準の貯蓄、追加経済対策はいずれも、今春および今夏には米経済が極めて健全な状態になることを示唆しており、地平線上に光が出てきつつあると述べていた。また、インフレについても、上昇したとしても問題となるような水準には達しないとみており、経済が過熱してインフレ圧力の問題が生じることはないとも語っていた。
ユーロドルは戻り売りが続いており、本日は一時1.2030ドルの100日線に顔合わせする場面がみられた。きょうの下げで21日線を下放れる展開がみられており、大きな心理的節目として意識される1.20ドルを維持できるか注目される。
ビルドワドガロー仏中銀総裁の発言が伝わっていたが「ECBは過度な緊張に対し対応することができ、また、対応しなければならない」と述べていた。FRBは直近の長期金利の急上昇に対して静観する姿勢を示しているが、ECBは看過できないようだ。この数週間のうちにパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の債券購入ペースを拡大するのではとの観測も市場からは出ている。ECBからすればユーロ高けん制にもなり一石二鳥だ。なお、この日発表の最新のデータによると、先週のECBのPEPPに伴う債券購入ペースは週120億ユーロと前週の172億ユーロけら鈍化していた。
きょうもポンドは軟調な展開となり、ポンドドルは1.39ドル割れをうかがう動きも見せている。21日線が1.3870ドル付近に来ており、目先の下値サポートとして意識される。ポンドドルは先週、1.42ドル台まで上昇していたが、その後は戻り売りが続いている。1.42ドルを上値メドと見ていた市場関係者も少なくなかったことから、これまでのポンド高もひとまずピークアウトしたのではとの指摘も聞かれる。世界に先駆けてワクチン接種を開始し、迅速な展開を実現していることから、英景気回復への期待が高まり、ポンドも上昇が続いてきた。しかし、それも十分に織り込まれており、しばらくは更なる上昇は難しいのではとの見方も増えつつあるようだ。
今週はスナク英財務相が予算案を提出するが、目先のリスク要因として注目される。その予算案に、増税と財政赤字をパンデミック前の水準に戻す動きが急速に見られた場合、それは英中銀の金融緩和維持への圧力となり、ポンドの重しとなるとの指摘も出ている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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