【これからの見通し】週明けはドル高圧力残る展開、株と債券利回りの綱引き
【これからの見通し】週明けはドル高圧力残る展開、株と債券利回りの綱引き
先週は米債利回りの急ピッチな上昇が株式市場での警戒感につながった。これまでの株高を演出してきたハイテク株に対する調整の動きが広がった経緯がある。ただ、週末に米半導体指数(SOX)が2.28%高と反発、一方で恐怖指数(VIX)は3.25%低下となり、ひとまずリスク警戒の動きは落ち着いた。
週明けの東京・アジア株式市場は日経平均が一時700円高となるなど反発している。一方で、ダウ先物・時間外取引の上昇は小幅にとどまっている。まだ、リスク警戒感が残っているようだ。
週明けの為替市場は先週来のドル高圧力が残る展開になっている。ドル円は106円台後半から半ばでの推移。ユーロドルは1.21近辺で上値を抑えられている。為替市場ではドル売りの動きは限定されている。
注目は米長期債利回り動向となろう。米国では週末に1.9兆ドル規模の追加経済対策法案が下院を通過した。3月中旬には対策の発動が見込まれている。再び現金給付が行われるほか、最低賃金の引上げが盛り込まれている。
現状では家計資産の増加が株式に回るバブリーな状況となっているが、これが本格的な消費に転じるようだと物価上昇、景気過熱へとつながる可能性がある。これを警戒もしくは織り込む形で債券利回りには上昇圧力が働く。国民の格差是正へのプレッシャーがあるなかで、政治的には経済対策は後戻りしにくい状況にある。このまま突き進むと、ゴルディロックス的な均衡が破れるかもしれない。バブルがはじける形での格差是正ともなりかねない。
今週は株式市場の調整の動きと、債券市場での景気過熱を見込んだ利回り上昇との綱引きとなりそうだ。週末には米雇用統計発表も控えており、ポジション調整が入りやすい点も指摘される。
この後の海外市場で発表される経済指標は、トルコGDP(第4四半期)、スイス小売売上高(1月)、スイスSVME購買担当者景況指数(2月)、ドイツ製造業PMI確報値(2月)、ユーロ圏製造業PMI確報値(2月)、英製造業PMI確報値(2月)、ドイツ消費者物価指数速報値(2月)、カナダ経常収支(第4四半期)、カナダ景気先行指数(1月)、米製造業PMI確報値(2月)、米建設支出(1月)、米ISM製造業景気指数(2月)など。
発言イベント関連では、ウィリアムズNY連銀総裁、ブレイナードFRB理事、デギンドスECB副総裁、ビルロワドガロー仏中銀総裁、マクルーフ・アイルランド中銀総裁、アトランタ連銀総裁、クリーブランド連銀総裁、ミネアポリス連銀総裁などの講演やイベント参加が予定されている。
minkabu PRESS編集部 松木秀明
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。