ドル円は105円台後半 伸び悩むも200日線の上は維持=NY為替後半
NY時間の終盤に入ってドル円は105円台後半で推移している。きょうのNY為替市場でドル円は買戻しを強め、一時106円台を回復する場面がみられた。米国債利回りが再び急上昇しており、10年債利回りが1.43%まで一時上昇する中、ドル円の上げを先導した模様。105円台半ばに来ている200日線を再び上回って来ており、今回は本格的な回復になるか注目される展開となっている。
前日の米上院に引き続き、パウエルFRB議長の下院での議会証言が行われている。事前テキストは前日の上院とほぼ同じ内容。質疑応答では、「労働市場には多くのスラックがあり、完全雇用には程遠い」とのハト派な認識を示している。前日も議長は慎重姿勢を強調していたが、その姿勢を本日も踏襲していた。パウエルFRB議長の議会証言を受けて、米国債利回りが上げ幅を縮小したことから、ドル円も再び105円台に値を落とした。
ユーロドルはNY時間の序盤にやや売りが優勢となり、1.21ドル台前半まで値を落とす場面もみられた。ただ、本日1.2095ドル付近に来ている21日線の上はしっかりと維持されており、リバウンドの流れは維持している。米株式市場でダウ平均の上げ幅が400ドル超まで買い戻されたことで、後半には1.2165ドル近辺まで上昇している。
前日のパウエルFRB議長の証言では、長期金利上昇に何らかの対応をする意志は示されなかったが、市場ではECBは長期金利上昇を看過しないとの見方が根強くあるようだ。パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)を使って何らかの対応策を取る可能性があるという。PEPPの早期終了の可能性は低く、むしろ、延長される可能性のほうが高いとしている。ECBは少なくとも2022年3月までとしている期間を延長もしくは、償還債券の再投資が検討される可能性があるという。ユーロ圏の回復は脆弱かつ不均一で、予見可能な将来に渡って緩和政策の維持が正当化されるとしている。
きょうのポンドドルは利益確定売りが優勢となり、ポンドドルは一時1.40ドル台に下落する場面もみられた。一方、ポンド円はドル円が買い戻されていることもあり、149円台半ばでしっかり。東京時間には瞬間的に150円台に上昇。本日はベイリー英中銀総裁など複数の英中銀政策委員が議会証言を行っていた。ベイリー総裁は「政府が打ち出した封鎖措置緩和に向けたロードマップは英中銀の想定と概ね一致している」と述べていた。英中銀は第2四半期以降、経済活動が再開すると見込んでいる。ブロードベント副総裁はインフレ期待は非常に安定していると指摘し、「インフレ期待が懸念すべき水準へと動いた兆候は全くない」と述べていた。
直近のポンド急上昇はバリュエーションの観点からは正当化されないとの指摘が一部から出ている。英景気回復は他国と比較して見劣りしており、経済指標も米国やユーロ圏のように予想を上回っていないという。マイナス金利への期待が後退しており、先行きの金利見通しも上昇しているが、他国でも同様の動きが見られ、ポンド高を説明するには不十分だという。現行のポンド高は主に個人投資家のFX取引による強いモメンタムが背景にあることは明らかだとも指摘している。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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