ドル円は200日線付近での攻防 ポンドは力強い動きが続く=NY為替概況
きょうの為替市場は全体的にはドル売りが優勢で、ドル円もNY時間の序盤には200日線を割り込み、ストップを巻き込んで105円台前半まで下落する場面がみられた。ただ、一連の米経済指標の発表を通過した辺りからロンドンフィキシングにかけて買いが強まり、105.65円付近まで買い戻される場面も見られた。
特にドル円の買い戻しの材料はないが、本日は米株も反発し、米国債利回りも上昇が続いていることから、実需買いが積極的に出たのかもしれない。米10年債利回りは一時1.36%台と昨年2月以来の水準まで上昇。ドル円は200日線付近で大方の取引を終えているが、来週以降、200日線の水準を維持できるか注目される。
米成長に対する期待が非常に高まっている。一部からは1-3月期のGDP見通しを年率換算で従来の5%程度から9.5%に上方修正する動きも出ている。強い勢いは4-6月期まで持続する可能性があり、8%を超える可能性が高いという。追加経済対策により春の活動が支えられ、3月の可処分所得は前月比25%の上昇も予想されるとしている。感染拡大の縮小、ワクチン接種の拡大、そして、天候改善などでサービス業が徐々に再開され、成長を加速させると指摘した。
ユーロドルは買い戻された。一時1.2145ドル付近まで上昇し、再び21日線を上を回復しており、こちらも来週以降の動きが注目される。ユーロ自体の買い材料もきょうは見られていた。ロンドン時間に発表された1月のユーロ圏PMIが予想ほど弱くなかったことがサポート。封鎖措置でサービス業は予想を下回ったものの、製造業がしっかりしており全体をサポートした。また、一部からは前日公表されたECB理事会の議事要旨で、ECBがユーロ高に対してあまり懸念を表明しなかったこともユーロ買いのフォローとなっているという。議事要旨では「為替レートの変動がインフレに与える影響は、標準モデルでは、過大評価される可能性がある」と述べるに留まっていた。
今週の高値が1.2170ドル付近に来ているほか、1月に上値を拒まれた1.22ドルの水準が目先の上値メドとして意識される。
ポンドは力強い動きを持続させており、ポンドドルは2018年4月以来の1.40ドル台を回復した。この日は1月の英小売売上高の発表があったが、予想以上の減少となり、英個人消費に封鎖措置の影響が浮き彫りになったことが示されている。ただ、市場からは大幅減となったことは極めて悲惨だが、消費者信頼感指数が改善しおり、下半期の英景気に対する楽観的な見方が改めて確認されたとの声も出ている。住宅価格が急落したリーマンショック時とは異なり、今回のパンデミックの危機による家計のバランスシートの混乱はすでに改善されつつあるという。ワクチン接種でウイルスへのリスクが一段と緩和されれば、今春以降の急成長に向けた足場が整い、成長は消費者主導で、これまでの遅れを取り戻すものになると述べている。
また、英国のワクチン展開は非常に迅速で、英政府が行動規制をより長く維持すれば、回復にも影響が出るが、それが無ければ、ポンドドルは1.45ドル台までの上昇の可能性もあるとの見方も出ていた。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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