年末で薄商いの中、ドル円は103円台を維持=NY為替概況
きょうのNY為替市場でドル円は103円台前半での推移が続いた。ただ、前日同様に本日も103円割れをうかがう動きが見られていた。目先のドル円の下値メドは12月17日安値の102.90円付近が意識されるが、その水準をブレイクした場合、次は3月安値が視野に入る状況ではある。
市場では、NY州の新規感染者が過去最多となるなど、足元の感染拡大と、それに伴う封鎖措置で、足元の不安感は強まっている。しかし、その一方で、ワクチンや米財政刺激策による景気回復期待も根強い状況。短期的には景気回復は鈍いものの、春以降は回復基調を加速させるとの予想が多い。FRBも同様の見方をしている。
来年もリスク選好の流れが続くとの見方から、ドルの先安観が強まっている。加えて、インフレ期待の高まりも予想される一方で、FRBは利上げには動かないと見られていることから、実質金利のマイナス幅が拡大するとの見方もドルを圧迫しているようだ。そのほか、シンプルに景気刺激策による財政問題もドル安要因として捉えている。一部からは、ドル高が強まるケースがあるとすれば、過熱感のみであろうとの声も聞かれる。
円安がドル安を凌駕すればドル円は上昇するのかもしれないが、日銀が緩和拡大を加速させる可能性も小さい中で、それも期待しづらい状況。可能性があるとすれば、クロス円の上昇がドル円をけん引するケースのみかもしれない。
ユーロドルはロンドンフィキシングにかけて売りが強まり、1.22ドル台前半に下落している。特段の売り材料は見当たらず、年末の薄商いの中で実需売りが下押ししたものと思われる。現水準であれば、買いの好機との声も出ている。
今年のユーロドルは春以降、昨年の下げトレンドに大きな変化が見られ、ユーロドルは上昇トレンドに転換した。年末までその勢いは継続し、年末にかけて年初来高値に上昇している。ただ、決してユーロ高ではなくドル安に伴うユーロドルの上げと見てよいであろう。パンデミックでFRBが大胆な金融緩和策を実施したことから、為替市場の基調はドル安に転換している。ドルの流通量や財政赤字を考慮すれば、金利が無ければドルを買う理由はない。
市場では来年もドル安傾向は続くとみている。FRBがスタンスを変化させれば別だが、景気回復の中でもインフレ期待がある程度に抑えられれば、FRBは低金利姿勢を変化させることはないとみられている。来年のユーロドルは1.2550ドル近辺までの上昇も期待されている模様。
ポンドドルは堅調な展開となり、1.3675ドル近辺に上昇。英国では感染拡大が収束を見せず、景気への不安感も強いものの、英EU離脱を前にポンドは底堅い動きを続けている。ただ、短期金融市場では、来年のどこかの時点で英中銀はマイナス金利を採用するとみているようだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。